第十一話「始まり品探し」
今回は短めですが、雫視点の話も投稿します。
かくれんぼが開幕し、ライヤと雫はきっちりと一分を数え終わると、すぐに雫の捜索を始めた。
実際、三十を数え終わった時点から雫の声は遠くなってゆき、四十を数えた時より、完全に聞こえなくなった。
ライヤは、ある場所へと早歩きで向かっているところである。店内なのだから、流石に走るわけにはいけないのだ。
そして、そのある場所に到着する。
そこは____。
「布団売り場__!」
ライヤがさっき探し物の商品を探していた時、たまたま通りかかった布団コーナー。何かを隠す、隠れるなら、おそらくここしかないと思う。
この布団売り場は、沢山の布団が吊るされて展示されており、なかなか見た感じは迫力がある。
しかし、それは隠れるのにうってつけの場であり、身を潜めるのにぴったりの場だ。
そして、ライヤが検討を着けたのは、大きな目玉商品らしいアジアっぽい模様の掛け布団。
他にも隠れられるところはあるにはあるのだが、そのどれもが地面より浮いており、足元が見える形になるのだ。地面に着いていて、隠れられそうな大きさといえば、これしかない。
「しかも、もう影が見えてるんだよな。俺の、勝ち!」
ライヤにさえ隠れているのが丸わかりの影。
布団の横をちらりと見ると、地面にうっすら、ゆらゆらうごめく影があるのがわかった。
勝った!第一章完!とまではいかないが、これで初手はとった。
そしてライヤは思い切り布団をめくりあげた__。
「__!!」
影が飛び出した。
________。
「__あ、あれ!?」
そこには、誰もいない。
でも、今一瞬目の前が眩しかったような……。
しかし、考えても仕方がない。
そこには誰もいなかった。そんな事実しか、そこには残らなかった。
「…くよくよしてられっか!探すぞ!」
そして、ライヤは雫を探すため店内を捜索することに決めたようだ。布団コーナーには、もう、用はない。
「……ん、何だ、これ」
それは、さっきめくった布団の下に落ちていた。
それは、どことなく、感謝とか。謙遜とか。そんな気持ちが混じっている気がする。
それを拾い上げると、ライヤは言った。
「____ったく、遠回しなやつだな……く、くぅ!?ぐ…………」
突然、頭が痛む。さっき、光を見た影響だろうか____。何だか、すごく苦しいような気がして____。
「………………?何だ?……まぁ、いい!次だ!次!」
その答えは、どこまでもライヤを取り巻く謎の一つとなる。
…………多分。
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