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出会うための出会いで出会ったのは

作者: あいす

 今日も変わらず朝起きて、職場に行って、仕事をして過ごした。今日はとても頑張れた。それは、これから友達と飲みに行くからだ。


「「「お疲れ!!!」」」


 私達は毎回出会いがなく私たちは結婚できる気がしないねとの話になる。私は職業が飲食店で職場に異性が少ない。友達2人のみかとちなつも職業は違うが同じような感じで異性との関りがまず少ない。そもそも私たちの住んでいるここは田舎な感じもあり都会よりも人が少なく出会いが少ないのかもしれない。


「てか、そろそろ出会いの場所に行かないとうちら無理な気がしてきたよね」


「仕事場の人だと全然いい人いないもんね」


「そういえば!広告でいい感じの見たかも!」


「いい感じの?どんな感じのやつ?」


「ちょっと調べるわ!」


都会ではよくあるのものなのかもしれないけど、どちらかというと田舎な地元でも出会いのイベントがあるということにおどろいた。


「これ!」


探し出してくれた。携帯の画面に映っているのは、ここら辺ではまあまあ有名な遊園地でのイベントだ。出会いを探している男女が遊園地に集まって出会うというイベントのようだ。サイトをよく見てみると去年もこのイベントはあったみたいだ。またやるってことはある程度の人気、需要はあったということになる。こんな田舎なところでもあるもんなんだな。


「どうする、行く?」


「まあ試しに行くっていうのはありじゃない?」


「試しにってことで行きますか!」


「まぁ、試しにね!!」


「試しに」という言葉はよく使うものなのだろうか。自分は本当の意味で試しにだ。そんな大人数の場所は苦手だし、正直男女の関りも人生で少ないから、そんな人間がお金を払っていくというのは考えられないことではある。けれど、ここまできたら関わることが苦手なのはなんだか子供っぽさも感じてしまう。

 そんな考えの私だけど、2人は内心では本当に行きたがっているのではないかとも思う。私に比べて男性との関りはあるし、昔から「彼氏が欲しい」「結婚したい」と言っている。こちらとしても恋バナを聞きたかったり、結婚式に行って祝いたいという気持ちがあるから、ぜひともいい人に出会ってほしい。



 なんだかんだ過ごしていると、ついに出会いのイベント当日だ。『着いたよ!』ちなつとみかが迎えに来てくれた。


「やばい、なんか当日になったけど緊張してきたんだけど」


「分かる!なんかどうしよう」


「いいじゃん!とりあえずは楽しも!」


「でも、知り合いとかいたら怖くない」


「確かに」


あまり考えてはいなかったが知り合いと会うとなったら気まずい。男だろうが女だろうが「あいつ出会いに来てるんだ」とか「こういうの来るタイプなんだ」とか思われてしまう気がする。今もではあるが、彼氏が欲しいを言ったことはない。恋バナを自分からすることもないような人間がここにいるなんて不思議に思われてしまいそうだ。


「でも、そのときはお互い様じゃない?」


「確かにそうだよね!」


 早めに着いたが駐車場の車は多い。見てるとやはり男性も女性も友人同士で来ている人が多いし年齢も自分たちと同じくらいな人が多く見えるし、もちろん下も上も全然いる。見た目だけな話だから実際の年齢がどうかは分からない。とにかく思ったよりも人が多すぎて緊張感が一気に出てきた。2000人くらいだと聞いてはいたけどそもそもの遊園地が広い記憶があったからそんなに多く感じないのだと思っていたが遊園地は思ったより小さいし、決まった場所に人が集まっていて余計に多く感じる。

いろいろなイベントもありいろんな人と話した。


けれど、面白いこともあまり無く、すぐに疲れてドリンクのところに来た。


「なんかこんなに合う合わないがあると思わなかったんだけど」


「さっきの人に関しては、話は面白かったけど歳がね」


「でもあの感じは普通にいいと思うけどね」


自分は正直年齢はそこまで気にしていないし、今日が楽しめればいいと考えているから何とも思わないが、他2人はきちんと結婚などを考えているから差がありすぎるのは無理な感じだ。


 なんだかんだ話していると友達が私の後ろの方を見ながら驚きとかすかににやけ顔になっている。友達はよく周りを見ることが多い。私は他の人と目が合ったりするのが苦手ですぐにスマホを見るために下の方を見たり、遠くの方を見たりするから何だかすごいなとも思ったりする。今回はなんだろうなと思っていると。


