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アル・ヴィンス
「ふ、アハハハッハ」
「うるさい…」
あの後、魔物の出る森の中に一人置いていくのはさすがに良心が痛むので
エルフを担いで息を上げながら帰宅した。
その途中、謀ったように祭りに行っているはずのバカ…アル・ヴィンスが家の前にいた。
その、アルが僕を見て言った最初の言葉が『え、エル…頭打ったか?』
とりあえず、殴っておいた。
「よくよく考えたら、エルが人攫いなんてするわけないもんな」
「僕がなぜそんな、特にならないことをしなければならないんだ。」
このバカ、アル・ヴィンスは僕が町の孤児院に預けられた時と同時に預けられていた。
僕は、人と関わりたくなかったのだがあまりにしつこく毎日話しかけ来るので、ずるずると腐れ縁になった。
アルは今、傭兵として働いている。僕とは違って体を鍛えているので昔よりも身長が大きく筋肉もついている。
「寂しかったんだぞ、お前が来てくれなくて」
「うるさい、知ってるだろう!僕が人ごみが嫌いだと!」