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プロローグ.吸血鬼さん、経験値をちうちう吸う。

徹底的で容赦が無くてえちえち(多分R15で済む範囲)な復讐譚です! 勇者たちはガチのクズです! 本作をぜひぜひお楽しみください! 


 突然だが、セバス・アルフレッドこと俺は自分のスキルを隠している。


 それは――ただ一人にしか顕現しないと言われる”固有スキル”の中でも、羨ましがれることも無く、むしろ特別に忌避される【吸血鬼】であるからだ。


 このスキルを持つ者は、理由は明らかにはされていないのだが、発見次第に例外無く処刑される決まりになっている。


 とんでもない話だが、要するに俺がこのスキルを持っていることが分かれば、処刑されてしまうのだ。


 俺は死にたくなかった。


 だから、このスキルを持っていると分かった段階で奔走した。どうにかこうにか溜めた大金を使い切って、スキル名を偽装出来る道具を手に入れた。


 偽装後の俺のスキルは【運び屋】だ。

 引っ越し、商品の輸送、冒険者パーティーの荷物持ちとかなんかをやる人たちが持っている事の多いスキルで、そこそこ珍しくはあるが決して特別ではないスキルの一つでもある。


 このスキルは付随する特殊効果の類が少なく、補助効果も微々たるものなので偽装しても非常にバレにくいからこそ選んだ。


 かくして平穏な日々を過ごしていた俺だったが……一体どういう運命の悪戯か8人の勇者で編成されたパーティーの荷物持ちをすることになり、そしてそこで想像を絶するほどの酷い扱いを受けるハメになった。


 勇者たちは何か少しでも嫌な事があると俺を弄ぶ。

 こいつらが欲しかったのは荷物持ちでは無く、ストレス発散のサンドバッグだったのだ。


「――セバスもうお前はいいや。ここでポイしてくわ」


 そして、ボロボロになって殴り甲斐が無くなって来た俺をポイするらしい。


「っていうかセバスさぁ、折角のお別れなのに今まで構ってあげた私たちに対する感謝が無いのおかしいよね? 棘がついている鉄の棒でお尻可愛がってあげたり、一本一本指をへし折って遊んであげたじゃん。何回でも遊べるようにちゃーんとユスハのスキルで治してあげたし文句もないでしょ」


 公衆の面前で勇者の一人である女――ミーアが俺の頭を踏みつけ、周りの仲間たちもゲラゲラとそれを笑って見ている。


 俺は顔をよじって見上げ、一人一人の勇者の顔を改めて確認し、決して忘れることが無いように記憶した。


 1人目アレク・エクスフォン男、2人目ミオーネ・シャクネル女、3人目サルキッス・デルハート男、4人目サザン・グッズェ男、5人目ユスハ・バルデス女、6人目ドラティア・ムーンキッズ女、7人目フォルドゥーク・ムンバイン男、そして8人目が俺の顔を踏みつけているミーア・ハルドレット。