「ねぇ、さな!あれ見て」


 ここまで言うってことは何かしらあるのだろう。すぐに後ろを見た。さっき話しかけてくれた人を見つけて「あの人頑張ってるね」となることが多いからまた同じような人がいるのかと思っていたが、一気に血の気が引いた。地元の同級生のたくまがいた。彼もこっちを見てにやけ顔になっている。すぐに目をそらした。来るとき車の中で話していた恐れていたことが起きた。


「え、間違ってないよね」


「いや、もう完全にそうだよ」


最近は会っていなかった。卒業してから何度か会ったことがあるが基本的に夜だったし大人数の中で会っていただけで、そこまでちゃんと見ていなかったから間違っていないかと思ったが確定だ。私としては自分が参加してるのを知られたのがとても恐怖だ。

 

「どうする、これまずくない?」


完全にまずい。私の中で彼は男女関係なく友達がとても多く、地元の共通の友達も多いから簡単に知れ渡ってしまう。いろいろと考えてしまう。


「おい、お前ら何コソコソしてるねん!」


さすがにここまで何度も見てはコソコソ話すを繰り返していたら、話しかけられた。そりゃあそうだ。逆に話しかけないのがおかしい。


「え、わかるよな?」


と言われて。誰なのかは分かるからとりあえずうなずいておいた。男友達もいるようだがその人たちが誰かは分からない。知っているのは彼だけだ。

 友達とどうすると思いながら話しながらいると(まぁ、どうするもなにもないけど。)こっちに歩いてきた。テーブルが4人席で席がちょうど一席余っていて、すぐにそこに座った。


「なんでいるの?」


座ってすぐにちなつが言った。私もそれが聞きたかった。みんな思っていたのだろう。というか、ちなつがそれをすぐに聞いたのが驚いた。ちなつも私と同じように、たくまと仲が良い訳でもない。この中で言ったらみかが一番仲が良いが、とはいってもこの中でだったらという話でそこまで仲が良い訳ではないと思う。実際はそんなに知らないが。


「いや、あいつらに誘われて、お前達と一緒だよ」


このイベントは彼氏、彼女がいる場合は参加してはいけないというルールになってはいるため彼もいないのは確かなのだろう。以前、彼と仲が良い友達から彼女ができて幸せらしいと聞いていた。けれど、それを聞いて残念なことになったんだなと思ってしまった。


「てか、お前らも、探しに来たんだろ」


「違うよ私たちは偵察しに来たの」


「完全に探しに来たわけじゃないよ」


「なるほどな!偵察な!」

「でも、一応相手は探してるんだろ?」


「まぁ、さすがに相手がいたらいいなとはおもうけどね」


「ていうか、お願い!絶対に誰にも言わないで!」


「いや、それはこっちもだからな!」


お互い未だに地元の昔の同級生と遊ぶことが多く、その地元の友達も別の友達と遊ぶこともあって、世間はとても狭い。友達に小さいことでも何か少しでも話そうもんならすぐに一周回って自分の耳に入ってくる。


「ここにいる4人だけ話にしようね」


「いや、それはマジで俺もだからな!」


「本当にお願いね!」


「いや、だから俺もだって!絶対に話さないよ!」


 なんだか不思議な気持ちになる。今日は自分たちが集団から離れていたのもあるが、何人かの関わった人は口数が少なかったり、年の関係でなのかテンションが合わなかったりと、「この人いいな!」と思える人が一人もいなかった。けれど、今の感じだとたくまはずっと話を続けてくれし、きちんと話している時に目を見て話していたり、ほんとにいい人なんだと思えてしまう。これは昔を知っていて、ある程度知っていて慣れているからなのだろうけれど、こんな感じの人に出会えたらいいなと思う。


