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彼女との出会い

 ねぇ……パラレルワールドって知ってる?

 パラレルワールドっていうのはこの世界に並行して存在するもう一つの世界のことなんだって。

 今回はそんなパラレルワールドにまつわる少し不思議なお話……




「行ってきます」

 まぁ、家には誰もいないけど。


 僕がまだ幼い頃、家族3人で海へ行った帰り交通事故に遭った。

 後部席に座っていた僕は幸い命を取り留めたが、両親は……死んだ。

 僕はまだ幼かったから―その時はまだほんの三歳だった―事故の事はよく覚えていない。

 でも、父と母にもう会えないんだという事は分かっていたから一日中泣いていたのを覚えている。


 その後僕は母の妹夫婦に引き取られた。母の妹夫婦は子供もいなかったため、快く僕を引き取ってくれた。



 去年から、僕は高校へ通うことになった。高校ではバイトも自由だから、母の妹夫婦にこれ以上迷惑をかけないためにアパートをかりて、生活費や学費くらいはバイトで、稼ごうとした。

 最初は反対していた妹夫婦も、最後にはOKしてくれた。

 学費と家賃だけはどうしてもって聞いてくれなかったから毎月送られて来てるけど…



 そんなこんなで僕の一人暮らしが始まって1年が経とうとしてきた。



「行ってきます」

 ――今年も桜の季節がやってきたな――

 不意にそう思った。通学路には満開の桜……いつ見ても綺麗だな。

「よぉ! 隼人」

「あ、啓太。おはよう」

 こいつは僕の一番の親友の吉田啓太(よしだけいた)。明るく社交的でやんちゃな男子だ。


 キーンコーンカーンコーン


「ねーね、隼人〜。数学のノートちょっと貸してくれない?」

「あ、いいよ。」

 こっちは宮下柚希(みやしたゆずき)だ。女子で唯一の友達だ。彼女は、友達の僕から見ても結構可愛いと思う。


「ありがとー! 助かる!」

「いいえ、じゃあまた明日。」

「うん! ばいばーい」

 今日は啓太と帰ろうかな。

「啓太〜。一緒に帰ろう。」

「あぁ、隼人。わりぃ今日はこれからバイトなんだ。」

「あ、そうなんだ。分かった。じゃあまた明日」

 仕方ない。今日は一人で帰るか。



 僕は学校帰りに前までよく行ってた河原へ行った。

 バイトを初めてから忙しくなってたから久しぶりだ。


「ねぇ、君。」

「え、僕?」

 見ると1番大きな桜の木の下に僕と同い年位の少女が立っていた。

 何故か僕の事をじーっと見ている。

「うん、そうだよ。君。やっと来たね。ずっと待ってたんだよ。」


 この少女は一体なんなんだ?

 頭の整理が追いつけていない。そもそも僕がこの少女に会うのは今日が初めてだ。

 顔も知らないし、名前も知らない。


『君は、私の事を覚えていない?』

「え、うん。悪いけど覚えてないや。僕らどこかで会ったことあるっけ?」

 もしかしたら自分がこの少女を覚えていないだけかもしれない。


「こっちの世界では、そうなの? 本当に私の事を知らないのね?」

 この少女は不思議な人だ。

「――うん、知らないや。」


『そっか。やっぱりね。』


 この少女は本当に何を言っているんだろう。出来ればもう関わりたくない。

 よし、帰ろう。

「じゃあ、僕はそろそろ……」


 トコトコトコトコトコトコ


「ね、ねぇいつまでつ、ついてくるの?」

 僕は後からついてくる少女に向かって言った。

「え、どこって君の家だけど。」

 当たり前と言わんばかりに少女は平然と言った。

「な、なんで今日初めて知った人が家までくるんだ?」

「なんでか知りたい?」

「うん、もちろんさ」

「そんなに知りたいの?」

「うん。」

 本当にこの少女は不思議だな。今日出会ったばっかりなのに。

「じゃあ、教えてあげる。それはね――」


『私は今日からあなたの()()だからよ。』

読んでくださって有難うございます!

9月までにはあと1話くらい投稿したいです。

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