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いるべき世界へとその足を踏み出せ

ということで続編です。ドラゴノイドとかいうやつの。前作はなんも考えずノリだけで書いてきたのですが、この話は補足的なものから謎であった部分とかを詳しく書いていこうと思います。 まぁあんまり変わらないでしょうが


 不思議な空間。真っ白な光に満たされており何もない。いや、自分の視線の先に誰かがいる。アレは誰だろう? あぁ、アレは  僕だ。





 ふと自分の体を見る。あれ、僕こんなに爪伸びてたっけ。あれ、僕の皮膚に鱗みたいなできものが出来てる。その鱗に自分の顔が反射して映る。




 金剛色に輝く目をしたドラゴンがそこには写っていた






 ここは病院。特務機関龍殺しと呼ばれる裏組織直轄の一般利用者使用禁止の病棟だ。一般人には見せられない秘密を抱えた患者が多数いる。白石竜生もその一人だ。学力平均並み、体力は平均以下で普通である彼だが、容姿だけは普通ではなかった。



 外国人の父から受け継いだ美しいプラチナブロンドの髪、ブルーサファイアのような美しい瞳は竜生自身でも誇れるものだと思っている。しかし小学生に間違われるような小柄で華奢な体つきと、女性と間違われるような可愛らしい顔立ちは時折、嫌に感じてしまうことがある。




 そしてそんな竜生は目を覚まし困惑していた。なぜ自分がここにいるのか。白い天井を見上げながら白石は昨日の事を思い返していた。ハッと思い、自分の手の甲を見た。そこには人間の皮膚ではなく、キラキラと輝くダイヤモンドのような質感の鱗が手の甲に浮き出ていた。






「おはよう、といってももう昼過ぎだけれどね」



 声が聞こえたと思った次の瞬間竜生の前の前いっぱいに広がっていたのは、幼い女の子が浮かべた薄い笑みだった。 自分でもこんな声が出るのかと思うほど素っ頓狂な声を上げ、反射的に上へとはいずる。そこには金属のベッドの支柱があるわけで



ゴンッ!!



「~~~~~~ッッ!!」


「失礼ね、普通美女の顔が前にあったら喜びそうなものだけれど?」


「いきなり顔近づけられればだれだってびっくりするよ!!」


「ウフフ、元気でよろしい」



 小学生くらいの女の子にいいように遊ばれている。たった2~3言、言葉を交わしただけだが、竜生はこれからずっといじりいじられの関係が続くのではと寒気を感じていた



「あら失礼ね、私はれっきとした大人よ。今のはお情けで流してあげるけど、今度見た目のことを言ってみなさい、もいであげるわ」


「何を?! てかなんで僕が考えてる事わかったんですか?!」


「女のカン、ってやつよ。気をつけなさい、女の子って、怖いわよ? そうそう、ようこそ特務機関龍殺し直属特別病棟へ」




 クスクスと見た目に似合わぬ笑いを浮かべる女の子。完全に弄ばれている。女性というものに改めて戦慄した後ふと思った、そもそもなんで僕はこんなところにいるのだろうか? あぁそれはね、と女の人が話し出す。簡単に纏めるとこうだ。






 龍化病。体に龍のような鱗や角などが発生し、そして特異能力が発現する。そしてそれに伴う身体能力の増強、精神の凶暴化。自我を保つ強い精神力があればその力を制御する事もできるが、ほとんどの場合完全に理性を失い姿がドラゴンそのままの姿に変化し暴れだす




 そういった一般には手のつけられないまでに凶暴化した龍化病発症者を駆逐するのが特務機関龍殺し。龍化病を発祥した人を保護、または駆逐するために存在する機関。


 だが龍化病発症者にとってはあまり悪い機関ではない。制約さえクリアできれば龍化者の人でもまた社会に戻って生活できる風に取り計らうという。




「貴方は選ばれたのよ。人でありながら人でなく、龍でありながら龍でない、中途半端な存在だけれどね。それは別に悲観するところではないわ。他の有象無象とは違う、人類から一つ飛びぬけた存在に昇華したのよ」