「ちなみにお前らはいい人いたのか?」


「いや、いないよ」


「なんだよいいのか?」


「じゃあどう人がタイプなんだよ。連れてきてやるよ」


周りを見て聞いてくる。


「じゃあ、180㎝以上で塩顔の人」


「分かった!じゃあ、あれは?」


横を人が通る。顔はちゃんと見ていないが確かに身長は高い。人によって好きなタイプはいろいろあるんだな。


「え、そんな知り合い多いの?」


「いや、知らんけど。連れてくることはできる。」


知らんのかい!そりゃあそこまで知り合いが多いわけないよな。


「ほら、あの人は!身長高いよ!」


どんどん周りを見て見つけるたびに言う。


「いや、あれはなんか歳が下ぽいから」


「あーまーたしかにな」


「はい!次は?タイプは?探してくるよ!」


「私は、まあ年上かな」


「年上かー、あの人とかそうなんじゃね」


「まー、そうだね」


「呼んでこようか?」


「いや、それはいいよ!」


せっかくのタイプの人と関われるかもしれないのにもったいないぞ!と心の中では思ってしまった。


「はい!じゃあ最後にさなは?」


「いや、私は、、、」


私は特に身長も気にしないし、何顔とかもよくわからないし、そもそも今は恋愛は難しく感じている。というか久々に会うのに名前を呼ばれたことに驚いてしまった。学生の頃もほとんど話したことがないから名前を呼ばれたことはないような気がする。逆に初めまして感がありすぎて名前呼びになったのだろうか。


「さなはね。今はねー」


友達が一言こそっといった。


「あ、あれか!気になる人とかいる感じか」


気になっている人がいるのは間違っていないが、それを忘れたいというのもある。関わる人が少ないから他に出会いがあれば忘れられる。と思っている。


「まぁまぁ笑」


「あーそういう感じね!」


そういう感じにしておくのが一番なのかもしれない。


「じゃあ、俺行くわ!今日のことは絶対に言うなよ!」


「そっちこそ言わないでね!」


「じゃあな!がんばれよ!」


 イベントも終わり帰り始めた。男女で帰っている人もいる。おそらく今日出会ったのだろう。私達と同じ様に友達と帰る人も、もちろんいる。まぁ、連絡先の交換などで一旦、仲良くなった相手はいるのかもしれないが。


「まさか最後にあれは怖すぎるよね」


車に乗ってすぐ友達が言った。


「知り合いは居ないと思って安心してたのにたくまに会うのはは最悪すぎたね」


「でもまだたくまで良かったよね」


「いや、それはそう!あんまり話したことのない人だったら気まずいよ」


「話されたらうちら終わりだよね」


「でも、あっちも隠してたからお互いだよね」


今回でたくまのことをいいと思ったのは私だけではないと思う。


「てか、たくまはやっぱ話すと面白いよね」


「まぁ、面白いけどなんか恋愛的な感じとは違うかな」


違った。私だけだったみたいだ。


「今日はありがとね!」


「うん!また今度ね!」


 今日の人生での壮大なイベントは終わった。家に帰ってからもお風呂に入っている間、今日のことを何だか考えてしまう。恋愛は想像よりも大変なのかもしれないということ。そして、自分の周りの知っている男性がいい人達だったということ。本当に関わったことがないだけで、この世にはいろいろな人がいることを学んだ。


 寝る前にいつもインスタグラムのストーリーを見るのが私の日課だ。出かけた日は何かしらストーリーを自分も投稿するが、今日のことに関しては投稿してしまうと、このイベントに参加したことがバレてしまうのが何だか怖くて投稿できない。今日のみんなの投稿を見て楽しんでいると通知が来ていたことに気付いた。彼からのフォローだ。昔から仲が良い訳でもなかったからインスタをしていることは知っていたが、おすすめのアカウントで出てくることがあっても、フォローはしていなかった。今日ので関わったから面白いと思ったのだろうか。もちろん拒否するわけもなく普通にこちらからもフォローした。ストーリーが上がっている、今日一緒にいた人達と飲みに行っているような写真が投稿されていた。みんなで今日のことについて楽しく話しているのがなんだか想像できる。 



 今日は仕事帰りに買いたい飲み物があってコンビニに行くと決めていた。明日は休みで休みの日は基本的に1日中家にいると決めている。仕事帰りの時間帯は駅近なこともありみんな同じようにコンビニに行くのかコンビニは混んでいる。新商品なこともあって売り切れていないか心配だったがまっだ残っていた。ラッキー。無事に買って家に帰る。


「うわ、またじゃん」


店を出る寸前に突然話聞いたことのある声が聞こえた。1週間ぐらいぶりだ。本当に色々なところで会う。地元で会うのは分かるが離れた駅でも会うなんて怖くなる。世間は狭いという言葉をよく使うがここまで狭いとは思っていなかった。