 世間では正義の使者のように扱われるこの勇者たちの中身は、ただのゲス以外の何ものでもない。

 腹が立って仕方が無い。

 だから俺は……この憎たらしくて仕方が無い勇者たちが去る寸前に、固有スキル【吸血鬼】を発動させた。


「さぁて次のおもちゃ探さないと駄目だね~」

「次はどういうのが良い?」

「男は飽きたから女にするか?」

「さんせー」


 俺の固有スキルである【吸血鬼】の効果の一つに、”経験値を吸える”というものがある。


 今までに溜めた分はもとより、今後得る経験値もそのまま”横流し”状態になってしまうこの効果を、俺は勇者たち全員にたった今かけた。


 連中はどんどん弱くなり、それに比例して俺のレベルが上がっていくようになったのである。


 自らのステータスを確認してみると、徐々に経験値が増えて行っているのが分かった。既に効果は発動しているのである。


 ちうちう。ちうちうと経験値を吸う音が聞こえて来るかのようだ。


「くっ、くははははっ!」


 このスキルを使う仕返しは禁じ手だと俺は思っていた。

 それは、勇者たちが魔王に対抗する唯一の存在、つまりは世界中の人々の希望と言われていたからである。

 俺が耐えてさえいれば、勇者たちはいつか魔王を倒し世界は平和になる――そう思っていたのだ。


 しかし、勇者たちには魔王を倒す気配が一切無かった。


 誰も行かないような秘境で眠っている強力な魔物を叩き起こしては倒したりしていたが、決して魔王にだけは手をつけない。


 その理由は単純で、魔王を倒してしまうと自分たちのやりたい放題の免罪符が無くなるからだ。笑いながら喋っているのを聞いてしまったことがある。


 こんな奴らが世界の希望であるわけがない。

 だから、俺は燃え滾る復讐心を解き放つことに躊躇いが無くなった。


 青空の下であお向けになり、俺はただただ笑い続けた。





 一カ月が経った頃。

 俺は自らのステータスを見て……正直ここまでレベルが上がるとは思わず驚愕していた。

 そのレベル実に212である。

 能力値が見たことも聞いたことも無い域に達し、スキルの新たな使い方もガンガン増えていった。


 一般人のレベルは平均しておよそ5~10程度。

 冒険者や探索者、あるいは騎士や傭兵の類であれば20~40くらいで、それらの中で熟達した者で50~80前後といったところだろうか。


 200超えなんて御伽話のレベルだ。


 ちなみに、勇者たちに捨てられた時点での俺のレベルは、一般人の平均の範疇である”8”である。

 経験値を吸う使い方は人の努力を横取りしているようで気分が悪く、よほど腹に据えかねない限りほとんど使わなかったからだ。


 昔の俺からすれば、レベル200超えなんて存在すら疑う域だが……それはさておき、異常なレベルになったせいなのか経験値が表示されなくなった。増えてるのかどうかもう分からない。


 ただ、212を境にレベルが上がらなくなったので、勇者たちのレベルが下がり切ったのだろうというのは相対的に分かる。


 それにしても、俺のレベルをここまで押し上げるだけの経験値を持っていたということは、どうやら腐っても勇者だけあって連中は御伽話一歩手前の域までレベルを上げていたようだ。


 まぁその努力も今や水の泡だが。勇者たちは最早いくら戦ってもレベルが1から上がらず経験値も溜まらないのだから。


 さすがに事態にはもう気づいているだろうが、しかし対処の方法はない。


 スキル【吸血鬼】の効果は呪いや魔術の類ではないので、そういった判別や鑑定にかけても発見することが出来ない。原因を特定することが出来ないのだ。


 謎の現象に対する精神的なダメージに加えて、今までの感覚とステータスの齟齬に体が追い付かず、戦闘中に大怪我の一つや二つしているかも知れないな。


「なぁなぁ知ってるか……?」


 ふいに、街中ですれ違った人々の会話が聞こえて来た。それが勇者たちに関する話だと知って、俺はすかさず聞き耳を立てた。


「勇者パーティーが壊滅して全員行方不明になったんだってよ」

「それ本当か? 本当なら大変なことだぞ。魔王を倒せるのは勇者だけって言われてるのに、一体この世界はどうなっちまうんだ」


 世界はどうにもならない。

 どうせあいつらは魔王なんて倒す気も無いのだから、いてもいなくても何も変わらず今まで通りだ。


 しかし、いくら弱くなったとはいえ簡単に壊滅まで行くとは思ってもいなかった。

 俺と勇者たちのレベル差が圧倒的になったから、そろそろじっくり痛めつける追い打ちの復讐をやるつもりだったのだが……。


 壊滅で行方不明ということは、つまり全員死んだのだろうな。


 なんだかぽっかりと心に穴が空いた気分だが、まぁ終わってしまったものは仕方が無い。

 復讐心を満たすには物足りないが、勇者たちがこの世から消えたと言うのであればどうしようもないのだから。


 俺自身の今後の人生について考える必要がありそうだ。……どこかの田舎で平穏なのんびりとした日々を送りたいな。


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[一言] 新連載、ご苦労さまです! 残業してたら、たくさんアップされてたw
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