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第27話 ゴブリンの巣

ゴブリンの巣があるという洞窟は、草原の端、岩壁の影に口を開けていた。


昼だというのに、中は真っ暗だ。


「……行こうか」


「はい」


リアが、そっと俺の腰に手を添える。


はぐれないため。

後衛として距離を保つため。


自然と、そういう位置取りになっていた。


「前は俺。後ろはリアな。危なかったらすぐ言ってくれ」


「分かりました。無理はしません」


命令じゃない。

確認だ。


俺たちは、もう主従じゃない。


相棒だ。


ランタンに火を灯し、洞窟へ足を踏み入れた。


ひんやりとした空気。

水滴の落ちる音がやけに響く。


……嫌な場所だ。


数分ほど進んだ時。


ふと、足が止まった。


「……いるな」


「え?」


壁の一部に、擦れた跡。

足跡が集中している。


それに――微妙な空気の流れ。


俺は軽く叩く。


コン、コン。


空洞音。


「リア、ここ隠し扉だ」


「隠し……」


「開けると同時に中へフリーズ頼めるか?」


「は、はい……!」


ごくり、と唾を飲む音。


「……いくぞ」


バッ、と扉を開ける。


「フリーズ!」


瞬間、白い霜が吹き荒れた。


中にいたゴブリン三匹が、そのまま氷漬けになる。


転ぶ暇もない。


「よし、いいぞ」


俺は素早く踏み込み、首を刎ねる。


抵抗すらない。


……やっぱり。


奇襲狙いだったな。


ゴブリンの怖さは、前世のアニメや小説で嫌というほど知っている。

こういう隠し通路から襲ってくるのが、あいつらの常套手段だ。


「悪いな」


小さく呟いて、とどめを刺した。



その後は、ぽつぽつと出る小型の個体。


前から一匹。


「任せろ」


距離を詰める。

棍棒が振り上がる。


――遅い。


剣を一閃。


血飛沫。


終了。


「すごいです、時人様!」


「まあ、これくらいはな」


なんだかんだ、経験は積んできた。


すると。


「ギー!」


「後ろ!」


振り返るより早く。


「フリーズ!」


リアの魔法。


ゴブリンの足が凍り、転倒。


俺が滑り込む。


突き。


終了。


「ナイス、リア」


「ありがとうございます!」


ぱっと笑う。


……いいな。

この感じ。


ちゃんと戦えてる。



やがて通路が広くなった。


骨。

糞。

足跡だらけ。


「……ここ、巣ですね」


「だな」


その瞬間。


「ギギギギギ!!」


左右、奥、天井近く。


一斉に現れる影。


十匹以上。


「来るぞ!」


「はい!」


右から三匹。


「フリーズ!」


まとめて凍結。


「助かる!」


一気に斬り抜ける。


背後。


〈時戻し〉一秒。


位置を修正。


斬る。


左。


リアが先に反応。


氷。


転倒。


俺が追撃。


まるで――


コンビネーションみたいだ。


「いける……!」


自然と口元が緩む。


群れを、次々処理。


気づけば、死体の山。


リアが息を整える。


「……勝てました」


「ああ。俺たち、普通に強いな」


その時だった。


奥から、重い足音。


ずしん。

ずしん。


現れたのは、ひと回り大きいゴブリン。


杖を持ち、紫の魔力を纏っている。


「……シャーマンか」


嫌な予感。


次の瞬間。


紫の弾が飛んだ。


着弾。


地面が溶ける。


「けほっ……!」


リアが咳き込む。


毒だ。


まずい。


〈時戻し〉三秒。


世界が戻る。


「リア!魔法来るぞ!右!」


「はい!」


回避成功。


観察。


詠唱。

発射。

隙。


「足止め、いけるか?」


「やります!」


シャーマンが再び詠唱。


「今!」


「フリーズ!!」


全力の氷。


足が完全拘束。


杖が落ちる。


「終わりだ!」


踏み込む。


一閃。


首が飛ぶ。


沈黙。


静寂。


「……」


「……」


「……勝った、な」


「はい……!」


リアが、嬉しそうに笑った。


外へ出ると、夕日が広がっていた。


「初依頼、完了だ」


「……はい。私、ちゃんと戦えましたか?」


「当たり前だろ」


俺は笑う。


「最高の相棒だった」


リアは少し驚いて、それから――


花みたいに笑った。


その笑顔を見て。


ああ。


一人じゃないって、こんなに心強いんだな。


そう、初めて思った。

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