「仕事帰り?」


「そうだけどそっちもですか?」


「『ですか?』ってなんだよ!てか、このまま飯いかない?」


明日は土曜日だし、最近出かけていなかったからなんだか出かけたい気分もあったからある意味ちょうどよかった。この前もみんなでご飯に行ったしこの前のイベントでの遭遇から一気に距離が縮んだ気がする。今まではこんなに話したりしているが、以前は全くしゃべりもしなかったし、おそらく会っても話しかけすらしないだろう。


「いいよ!どこいく?」


「いいんだ!?」


「なんでだよ!誘ってきたのそっちじゃん!」


「いや、ノリ的な感じで言ったんだけど、断られると思ってたし」


完全に行く気分になっていたこっちが恥ずかしい。まぁ、確かにノリで言ってしまう気持ちもわかる。せっかく行くスイッチが入ってテンションも上がってしたのに何だか残念だ。


「え、じゃあ、やめとくか」


「いや、いこうぜ!普通に飯食いに行きたいし!明日休みだし飲むか!」


「よし、行こう!」


ノリがいいのはありがたい。真面目過ぎたらこんな話にはならないのだろうと思う。


「仕事帰りにコンビニよく来るの?」


「いや、今日はたまたま支払いのがあって」

「お前は?」


「私も今日買いたいのがあって来た」


「何買ったん」


「これ!買いたかったの!」


ちょうどさっき買ったからカバンの上の方に入っていた。期間限定のパイン味のサイダーだ。色々な味が毎月出ていて今月は夏らしくパインだ。そんなの夏に飲むなんて絶対においしいに決まっていると思い、発売してすぐに買いたかった。


「なんかお前そういうの飲まなさそうなのに」


「どういうの飲むと思ってたん?」


「いや、珈琲系の大人な感じのやつ」


「まぁ、そういうのも飲むけど夏だとやっぱり炭酸飲みたくなるじゃん」


楽しく会話をして歩いていた。本当に人間合う合わないはあるんだなと感じる。


「ここ!」


そこには賑やか感じのTHE居酒屋のお店があった。金曜日ということもあり、やはり人は多い。私はここのお店は初めてだ。駅のあたりとなるとよく行ってる店に行くことが多く、新しい店に入ることはあまりない。


「みんなと飲み行くときはここに来る時が多いな」


やはりみんな行きつけの店というのがあるもんなんだなと感じた。自分はとりあえず誘われたらそこに行くという感じだから行きつけがあるかと言われたらない。


「とりあえず何飲む?」


「同じのでいいよ!」


「え、てか、お前って飲むん?」


確かに一緒の飲みに行ったことは一度もないし、友達と飲んでいるときのストーリーなども載せることは基本的に無いから飲むような人間に思われないのかもしれない。私自身も昔はソフトドリンクしか飲まなかった。けれど、周りが飲んでいてそれに合わせるようになってからは飲めるようになった。


「飲むよ!てか、強い方だと思うし!」


「本当に俺お前の事知らないんだな」


「いや、それはこっちもではあるけど、なんか想像通りなんだよね」


「あーそれかもな!逆にさなは想像とは違いすぎるんだよ!」


たまにさなといわれると何だか驚いてしまう。お前といわれるのが慣れていて不思議に思ったりもするけど。


「よし!じゃあお疲れ様です!」


「お疲れ様です!」


「お疲れ様!」でお酒を飲むのは何だか気分が上がる。「かんぱーい!」となるときもあるが、それとは違い頑張った自分に対するご褒美のようにも感じて幸せな気分になる。明日が休みなのも幸せの理由なのかもしれない。


