幼馴染みエンド以外の選択肢が存在しない
貴音先輩ルート開始です
天気予報によると、今日は絶好の行楽日和らしい。最近の気象庁はすごいな、本当に当たったよ。昨日まであんなに寒かったから絶対外れると思ったのに。カンカン照りの太陽に、初夏のような温かくて爽やかな風。長袖にジーパンという服装だが、立っているだけで汗ばんでくる。
只今の時刻は午後2時。しかも今日は3連休の中日の日曜日だ。そのせいか十条駅前のロータリーは大勢の人でごった返していた。人々は俺の目の前を笑顔で通り過ぎ、改札へ吸い込まれていく。これから遊びにいくのだろうか?それともデート? みんなすごく楽しそうだ。
くそ、ムカつく。世界なんて滅びればいいのに。
俺の心は世界の終末を願うくらいどんよりと淀んでいた。全く、これからのことを考えると頭が痛い。
俺は駅前の車輪のモニュメント前である人物が来るのを待っていた。ある人物というのは貴音先輩である。もちろん目的は……告白を断るためだ。
エレナと別れたあの日、勢いにのった俺は貴音先輩にアポイントメントをとることに成功した。そして先輩に指定された待ち合わせ場所がここだったというわけ。
ハァ、激しく憂鬱だ。あんなに親切で天使な先輩に、酷い仕打ちをしないといけないんだからな。いっそのこと逃げ出しちゃおうかな……。
頭をブルブルと振り、そんな甘えを追い出した。俺はみなみを選び、エレナを振っただろ! あの辛い決断を忘れたのか! まあ、エレナは罰ゲームってオチだったんだけどね。
それはともかく、今の俺には幼馴染みエンド以外の選択肢が存在しないんだ。よし、これでオーケー。俺の意志はダイヤモンド並みに硬いぞ。先輩め、どこからでもかかってきやがれ!
「優太くーん!」
俺の名を呼ぶ声。遠くから駆け寄ってくる1人の人物が目に入る。その瞬間、ダイヤモンド並みに硬いはずの決意は実にあっけなくそして粉々に砕けた。
たゆんたゆん
そんな擬音がふさわしいだろう。その人物ーー貴音先輩は、大きなオッパイを揺らしながら近づいてくる。動きに合わせ、上下左右縦横無尽に、それでいてリズミカルに揺れている。ああ、なんという桃源郷!この光景を目に焼き付けねば!俺は先輩の胸元に釘付けになってしまった。
「遅れてごめんなさ……キャッ!」
目の前で、先輩が躓いた。
危ない! 俺は先輩を受け止めようと腕を伸ばす。
ムニュッ。
うん、思っていた以上に柔らかいな。それでいて適度な弾力。これは病みつきになりそうだ。……って、俺はなんてことをしてしまったんだ!
「うわあああ! す、すみません」
先輩のオッパイから慌てて手を離す。事故とはいえ、おもいっきり鷲掴みしてしまった。なんというラッキースケベ 。神様仕事し過ぎィ!
しかし先輩は声を上げることなく、恥ずかしそうに顔を赤らめるだけだった。
「そ、その気にしないで下さい。私が転びそうになったを助けてくれようとしたんですから」
「いやいや!本当にごめんなさい。あっ、あそこに警察署がありますね。俺自首してきます。それじゃ、これで」
「ああっ、どうか早まらないで!私は……その、優太君になら何をされても……いいと思っているんですから」
「えっ、なんだって?」
「な、なんでもありませんわ!私ったらなんてはしたないことを……。とにかく、私は気にしていませんから。もうこの件は終わり、いいですね? 」
「は、はい」
先輩の気迫に押され、俺はそれ以上何も言えなくなった。ちなみに『えっ、なんだって?』と言ったが、先輩の台詞はバッチリ聞こえいた。おかげで俺の心臓は爆発寸前なくらいバクバクしている。
「それよりも、遅刻してしまって申し訳ありませんでした。やっぱり待ちましたよね? 」
「い、いえ、俺も今来たところです」
「うふふ、優太君ったら優しいんですね。でも、遅刻にはきちんとした理由があるんですよ。実は、着てくる服にとーっても悩んでしまって。それでこの服、似合ってますか?」
そう言うと、先輩はその場でくるっと回ってみせた。長い黒髪がふわりと舞う。
フリル付きの白いブラウスに、紺色のハイウエストの膝丈スカート。一見すると露出度の低い先輩らしい清楚な服装……のハズなのにやっぱりオッパイに目がいってしまう。そう見えるのは服の構造のせいだろう。ハイウエストのスカートは腰をキュッと締めるため、胸の膨らみが強調される。
大きな双丘はブラウスの布を押し上げ、今にもはち切れそうで……。このまま凝視していたら、前のめりになってしまいそうだ。俺はたまらず目を逸らす。
「よ、よく似合っていると思います」
「ありがとうございます!うふふ、優太君なら気に入ってくれると思いましたわ」
先輩は一点の穢れのないような天使の笑顔を浮かべた。か、可愛い……。ハッ! イカンイカン。先輩と付き合ってもいいかなぁ、という気分になってきてしまったぞ。くっ、思った以上に先輩は強敵だ。長期戦は明らかに不利、さっさと勝負を決めるべきだ。
「じゃあゆっくり話せる場所に移動しましょう。少し歩いたところにファミレスが……」
「あの! 私いい場所を知っているんです。そこに行きましょう」
「えっ、でも……」
「さあ行きましょう。こっちですよ」
先輩は腕を絡めてきた。俺の腕に、あの柔らかいふたつの膨らみが押し付けられる。や、ヤバイ!この攻撃は童貞の俺には即死技だ。ドキドキし過ぎて、もう何も考えられないじゃないか!
そこで俺の記憶は途切れたーー……。
【注釈】先輩が着ている服は、ちょっと前にネットで流行った「童貞を殺す服」というやつです。




