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第26話 はじめての実戦連携

王都を出て、草原を歩く。


朝の風が気持ちいい。

遠くで鳥が鳴いていて、戦いに行くとは思えないほど穏やかな景色だった。


その隣を、リアが並んで歩いている。


メイド服の裾を押さえながら、小走り気味に俺に合わせてくる姿が、なんだか少し可笑しい。


「ゴブリンの目撃情報、この先の丘だったよな」


「はい。あの岩場のあたりと聞きました」


「そっか。……じゃあ、歩きながら軽く作戦だけ決めとこうか」


「はい」


リアが、きゅっと表情を引き締める。


その様子に、思わず苦笑した。


そんなに緊張しなくてもいいのに。


「基本はさ、俺が前に出るから……リアは後ろをお願いしてもいいか?」


「はい。お任せください」


「前から一匹だけ来たら、たぶん俺だけでいけると思う。だからその時は無理に動かなくていい」


こくり、と頷く。


……まだ“命令を待つ”癖が抜けてないな。


でも、今は違う。


主従じゃない。


「一緒に戦う相棒」だ。


「横とか後ろに出たら、足止めお願いしてもいい?」


「はい。氷で止めます」


「狙えれば足。急いでたら当てやすいところでいい。とにかく止めてくれれば助かる」


「分かりました」


「複数出たら、多いほうを優先してくれるとありがたい」


「はい」


「あと、迷ったらすぐ俺を呼んで。無理はしないこと」


「……はい」


少し強い返事。


頼られているのが、嬉しいのかもしれない。


「じゃあ……まずはこの形でやってみようか」


「はい!」


その声が、やけに頼もしかった。


しばらく歩き、目撃情報のあった草原に着く。


「この辺りか……」


草が揺れる音。

風の気配。

小さな足跡。


「気をつけていこう」


「はい」


慎重に進む。


その時。


「グエ」


前方から、濁った声。


草むらの奥に、小柄な影が見えた。


緑色の皮膚。

棍棒。


ゴブリンだ。


「任せろ」


俺は地面を蹴った。


一気に距離を詰める。


ゴブリンが慌てて棍棒を振り上げる。


――遅い。


踏み込み。


一閃。


首を断つ感触。


血を噴き、ゴブリンが崩れ落ちた。


「凄いです、時人様!」


リアの声。


「まあ……これくらいはな」


なんだかんだ、経験は積んできた。


昔の俺ならビビってただろうけど、今は違う。


……たぶん、少しは強くなれてる。


その時。


「ギーッ!」


リアの背後。


もう一体!


だが。


「任せてください。――フリーズ!」


パキンッ!


ゴブリンの足元が瞬時に凍る。


足を取られ、盛大に転倒。


そこへ俺が滑り込み――


ザシュッ。


とどめ。


「ナイス」


「ありがとうございます!」


ぱっと笑う。


その笑顔に、胸が少し温かくなった。


……いい連携だ。



さらに進むと、石壁にぽっかりと穴が開いているのが見えた。


洞穴。


「……ここが巣か」


嫌な空気が流れてくる。


俺は足を止めた。



深呼吸。


頭の中で、前世の知識がよぎる。


ゴブリンで怖いのは――奇襲、数、そして狭い通路。

ゴブリンの恐ろしさは、前世のアニメや小説で嫌というほど知っている。


数で押し潰し、罠を張り、弱った相手を容赦なく襲う。

“雑魚モンスター”なんて甘い相手じゃない。

油断した瞬間に、命を持っていかれるタイプの敵だ。


「ちょっと、もう一回だけ確認しよっか」


「はい」


「洞窟は狭いし、奇襲されやすい。数も出てくると思う」

「中は危ないと思う。隠れてたり、一気に来たりするかも」


「はい」


「だから、ゆっくり進もう」


「はい」


「俺は前を見る。リアは後ろをお願いできる?」


「任せてください」


「あと、魔法は無理に連発しなくていい。焦ったら俺を呼んで」


「……はい」


しっかりとした返事。


「それと……一番大事なのは」


俺はリアを見る。


「相手がゴブリンでも、油断しないこと。小さいけど、普通に危険だから」


「承知致しました。気を付けます」


真剣な目。


うん。大丈夫だ。


俺はランタンに火を灯した。


左手に持つ。


右手に剣。


リアが、そっと俺の腰に手を添える。


距離を離さないために。


その温もりが、妙に安心感をくれた。


「……行くぞ」


「はい」


俺たちは顔を見合わせ、小さく頷く。


そして。


暗い洞窟の中へ、慎重に足を踏み入れた。


――はじめての、二人だけの戦いが始まる。

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