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壱話:ぼーいみーつがーる?

「この暑さは後2週間は続くでしょう。皆さん、熱射病には十分注意してー…」

腰にぶら下げたラジオから、いかにも公共放送という感じの声が、この夏の猛暑について淡々と語っている。少年はラジオと共にぶら下げている温度計を手に取り、うんざりした顔をした。

ここは、都会のど真ん中、T県S区の公園。その公園のシンボルである噴水の前で、少年は何かを待っている様子だった。「くそっ…32℃だぁ!?どーりでアチィわけだよ。」

ぼさぼさの黒髪に、不釣り合いなほど大きな眼鏡、奇妙なシマシマ模様のTシャツにダブダブのジーンズ、おまけに便所下駄を履いた、いかにも怪しい恰好の少年は、温度計から手を離し、一つ悪態をつくと、とりあえず立ち上がった。

「あ、もう夜か…」

と、そこで気付いたように少年は呟いた。たしかに、見渡せば辺りを歩く人はおらず、腹も減った、それよりも何よりも、暗い。

何時からここで『アレ』を待っているのだろうか。そして、いつまで待てば、『出会う』ことが出来るのだろうか。

「腹…減ったし、コンビニ行くか。」

蛙がつぶれながら鳴いてるような、情けない音を響かせながら、少年はカランカランと歩き始めた。

しばらく歩くと公園の出口が見てきた…と、その時、一人の女の子が走って公園に入ってくる。高校生くらいだろうか。

どうせベタベタな設定で、終電か門限に間に合わないか見たいドラマでもあって、この夜は危ないと噂ムンムンのココを横切るつもりなんだろ…とか思いながら、別段気にする事なく、至って普通に少女とすれ違う。

普通の小説やドラマなんかなら、ここで何かしら出会いやドタバタ愛憎劇があるんだろうな…

少年は普通に少女とすれ違うだけの自分に、ちょっと切なくなりながら、煙草を取りだし火をつけた。しかし、こんな時に限って普通の『出会い』は訪れるものだった。

少年が煙草を一口吸い、フーっと煙を吐き出すと同時に、腰にぶら下げているラジオから

「22時をお知らせします、ピッポー」

と時報が鳴った…そして、次の瞬間………

『じーんせーい天国あーりゃー地獄はなーいーさぁ〜♪』

と、はるか後方、先ほどすれ違った少女が駆けて行った方角から、今をトキメク時代劇、『水戸のKO-MON様』のテーマが、少年の耳に聞こえて来た。

「………ありえねぇ」

少年はつぶやき、もう一口煙草を吸うと、静かに後ろを振り返った。

…………カラン…

真夏の夜、公園の静寂の中で、少年が履く便所下駄の足音が一つした後、少年の姿は忽然と消えていた。


その時、鞄の中から聞こえる『水戸のKO-MON様』のテーマに、少女は足を止めていた。そして、鞄の中からケータイを取り出すと、着信の相手を確かめ通話ボタンを押した。

どこかの高校の制服であろう…紺のブレザーにスカート、Yシャツを第三ボタンまで開けた、ショートカットの活発そうな目をした少女は、電話に出ると同時に、物凄い勢いで怒鳴り始めた。

「ちょっと!何でこんな時間に電話してくるわけ!?」

『そんなに怒鳴るなよ…それより、あの約束はどうなってー………』

電話の向こうから、弱々しいガラガラ声が聞こえてくる。「あー、あれね、全っ然駄目!ってか無理!マジ有り得ない!!何なのアイツは!?だいだいさぁ、私の仕事はー………」

『アイツがブツだよ。』

それを聞いた瞬間、少女は目を見開き、電話口に向かって聞き返した。

「え…?何?もう一回言ってくんない?」

『だからー、アイツが例のブツー…ぷつっ…プー…プー…プー

「!?」

突然切れた電話に、少女は驚いた………いや、次の瞬間には自分の電話を切った…違う、『ケータイの電波を完全に遮った』人影を『見上げていた』。

ボサボサ髪にでかい眼鏡、シマシマのTシャツにダブダブジーンズ、そして、便所下駄を履き、間違いなく空中で逆さに立ち、満面の笑顔で自分を『見上げている』、そう歳が変わらないであろう少年を。


こうして、お互い名も知らない少年と少女は、いや、少年は『アレ』と『出会った』。

そして、少女は不運にも『アレ』として少年に『出会われて』しまった。真夏の夜、T県S区のとある公園、まさに、その公園のシンボルである噴水の前であった。

こうして、少年と少女の、そして、まだ見ぬ数人の可哀相な人間を巻き込む喜劇が始りの時を迎え、それを知ってか知らずか、少年の腰のラジオからは、落語家が語る、まさに喜劇としか言いようの無い小話が流れ始めた…

読み返してみるととりとめがなく、突拍子もなく、何より構成がめちゃくちゃですが、今後続きを書く中で、誰か一人でも最後まで読み続けてくれたら、このこっぱずかしさも少しは良くなるのかなぁ…とか思ってます。でも壱話目にして大事なとこが2つくらいしか書かれてない…

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