「………なんでそんな風に言えるんですか……」



 竜生の目線が下へと落ち、握る拳に力がこもる。



「僕は、化け物になったんですよ……確かにあの時僕は先輩を助ける力を欲しました、でも! こんな事になるなんて」


「甘ったれないでクソガキ」



 有無を言わせぬ暴言がいきなり飛んできた。目を上げ女の人のほうを見ると、冷たい目線でこちらを睨む女の人がいた。女の人はため息をつき、人差し指をこめかみに当てやれやれと頭を振る



「いつまでもうじうじしてて何かが変わるの? 立ち止まってちゃ何も変わらない、今の貴方は確かに化け物っぽいけれど、人としての健康状態はいたって健康よ。世界には生きたくても生きれない、動きたいのに動けない、いつまでもぬるま湯に浸かっていた貴方よりも救われるべき人がたくさんいるわ。そんな人たちの前で同じことが言えるの?


 それに貴方は力を手にした、力あるものは必然的に責任も背負わなければならないのよ。その人が持つには過ぎた力を管理するという責任をね。というか貴方幸運よ、普通なら発祥した時点で理性がなくなって暴れて私たちに殺されるか、体が耐え切れずに自壊しちゃうのよ? 



 その上でもう一度言うわ、貴方、さっきの台詞をそうやって死んでいった人たちの前で言えるの?」



 突きつけられる現実。ヘタをすれば死んでいたかもしれないという恐怖。あまりにも非現実で、だがそれが今起こっている現実で。今にも泣きそうな表情で目線を落とす。



「僕は……どうすればいいんでしょう……」


「知らないわ。それは貴方次第よ。明日検査があるわ、それまでこの病棟内を出ない事。病棟内は自由行動だけれど、いっぽでも外に出たら即刻射殺されると思いなさい」



 女の子、もとい女性は結局名乗らず踵を返して病室を出ていく。と、引き戸の前で立ち止まりこちらを見ずに告げた



「あの女の子、君の先輩ね。本当ならあそこで恥辱を受けて殺されていたかもしれなかった。でも貴方はそれからあの子を守ったのよ。今のところ、これだけは誇っておきなさい。あとそこの机に今までの龍化者の末路とか、今も生きてる龍化者のデータが入ってるわ。参考にしなさい」




 しばらく竜生はそのまま動けなかった。








 自分のおかれた状況について考えつつボーッとしていると、竜生はのどの渇きに気がついた。どうしようかと周りを見渡すと、自分の荷物一式がベッドの横のスペースに置かれていた。いつのまに。


 今更だがここは個室だ。なんとも贅沢だが、今の竜生はそんな優越感に浸る余裕はない。財布を捜し取り出して病室を出る。自動販売機くらいあるはずだ




 病棟内を自動販売機探しがてら歩く。静かなものだ。さっきの女の人が言うにはここは特務機関の直属病棟。竜生のほかにも同じような人がいるのだろうが、病院内は至って静かだ。





ドバァァァーーーーン!!









ドアが吹っ飛ばされ竜生の隣の壁に叩きつけられた。前言撤回。随分と騒がしい病棟だった。












「「けっほけっほ、ごほん……」」


「ぶぇっほ、バカ、こんなとこで能力つかうバカがいるかバカ! しかも暴発って!!」


「「ご、ごめんなさぁ~い!」」



 ドアが吹っ飛ばされ吹きさらしになった病室から3人の人影が咳き込みながら大量の真っ黒の煙と共に出てきた。一人はニット帽をかぶった青年、もう二人は小学生ほどの女の子だ。女の子は外国人らしく、煤けてはいるが綺麗な金髪と銀髪をしており、金髪と銀髪のツインテールが咳き込むたびにヒョコヒョコ揺れている




