第二話 これを家と呼ぶか
道中に少し情報交換。
「私はクドウ ナツキと言います。ナツキって呼んでください。」
「ではナツキ。これから宜しくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願いします。」
「私は…名前がとても長いのでセリとでも呼んでください。職業は賢者です。」
職業が賢者ってジョブかよ…いやジョブって直訳したら職業か。
「賢者ってどんな仕事なんですか?」
「基本は様々な分野のアドバイザーや教師…ですかね。
知識が必要とされる職を全て極めた者だけが成れるんですよ。」
やっぱこの人すごいわ。身に纏うオーラ?みたいなものが尋常じゃない。
魔力量、とでも言うのだろうか。知識人特有の落ち着きのような物もあるから件の天使のように怖いわけではない。
「因みにフルネームは?」
「セルヴァンテ・ラファエル・アラガンス・ラディエス・ラドーゲス…」
「セリさんって呼びます」
「ですよね」
そうこうしている内に家へと着いた。
いや、家…?小さい…?
「着きました。小さな家ですがゆっくりしてください。」
「これを家と呼ぶか」
森が開け、視界一面を埋め尽くすのはホグ◯ーツ並の古城。ごめん、すごい人だとは思ってたけど家もでかい。ここまで近くなのに今まで気付かなかったのは魔法だろうか。
「もう隠居したので…住み慣れるとこんな荒屋でも良いんですよ?」
「あ、違います。私の家の数百倍はでかいので家超えて城レベルだなって話です」
「なるほど、そう言ってもらえると家も喜ぶでしょう。」
今さらっと隠居してなければもっとデカいって言ったよね?
「最盛期ってどれくらいの家に…?」
「世界全てが私の家と…今となっては黒歴史ですが。」
「スケールが魔王」
「賢者です」
魔王は通じるんかい。
城(家と呼んでほしそうだがどう考えても城)の分厚い城門を押し開けると、中にはずらっと鎧の騎士が。
天井が高い!騎士の威圧感えぐい!
「「「御帰りなさいませ魔王様」」」
武器をダン!と一斉に打ち鳴らす様は見事。よく見ると、中に人は入っていない。
「それはそうと今魔王って」
「【マスター錬金術:一斉所有者変更[セリ]】」
「「「御帰りなさいませセリ様」」」
「えっ」
「私は賢者です、いいね?」
「は…はい…」
もしかしなくても人類の敵じゃない?
「一つ聞かせてください」
「何でもどうぞ」
「私に害を与える予定は」
「ありません」
「じゃあいいや」
聞いた所で止められないし。
どうせこの人が助けに来なければ死んでたんだ、今更疑った所で…ねぇ?
客室まで用意してくれるらしいので歩きながら家のルールを聞く。
「まあここが当分はナツキの家となります。地下は魔物がいて危ないのである程度レベルが上がるまでは私を連れて行ってください。」
「推奨レベルは…?」
「せめて2段階くらいは限界突破してもらわないと…」
「数値でいうと?」
「200超えてください。」
「」
驚きで声が出ない。
い、いやまだ世界自体がネトゲ並みにインフレしてる可能性が
「この世界の平均は…?」
「大体寿命を全うする時が最高レベルになるのですが…平均は53程度ですね。」
はい魔王城地下はエンドコンテンツ確定!
「魔ou…セリさんのレベルは?」
「四桁超えてから数えてません。鑑定が反応しなくなりまして。」
ばけもん。
「もし宝箱を見たら私を呼んでください。パンドラです。」
「なんですかそれ?」
「箱に擬態するミミック系統の上位種です。」
「はーい。」
扉が見えてきた。あ、通路の奥に宝箱…
「あれ、思いっきり通路を塞いでますけど…」
「怪しいでしょう。アレには近づかないように。」
「了解です。」
「他には…そう。人間は私一人しかいません。寂しくなったら呼んでください。」
「相手してくれるんですか?」
「自律人形ならそこで働いていますが、まだ成長途中なので完璧な会話はできません。もし良ければ外から誰か連れてきますが」「絶対やめてください」
そうですか?しかたないですねぇ…と言いながら部屋の扉を開く。
「まぁ人間に限らなければ客人は多い方なので、退屈することは無いでしょう。」
「えっ…」
聞こえなかった事にしよう。なに人間以外って。
「それはそうとすっっごいきれいな部屋!ここ使って良いんですか!?」
「はい、基本はここで寝てもらいます。部屋を変えたければ教えてください。」
少し暗めの石レンガで作られ、壁には金の燭台が紫色の炎を靡かせている。
中央には黒色の天蓋付きベッド。掛け布団の赤さがいい感じにマッチしている。
明るさとしては暗めだが、本を見るのに不自由しない程度の明るさは確保されている。全体的に雰囲気が魔王城ではあるが、家具にもセンスの良さを感じる。
結論:めっちゃすごいへや。べっどふかふか。
「もうここでしか過ごしません」
「気に入ってもらえたようで何よりです…私はこれから仕事があるので、城の中でも探索しておいてください。」
「分かりましたー」
私は部屋に残りセリさんは出ていく。
扉の向こうで「【炎魔法最上位階:煉獄】」とか爆発音とか聞こえたけど気にしないんです。
今日は色々とつかれた…まだ昼だけど一度寝るか。
ベッドは疲れた私の意識を奪うには十分なふかふかだった。
ふか…あ、やば、めっちゃ沈む…