「ちなみに、最近はどう?好きな人とかいるの?」


「いや、そんなのみ、ん、な♡」


突然だけど、質問内容の意味的なのは分かっていた。けれど、酔っていて、こういう時は真剣に答えるよりもボケておく方がいい。


「バカかよお前は笑笑」


「え、違うの!?笑」


「恋の好きだわ、そんなみんなとかいうやついねぇだろ」


「あーね、そっちのことね!んー、いないかな」


「なんだよ、じゃああの時も見つからなかったな」


「まあ、そうなるね。でも私はとりあえず友達がいるだけで幸せだわ!」


恋愛というカテゴリーの相手が0の人間であっても、友達、仕事、趣味のカテゴリーに多くの内容があるならば他の人に比べても、全体の件数は同じだろう。


「なんか最近そういうこと言うやつ多いよな。恋愛の良さをわかんねえのが、かわいそうだよ」


「うわ!お前!恋人がいない人間を敵にした!」


 面白く発言したいわけではない、完全な私の意見だ。恋愛を知らずに『かわいそう』その発言を聞いて敵だと思った。恋愛というものはしてしまったら、幸せなことが多い、友達とは別の楽しさがあるということはもちろん知っている。けれど、友達との間に起こることのない不幸な問題が色々とある。恋人という一人だけの人間という制限、別れという終わり。友達ならどれも必要ではないし、何の問題もなく楽しい。嫌いになったら静かに離れればいいだけだ。


「いや、別にそういうわけじゃないんだけど」


「てか、そっちはあの日とかいい人見つけたん?」


色々とめんどうな話はすぐに流す方がいい。


「いや、それがな、あの時のおれはそこまで彼女が欲しい訳でもなかったから」


「え、そうだったん!?」


あの時の感じでは彼女が欲しい人間に見えていたが。噂に聞いていた彼女と別れてすぐだったのかもしれない。そうなったらすぐに彼女が欲しいとなるほどの男ではないだろう。


「まあ、あの時の話だけどな」


「え、てことは今は?いるってこと?」


「いや、彼女は居ないけど、気になってる人はいるよ」


まぁ、時がたてば人間というもの恋をするのだろう。私よりも職場に異性がいるだろうし、飲み会、友達の紹介などで関わる人間も多いのだろう。


「ちなみにどういう人なの?」


「どういう人か。とにかく話の合う面白いやつだよ」


「話が合うとか運命の人やん」

「ちなみにおいくつの方なの?やっぱり年下とか?」


「いや、同い年だよ」


「同い年か!それも話し合うからいいよね!」


自分も理想は同い年だ。みんなは同い年や年下よりも年上がいいと言う。私からしたらそのみんなの逆の考えで年上は考えられない。昔から身の回りに年上がいなかったこともあり、なんだか年上は怖いという

勝手な偏見のようなものがある。みんなは年下や同い年は男は子供だから年上の方が良いという。自分自身が子供なのだろうか。


「みかとちなつはあの後見つかったん?あいつらは本気だったんだろ?」


「いや、結局ダメだったよ。まぁ、あの時は結局自分たちから行かなかったし、あの後もアプリですら人と関わってない。って言ってたから」


「あいつら、アプリもやってんだ」


「そう。それぐらい付き合いたいのになかなか難しいみたいなんよね」


あの2人は昔からこだわりが強いようにも思える。年収や趣味、家族関係などある程度のこだわりを持っているから出会えないのではとも思ってしまう。結婚をそこまで考えていない私が言う事でもないがそこまで完璧な人間はそう簡単に出会えないしもう残っていないのではとも思ってしまう。けれど一生一緒にいることを考えると簡単に決めることはできないのは確かにだ。若い頃は結婚がこんなに大変だなんて思っていなかったが、実際の年齢になると難しさがあるのを知った。


「もし、お前がこれから結婚を考えて付き合うならどういう人がいいんだ?」


「んー、なんだろうな」

「とりあえず人に優しい人がいいかな!」


「金とかそういうのは気にしないん?」


「いや、まぁ気にした方が良いんだろうけど。私が言えることじゃないしね」

「まぁ、理想としては自分と同じかそれ以上かな」


友達と違ってそこまで自分自身が稼いでいるわけでもないから、そこまで言えない。理想はもちろん上ではあるが、少なくてもなんの問題もないと思える。


「そっちはあるん?」


「いや、俺もそんなにないけど、異性の連絡先消してとかそういう感じのはきついな」


「それは確かに大変だ」


いわゆる、束縛系のものなのだろう。異性の連絡先を消したり、どこにいるか知るために位置情報をつなげるなどなどいろいろある。私もその考えは分からない。そんなに相手が信用できないのになぜ付き合うのかが不思議にも思ってしまう。信じれない相手と付き合うこと自体が信じられない。