 てかニット帽の人3回もバカって言った。そしてニット帽の人がこっちを見る



「げっほ、クソ、ニット帽の手入れスゲーめんどくせぇんだぞ……火災報知機切るように言っといてよかった……下手したら水浸しだぞ……ってあれ?」


「あ、ども……」


「え~っと、確か新しくここに入った……」


「あ、白石です。白石竜生」


「白石ね。今ヒマ?」


「えっと……えぇ、まぁ」


「そうか、良かったら一緒に煤落とし手伝ってくれる?」



 断る理由もない。竜生は優しすぎる故に損をするタイプなのだ。自覚はあったが、今更変えることは出来ない



「えっと、まぁいいですよ」


「ありがとな。僕は赤羽龍斗。掃除用具とってくるからその二人見張ってて」



 簡単な挨拶を済ませ、赤羽さんは掃除用具を取りに廊下の向こうへと早歩きで歩いていった。残された僕と女の子二人。と、金髪のほうの子が話しかけてくる



「ねぇ」


「なんですか?」


「アナタも私たちと同じなの?」



 金髪の女の子が頭の頭頂部に近い髪を掻き分けると、そこには紛れもない、小さな角が生えていた。こんな小さな子まで僕と同じ目に……



「ねぇ、聞いてる?」


「え? あぁ、ごめんね。うん、僕も、だよ」



 手を突き出して手の甲を見せる。ダイヤモンドのような輝きを放つ鱗がそこにはあった。天井の光に反射してキラキラと輝いている。



「なにこれスゴくキレイ! ほらイブ、ちょっとこっち来て見てみなよ!」


「ほんとだすごくキレイ! ほらアリス、ほんとうにキラキラしてるよ!」



 半ば引っ張られるような形で手を握られ、鱗を見られたり突かれたりする。満面の笑みでにぎにぎされるものだからさっきまでの暗い気持ちが少しだけ晴れる。



「おにいさんはどんなことができるの? わたしきになるよ!」


「わたしもきになる! おにいさんはどんなことができるの?」


「……わかんないんだ。本当にさっき、このことを知ったばかりだから」



 もう自分は人の体ではない、人ならざるものだ。僅かに晴れていた心が再び曇る。



「なっちまったモンはしょうがない、今は受け入れられなくともゆっくり向き合っていけばいいさ」



 モップ、雑巾、バケツなどをもった龍斗が笑みを浮かべながら現れた。水の入ったバケツを床に置き、モップをつけて絞りながら話を続ける



「僕も初めてこの力に自覚したとき怖くて仕方なかった。こんなのが知れたらマトモに扱ってはくれないだろうし、マッドサイエンティストとかにエラい目に合わされるだろうな、とか。最初そんなネガティブなことばっかり考えてた」



 でもな、と龍斗は絞る事で固まったモップの房をほぐしながら続ける。その表情は柔らかく暖かい笑みを浮かべていた



「こんなナリをした僕でも温かく受け入れてくれた人がいた。情けない話優しくされた事あんまりなかったからさ、その人の前で僕泣いちゃったんだよな。いい年した男の泣いてる姿見ても、その人は引かずに挙句優しく抱きしめてくれたんだ。寂しそうな目をしてたから、放っておけなかったってだけでさ。


 まぁ端的にいえば竜生、ここにいるやつはお前を化け物扱いしたりはしない。ゆっくりでいい、ちゃんと自分の力と心と向き合ってくれ。お前はもう一人じゃない、僕たちがお前の龍化した後初めて出来た仲間だ」



