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第二十話 決戦、関ヶ原(上)

 行軍中、俺は小早川秀秋のところへもう一度向かった。いくら脅したり、褒賞で釣ったとしても、あの金吾中納言殿である。どう動くかわからない。


 秀秋の軍勢のところへ着いたが、応対に出てきたのは秀秋ではなく、その重臣だという平岡頼勝という者だった。


 頼勝に狼煙と挙げたら、松尾山から駆け下りて東軍を攻撃するように約束を取り付けた。松尾山の麓には、例の脇坂、小川、赤座、朽木の四将が布陣しているが、彼らの抑えには立花宗茂隊と鍋島勝茂隊を配置しておくことにしたので、裏切ることはないだろう。


 早朝、西軍全体の布陣が終了した。濃い霧で詳しい様子は把握できなかったが、どうやら敵の東軍も布陣を完了したようである。


 布陣が終わってからはしばらく何の動きもなかったが、三、四時間後、事態が動いた。


 東軍先鋒らしい、福島正則軍がその正面にいた宇喜多秀家軍に突撃したのである。それをきっかけに、ついに関ヶ原の戦いが始まった。


 俺の軍勢には、黒田長政・細川忠興軍が襲い掛かってきた。だが俺の軍勢の先鋒は、あの左近である。急造した柵や堀、そしてわざわざ佐和山城から持ってきた大砲を活用して、互角に渡り合っている。


 宇喜多隊は福島隊と戦闘を繰り広げていた。兵数に勝る宇喜多隊は福島隊を押し続け、優勢な様子。


 大谷隊、そしてその隣に布陣する立花隊と鍋島隊も藤堂高虎・京極高知隊を後退させ続けていた。勇将で知られる二人の部隊であることにも加え、田辺城攻略部隊の諸将が大谷軍の傘下として参戦しているのも兵力面で大きい。


 小西隊と、連携する島津隊の戦闘も優勢なようだった。


 期待を悪い意味で裏切らなかったのは、四将である。まったく、動かない。案の定といえば、案の定なのだが。この戦いに勝ったら、不戦の罪で改易してやろうか?


 いずれにせよ、四将以外のどの軍勢も互角か押し気味。これなら……いけるかも知れない。


 だが、一時間ほど経つと、俺の軍勢のほうは苦しくなってきた。黒田・細川だけでなく、加藤嘉明、田中吉政両隊にも攻撃され、後退を余儀なくされ始めたのである。


 宇喜多隊と福島隊との戦闘も優勢な状況から敵軍の奮戦を受け、激戦の模様に。


 三万との話の徳川家康本隊も戦闘に参加しようと、じりじりと前進してきているようだ。


 ヤバイ、ちょっとヤバくなってきた。今こそ、小早川・毛利隊に参戦してもらわないと。


 俺は狼煙を上げるように伝えた。少し経つと、陣から狼煙が上がる。さあ、どうなるか……頼む! 動いてくれ!


 

 

 


 

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