「考えが合う人と会えると幸せだね」



ーーーーーーーーーー



 今日は職場の人たちと飲みだ。最近飲みに行くのは地元の友達とだったから居酒屋でちゃんとした飲みは何だか久々な感じもする。


メイクを直しに行く途中喫煙室があった。最近は喫煙室が少なく思ってたのに珍しいなと思い見てしまった。その瞬間、喫煙室で煙草を吸っている人と目が合った。本当に良く会うと思った。あっちも驚いた様子で手を振ってきた。こっちからも手を振ってすぐに離れた。

 帰りにもまだいるのかなと思い見たがいなかった。まあそんなに長くタバコは吸わないよなと思っていると、通路に人がいた。


「おう!戻って来た!」


「え、待ってたん?」


「まぁ少しな、ちょっと吸ってたし」


「今日もちなつとかと?」


「いや、今日は職場人のたちと!そっちは?」


「俺も同じ感じだ!職場の同期と!てか、帰りタクシー?迎え?」


なぜか帰りの方法を聞かれた。私たちの地元は田舎で電車の本数が少なく、バスも最終はすでに過ぎている。


「タクシーの予定だけど。そっちも?」


「おれもそうだけど。何時ごろなん?」


「いやどうだろう、わかんないかも」


「タクシー代節約できるし一緒に帰ろうと思ってよ」


「そういうことね!」

「でも、こっち何時になるかわかんないよ」


「いや、一応俺もわかんないからお前帰るとき連絡して!」

「俺の方が先なことはないと思うし」


「分かった!じゃあね!」


入口の方に歩いて行った。私は奥の方だから反対なのだろう。近かったら迂闊に自分の話なんてできない。


「お帰りなさい!」


「今、恋愛の話してたんだけど、さなちゃんは彼氏さんとかいるの?」


恋愛の話になっていたのか。タイミングがいいのか悪いのか。


「いや、いないですよ!」


「結婚したいとかは思うよね?」


「いや、あまり思わないです」


「え!?思わないの!?」


驚かれるのはもちろんだ。この会話を色々な人としてきた。

 子供が欲しいかについて、出かけたりしたくないのか、色々な人との会話のネタによくある話をここでもすることになってしまった。自分の話をするより、人の話を聞く方が楽しい。長時間話すのはネタがなくなってきて自分にも回ってきてしまいそうで怖さもあったがなんとか終わった。


「そろそろ帰りますかね」


「そうしますか!」


最後までにぎやかな時間だった。一応連絡をしなければと思い出した。『これから帰るよ!』あっちはまだいるのだろうか。『おっけ!』『外で待っとくわ!』すぐに返事がきた。外で待っとく?別の店にでも行っていたのだろうか。文章を不思議に思ったが返事に「OK」のスタンプだけ送った。


支度をしてみなさんと一緒に出入口の方に向かって歩いていると、聞いたことのある声が聞こえた。


「じゃあ、俺ちょっと先に帰るわ!」

「値段後で教えて!送るから!」


「じゃあな!」


やっぱり、たくまだ。一瞬、目が合った。少し口角が上がってニヤついていたが、知らないふりで一言も話さないでくれた。


「元気な人たちだね」


「そうですね」


知らない人達から見ても、にぎやかで元気な人たちに見えるみたいだ。どこでも変わらず楽しそうにしているのが本当に素なんだなと思った。自分は地元の友人といるときと、職場の人たちといるときは正直性格が違う。私も知らない人だという設定で返事をした。


「では、私はここで迎えを待つので!ありがとうございました!」


「そうなんだじゃあね!」


見送った後に、すぐに店の方に戻った。帰りに、ビルの入り口にいたのが見えていた。


「あ!来た!」


「ごめんね!出てから連絡すればよかったよね」

「てか、そっち雰囲気的にみんな楽しそうだったのに!ほんとにいいの?」


「いや、いいよ!」


「飲みたかったでしょ?」


「え、じゃあもう一軒行く?」


「いや、話したいけど酒はパスで!」


今日はさすがに飲んだ。これ以上飲んでしまったら頭痛が止まらなくなってしまう。


「じゃあ、海とかどう?」


「え!行こう!途中コンビニでなんか買ってから行こう!」


夏の夜に海なんて最高すぎるに決まっている!しかも、今日は暑すぎないし空には雲もないから夜空がきれいだ!飲み物を飲めば酔いもさめてくるだろう。


「ちょっと歩くけどいいか?」


「その方が酔いもさめるからいいよ!」


「確かにそうだな!」


「ちなみにお前どれくらい飲んだん?」


「6杯とかくらいかな?」

「そっちは?」


「覚えてないけど、俺もそれくらいかちょい多いくらいだと思う!」


「お互い飲んだね笑」


歩きながら話すのは何だか好きだ。夏の夜であり、場所も海に向かっていることもあり静かで景色がきれいに見えてなんだか気分がいい。これは酒で酔っているからなのか、それとも相手がたくまだからなのか。