 話している間に4つ分のモップを絞り終わり、姉妹と僕に手渡す龍斗。喉の奥にこみ上げてくるアツいものをガマンしつつ、竜生は初めて出来た仲間と一緒に煤を片付けた。










「バイタル、身体共に異常はありません。龍化侵蝕度はまだ初期段階ですね」


「うむ、よろしい。データを纏めて後に提出するように。そうだそういえば、彼にノされたやつらはどうした?」


「知り合いに預けました、ガチムチのそっちの趣味の集団にね。今頃たっぷり可愛がってもらってるでしょう」


「そうかそうか。そういえばそいつの親には大きな借りがある、親も事を荒立てたくはなかろう。おそらく一生可愛がられる事だろうな」


「フフ、我ながら良い判断をしました。昇給を願います」


「それはこれからの働き次第だ、コレは君の独断と趣味によるものだろう? 咎めはしないが褒めもしないぞ。そしてそっちの本棚の薄い本は片付けて置くように」


「ッチ」




 全身を黒衣で包み、大きな唾広帽子と赤いサングラスを身につけたの長身の男は白衣の女性に指示を出す。彼の名はソロモン・レクター、特務機関龍殺しの実質トップだ。彼は白衣の女性から、先日搬送されてきた新たな龍化者のデータを直接聞いていた。


 普通なら書類で済ませるところをなぜわざわざ彼がココに来たかというと、その少年の力があまりに異質だったからだ。今まで保護、及び撃破した龍化者のどの力にも該当しない力の波長。



「おーいソロモン、いるかー?」



 引き戸を開けて入ってきたのは先ほど煤掃除をしていた青年、赤羽龍斗。手には手の甲に浮かび上がる鱗を隠すための指貫手袋、そして角を隠すためのニット帽は洗濯にでも出したのかかぶっておらず、彼の頭の両側から捻じ曲がったヤギの角のようなものが茶髪を掻き分けて生えている。彼もまた龍化者なのだ。





「うむ、ご苦労。して、新たな龍化者の様子は?」


「まだ状況が飲み込みきれてないようだけど落ち着いてるよ。まぁ様子見かな」


「そうか。して青年、彼の力についてどう思う?」


「まだ出たばっかの芽だ、判断するにゃ早い。でも」


「む?」


「あれは化けるやつの目だ、今は人の方に心が傾いてるけどな。龍の心と人の心が交じり合ったとき、多分一般の龍化者とは一線を画す存在になるだろうな」


「それは龍祖としてのカンか?」


「ま、そういうことだ。アイツの転校は明後日だったっけか?」


「あぁ。龍化者の先輩として、そして組織の先輩として色々と教えてあげなさい」


「まだあいつが龍殺しに入るって決めたわけじゃないだろうが」


「72柱能力だよ。断片的かつ気まぐれで狙って発動は出来ないが、見せてくれる未来に嘘偽りはない」


「ハッ、相変わらずチートだな、この虫野郎」


「青年も人のこと言えないではないか、このトカゲモドキ」


「アぁ?」


「オォ?」




 その場で言い争いになった龍殺しトップ二人を氷のような冷たい目で見下しながら見た目年齢小学生の白衣の女性はため息をつく。



「ハァ……ホント、メンドくさいわ……」



 言い争いを続ける二人に鉄槌を下し、その場を後にし歩きながら手に持ったカルテに目を落とす。そのカルテには竜生のプロフィールがこと細かく書かれている。名前の隣には発現した龍化能力ドラゴンスキルのカテゴライズを書く欄があるのだが、女性はにやりと笑いながら空欄にペンを走らせた



金煌龍ダイヤジェムドラゴン……とかどうかしら。良くも悪くもピッタリね」



 クスクスと笑った後、リノリウムの廊下を女性が歩き去っていった。








 さてここは白石竜生が元々住んでいた町。閑静な住宅街が並ぶそれなりに発展した町で交通の便も悪くなく、良くも悪くも整った町だ。そんな町の道路をズンズンと歩く一人の女子学生がいた。



「絶ッッッ対におかしい!! ありえない!!なんでアイツが……死んだ事になってるの?! そもそもあのクズ共もアレ以来消息不明だし……」




 道のど真ん中で大声を出し周囲の注目を浴びる彼女だが、本人はいたって気にしていない。手を強く握り締め再び大きく吼える




「絶対に、真実を暴いてやるんだからーーーー!!」




 あまりの大声にあたりの小鳥たちが一斉に飛立った。同時刻、白石に謎の悪寒が走ったようだが


正直こうやってガッツリ読めるのは最初だけですww


 長い事ガッツリ書く才能が欲しいなぁ…

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