双子奏愛~if story~
以前書いたエセラブコメの、もしかしたらあるかもしれない未来の話です。
2時間ほどで書いたので誤字脱字等あるかもしれません。
突然だがボクこと月島日景は大学生である。
適当に講義を受け、何をしているかよくわからないサークルとやらに所属し、夜にはチャラチャラと合コンだ飲み会だと遊び明かす、あの大学生である。
ついこの間まで高校生だったのに気付けばいつの間にか大学生。
流れる時間の速さを嫌でも痛感するね。
まぁ高校時代も今もやってることに大差はないけど。
仲良くなった女の子と街を歩いてたら寄ってくるナンパ男どもの財布を搾り取ったり、逆上して襲おうとする相手の股間を潰したりと全く変わらない。
変わったのは、月島日和。
我が麗しの姉は、なんと、モデルになりました。
*
「あ!日景!遅かったじゃないの!」
「ごめんごめん、講義が長引いちゃって」
モデルになった日和姉をスタジオまで迎えに行くのがココ最近のボクの習慣みたいなものなんだけど・・・。
「・・・未だに信じられないよねぇ」
「何が?」
「あの日和姉がモデルになったっていうこの事態が」
「ど、どういう意味よ!?」
そう、ボクは未だに日和姉がモデルをしているという現状が信じられない。
嫉妬から来る暴言やましてからかっているわけでもなく純粋に不思議だ。
なぜならば。
「ブタとミジンコを足して2で割ったようなぬいぐるみを可愛いと言ってた日和姉がよくモデルになれたなと」
「詳しく言えってことじゃないわよ!!それにぷーくんはかわいいじゃないの!ほら!よく見れば何の生き物かもわかるはずよ!!」
と言いつつスマホに写った、謎生物のぬいぐるみ(ぷーくん)を抱いてピースする日和姉の画像を見せてくる。
そう、この姉は相当美的センスというものがズレている。
絵を描かせれば地獄絵図、粘土細工は前衛的すぎて誰も理解出来ない。
芸術は爆発だという有名な言葉があるが、爆発が大きすぎればそれは芸術ではなくただの兵器なのだとつくづく思う。
うーむ、このぬいぐるみも相変わらずブタとミジンコのキメラにしか見えないぞ。でも横を歩きながら期待を込めた眼差しで画面を見せてくる日和姉を悲しませるわけにはいかないな、ここはびしっと当ててみせよう!
「かわいいキメラだね!」
「歯を食いしばりなさい」
どうやら選択を誤ったようだ。
でもこれ元の生物なんているんだろうか、この姿で産み落とされるなんて前世で何したらそんな酷いことになるんだろう。
「ウサギよ!ウサギ!なんでわからないのかしら全くもう・・・!」
ウサギに謝れ。ちなみにこのぬいぐるみは日和姉の自作らしい。
この人の目にはウサギはこう見えてるのかと思うと少しだけ、いやかなり心配だ。悩みでもあるのかな。
さて、モデルを始めたばかりの頃は疲れきっていた顔をしていることも多かった日和姉が最近では生き生きとしている。
ひょっとしたら向いてたのかもしれないね。
日和姉が楽しめないなら是が非でもやめさせようと思ってたけどどうやら心配はいらないみたいだし
「日和姉が楽しそうで何よりだよ」
「き、急に何よお金ならないわよ!」
「別におだてて奢らせようなんて思ってないってば」
「ホントかしら・・・?怪しいわね」
ジト目でこちらを睨みつける僕より少しだけ背の低いこの可愛いモデルをこれからも誰よりも傍で応援していければと、少し、ほんの少しだけそう思った。