「景色いいからストーリーにあげてもいい?」


「別にいいけど。ダメな理由とかなくね?」


「いや、別に匂わせみたいにあげるみたいじゃないけど。一緒のところにいるやん」


たまに同じタイミングで同じ場所の写真をのせている人を見かけると「おっと!」とおもってしまう。自分がこういう考えだからこそ気にし過ぎているのもある。


「そんなん別に気にすんなって!俺は載せないし」


「ならいっか!わかんないよね!」


「いいよ!別に俺らが一緒とか誰も想像できないだろ!」

「てか、逆に俺も載せて匂わせるのもおもしろいけどな笑」


「やだよ!絶対いじられるじゃん!」


いじられるタイプで生きてきた人間からしたらいじられるのが想像できる。「あの写真って同じところにいたってことだよね!」とでも言われるだろう。いくら違うといってもそういうことにされて永遠にいじられて地獄をみるだけだ。


「いや、やんないけどな!」


「これにしようと思うんだけど、この影映ってるけどバレると思う?」


「男か女かも分かんなくないか?大丈夫だろ!」


「だよね!これにするね!」


「俺もあげたいって言ったらどうする?」


「え、ダメだけど」


バレていじられるのが本当に怖い。


「ですよね~」


「じゃあ、別の場所行ってそこのあげるのは?」


「よっしゃ!もう少しここで時間潰したら次んとこ行こ!」

「どこ行きたいとかないん?」


そんなにあげたいのだろうか。酔いがさめてないのかもしれない。


「え、特にないよ」


自分は基本的に「なでもいい」という意見しか持っていない。決めてくれれば問題ない。けれど人によってはそれが嫌だという人もいる、というか多い。こっちとしてはあなたの好きなようにしてくれればいいよという話なのだが、それだと逆に決められないとなるらしい。


「じゃあ、こっからまた駅の方行く途中いい感じの景色の時撮るわ!」


「それいいじゃん!」


「お前の後ろ姿映るのはOUT?」


「え、通りすがりの人感出してくれるならいいよ笑」


「あげる前に確認用にみせるわ!」


「てかこんなにノリ合うならもっと昔から話とけばよかったわ!」


「それはそう!本当に思う!」


自分が異性とあまり関わらなかったからなのかもしれないが、ここまで話していて楽しいと思うのは初めてだ。


「普通にクラス一緒になったことないから話したことないのは当たり前か!」


「それはそうだし!委員会とかのそういう系も一緒になったことないんじゃね」


「逆になにで一緒になったことあるんだろうね」


「1:1状態で言葉交わしたことマジでないかもね」


「いや、あるぞ」


「なに?」


全く覚えていない。地元で仲の良かったはながとても仲が良いというのは知っているけど、自分がそこで会話をした記憶はない。というか、怖い人だというのがずっとあり話したいとも思ったことすらなく、関わるのを避けていたという方が正しいのかもしれない。


「昔、お前らがいる公園に俺が友達といったの覚えてるか?」


「あー!お菓子買って来てくれた時だよね?」


何度かはながたくまを呼んで来ていたのはもちろん覚えている。


「そう!そん時ちゃんとって言うか分かんないけど会話はしたぞ」


「なに話したっけ?」


「え、刺青の話」


「うわー!なんか思い出したわ!」

「なんか、男子が刺青あるのありかなしかみたいな話で私だけ好きみたいな話になったやつでしょ」


「そう!お前だけ刺青が好きとかいうからビビったもん」


しっかり思い出した。やっぱり驚かれていたのか。ちょうどその日集まっていた時に異性の話になり刺青ある人がかっこいい!という話をしていた直後にたくまとその友達が来て刺青の話になった。なんだかすごい見事なタイミングだった。


