出会い
初めて小説を書きました。
将来小説家希望なので、感想を書いていただくとうれしいです。
俺は剣だ。見た目はショートソードとナイフの中間あたりの長さだが普通の剣にはないものを持ってんだ。それはズバリ『意思』だ。口はねぇが話したりすることもできる。体だけは動かすことはできねぇ。なんたって剣だからな!
そんな俺はボロくせぇ武器屋のカウンターの上にあるフックでベルト付きの鞘に収められた俺が引っ掛けられていた。「どうしてそんなとこにいるんだ」だって?まぁ特別に教えてやる。
俺が居てる国は他国も認める魔法大国で、町中には魔法屋ってのがいて、そいつらが魔法の売買をしている。魔法は一般の人々にも余裕が残る程度の値段で売られていて、今や魔法を持っていないとおかしいと思われるぐらい流通している。
そんな国で俺は生まれた。
俺を生み出したのはこの国のどっかにいる研究者どもだ。そいつらは昔話などでよく聞く『魔剣』って奴を作り出そうとしていて、偶然生まれたのがこの俺だ。けどそんな俺を奴らは『ただよく喋るどこにでもある無能な剣』とみなして武器屋に売りやがった!まぁどうせ奴らの目的は『魔剣』を兵器として売り、利益を得ることだったから俺がもし成功品だとしても同じ結果だったんだろうが……。
てな訳で俺は商品として店に飾られてんだが、頭の禿げている中年の男の店主は俺を嫌ってるらしい。客が来なくて暇そうに店番しているところを俺のお得意のトークで盛り上げてやろうとしたら。
「うるさいんだよ!このポンコツが!こっちは客が来なくてイライラしてしてんだよ!大体喋る珍しい剣って言われたから買い取ったのにこんなに口が悪くてうるさいなら買い取るんじゃなかったよ!」
とすごい形相で言われた。人様の親切心を踏みにじりやがって!最初から気に食わねー奴と思っていたがこの件で口も聞きたくなくなった。
そんな状態が数日続いたある日のこと、一人の客が店に訪ねてきた。短めの黒髪の幼いガキでカーキ色の半ズボンに白い半袖のシャツを着ていて背中には鍋の蓋ぐらいの大きさの盾とそれを装着するための肩ベルトを着けていた。 店の中は適当に壺に入れられている武器と観賞用のように飾られている武器があって、カウンターには客が来たのに見向きもせず新聞を読んでいる店主がいる。
そんな店内をガキは何回も見渡してから自分より高いカウンターの前に立った。
「おじさん!僕に合う剣ってない?」
店主は面倒臭そうにカウンターの前を覗き込みながら。
「あるけど、お金も持ってるの?お金がなかったら買えないよ。坊や」
するとガキは満面の笑顔で
「うん!持ってるよ!」
そう言うと剣を買うにはちょうどいいぐらいの金をカウンターの上に出した。もちろん自分の背より高いので金を出すにはそれなりに苦労してた。
その光景を上から見ていた俺は「この年のガキにしてはそこそこもってんなぁ……どこぞの大金持ちのお坊ちゃんか?」などと思ったが、ガキの恰好を見た限りでそうじゃないとすぐに思った。そうじゃないとしたらお遣いか何かか?
俺がそんな風に考えていると店主は少し考えてから上にぶら下がってる俺を人差し指で指すと。
「じゃあ、あれなんてどうだい?長さは坊やにぴったりだよ。お代金はここに置いてあるお金でいいよ」
……そんなに店から出ていってほしいのかこのハゲは?
ガキは異論がなさそう……というかむしろ俺のデザインを気になったらしく。「うん!それにするよ!」と目をキラキラと輝かせながら言った。
言いたい事が沢山あったが俺は黙っている事にした。俺もこの店から出ていきたかったので、ここで喋るとガキが俺を買いとってくれないかもしれねぇからだ。
それからハゲ店主はフックから俺を外して、ガキの背中に付けれるように鞘のベルトを改良し手渡しした。
「ありがとうおじさん!」
ガキは店の出口で店主に向けて一礼し、店主はすっきりした表情で小さく手を振りガキを見送った。