「普通刺青の話とかしないもんね」

「てか、なんであの時刺青の話になったん?」


「いや、いっしょにいた友達が彼女になんか刺青が好きとかいわれてどうのみたいな話になっててよ」


「そういうことね!」


「そう!だから刺青好きな女子って多いんかなって思っていいたらお前が」


「なんかどういうデザインが好きかとかいうので話したの覚えてるわ」


「マジであの時ビビったもん!」

「ただ好きなんじゃなくて好きなデザインあるとかガチやんて思って」


「なんか恥ずかしいよ」


「いや、ある意味いいギャップだよな!」


「確かに!そういうことにしとく!」


ギャップがあるというのはいい意味なのかもしれない。けれど、静かな陰キャの人間が刺青好きだなんていいように思えないのは私だけだろうか。


「ここらへんで写真とってもいいか?」


「いいよ!私歩いとけばいい?笑」


「ちょっと歩いといて笑」


たまたまそこを歩いていたかのように、少し距離をとって歩いておく。自分の後ろ姿なんて見たことがないからどういう風に写っているのか気になる。自分一人ではなくまあまあ人はいるから私が写真に写っていると分かる人はいるのか少し気になる。写っているのが私だと気づく人間がいたとしても気付かなかったで済むだろう。


「撮れたよ!」


「見せて!見せて!」


いい感じに分からない。


「投稿してもいいよ!まぁ、バレたら気付かなかったことにしといて!」


「分かったよ!笑」


「タクシーで家の方帰って中学の近くの公園行ってちょっと話そうぜ」


「いいよ!」


中学校の近くの公園はよくみんなで集まる場所だった。中学生の頃はもちろんだが卒業後も高校が終わった放課後に地元のみんなと集まって話していた。その考えなのは私達だけでなく、たくま達もでたまに会っていた。もちろんあまり話してはいないけれど。


「やばいめっちゃ眠くなった」


タクシーの中では静かな雰囲気になり、運転手さんもゆっくりな安全運転で眠気が一気に襲い掛かって来た。流石にここで寝るのはだめだと思い頑張った。


「いいよ!帰って寝な!」


「いや、話したい!」


なんだか今日はせっかくだしなんだか話したい気分だ。


「え、お前、めちゃくちゃ酔ってるだろ」


「なんで?」


「いや、そういうこと言うんだと思って」


酔っているのか自分では分からない。ただ夜になるとなんだかさみしさを感じてしまうときがある。それなのかもしれない。


「そういうときもあるのかもしれない!」


「おれさ、前に会ったイベントの時のノリでこいつ意外と面白いかもって思って」


「あの時名前で呼んでたよね?」


「え、バレてたんや」


やっぱり間違ってはいなかった。しかも、「バレてたんや」ってことはやっぱり呼ぶのがきまづかったのだろうか。


「いや、なんて呼んだらいいか分からなくて」


「みんなの事お前とかだったからそれでよかったのに」


「それはそうなんだけどな」


「ちょっとビビったもん」


「あの時仲良くなれるかもって思ったんよ」


ん?仲良くなれるかもだなんて。


「いや、ひとめぼれじゃないけどさ、なんか見た目でなんかいいやついるなって思ったんよ」


「いや、分かってたんでしょ」


「お前のコンタクトちゃんと見たのあの時が初めてで、ぱっと見だれかわかんなかったんよ」


確かにコンタクトの状態で明るいところで会うのはあの時が初めてだったのかもしれない。コンタクトにしたのは高校を卒業してからだった、けれど地元で軽く会うときはめんどくさくて眼鏡にしていた。


「そういう事ね!」

「え、てことはいわゆる()()()()()ってやつですか?」


何だか気まずく思って、ふざけて言ってしまった。


「まあ、そういうことになるんだよな」

「だから何度かこっち見て気づいてる感じで、俺の事知ってるのかな?て思ったんだけど、話したときに声聞いてお前だって分かったんだよ」


「そんなに分かんないもんなんだ、すぐばれると思ってたのに」


「いや、全然わかんないよ」


「それで、なんて呼べばいいのか焦って、お前って言うのもなんかって思っちゃって」


「そういうことね」


「そう!今はお前だけどな笑」


「名前で呼べばいいのに!」


「いや、今考えたら恥ずかしくなってきて呼べねぇよ」


「え、あんたが恥ずかしいとか珍し!」


彼は昔から人前で色々なことをするし、この前のイベントでもいろんな人に話しかけようとするし、恥ずかしいなんて感情を持っていないと思っていた。そんな人が恥ずかしいだなんて逆に面白く感じてしまう。



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