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ぐっど喪ぉにんぐ!! 〜土葬少女のセカンドライフ〜  作者: わた氏
12章 きらめく、大切な思い出
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目指せ、文化祭コンプリート!

 太陽が昇れば、文化祭の2日目が幕を開ける。

 青々とした空に、真っ白な鰯雲。

 そよぐ風はひんやりと心地よく、まさにイベント日和ってヤツだ。


「郡さん! 早く早く~!!」


 校門から受付までの大きな通り道。

 前方で腕を大きく振っているザラメは、早速通行人の注目の的だった。

 まぁアイツのことだ。気にしていないだろうが。


 人の流れに身を任せてゆったり前進する俺を、ザラメは待ちきれないようだ。

 俺の元へと駆けてきたザラメは、砂糖菓子みたく目を輝かせていて。


「ついに今日がやってきましたね!」

「大げさだな」

「それぐらい楽しみってことです!」

「たかが文化祭だろ」

「されど文化祭ですっ」


 燥ぐ姿は、ガキそのもの。

 咄嗟に腕を後ろに回そうとするが、ザラメの方が1枚上手(うわて)で。


「つーかまえました♪」

「ちょっ?!」


 右腕をがっちりを掴まれた俺は、足を縺れさせながらザラメの後に続く。

 しがみつく腕を引き剝がそうにも、キョンシーたるザラメの力は存外強い。

 

「一応デートなんですし」


 と、名ばかりのデートを満喫する気だ。


 祭りの賑わいに、ザラメの声も加わって。

 ……騒がしい文化祭になりそうだ。






 ————


 受付でパンフレットを貰い、デート券の使い方を伝授してもらった俺たちは、校舎の1階を進む。

 廊下に敷かれたブルーシートを土足で踏みしめながら、ザラメはパンフレットに目を通している。


「郡さんは行きたいところ、ありますか?」

「マイホーム」

「学校の中でお願いしますね」


 分かってはいたが、文化祭の間は帰してくれないようだ。

 俺に自由は無いのか。


「ザラメ思うんです。せっかくデート券を持っているんですから、回れるところは全部回りたいと」


 確か、このデート券を持っている2人組は、あらゆる店がタダになるんだったな。

 だがさっき受付の生徒が言うには、タダにするには店ごとに条件があるとか。

 デートには試練が不可欠と。


 持っているだけでタダになるものだとばかり思っていたが、そこまで甘くないってことか。


「そしてザラメ、その条件をコンプリートしたいんです!」


 チケットを片手に口にするザラメ。

 好奇心に満ちた眼差しが眩しい。それ自体は結構だが、巻き込まれる身にもなってほしいな。


「というわけで、まずはあそこに行きましょう!」


 ザラメが指さしたのは、メイド喫茶だ。

 1年5組の標識の下には、色とりどりの装飾が施されていた。

 ピンクや水色、黄色やミントグリーンで塗られた看板に、白い文字が切り貼りされている。縁にはハートの風船が取り付けられていた。

 廊下側の窓には看板と同じ色のカーテンが張られ、布の切れ端にはレースまで縫い付けてあった。


「……入りにくいんだが」


 何ともファンシーな外装。男を歓迎していなさそうなデザインだこと。

 一方ザラメは真逆の反応だ。


「可愛いです……! 入りましょう!!」


 静かに立ち去ろうとする俺の腕を握るザラメ。

 扉を開けた先では、2人の女生徒が待ち構えていた。


「いらっしゃいませザラっち!」

「歓迎します。ようこそ喫茶浪漫へ」


 聞き覚えのある声と口調と思えば、うちのカフェの常連客だ。


「とろけるメイド、()() いずも!」

「酔いどれメイド。三木 みなも」


 黄色の和服と紺のスカートを纏っているのが、茶髪ボブの羽仁。

 水色の和服と小豆色のスカートに身を包むのが、黒髪ロングの三木だ。

 加えて、両者腰にはフリルの点いた白いエプロンを、頭にはヘッドドレスまで付けていた。

 2人は和服の袖を揺らしながら、変身する女児向けアニメにありそうなポーズを決める。


「今日はあたしたちが店員ってことね!」

「立場逆転。これも一興」


 俺の隣では、ザラメが和テイストのメイド服に目を輝かせていた。

 「うちのカフェでも皆さんで着ましょう!」とか言い出さなければ良いが。


「さっそく。デート券はお持ちですか」


 三木に問われ、デート券をポケットから取り出した。

 ザラメもデート券を2人の前に出すと、続けて羽仁が人さし指を上げて語る。


「デート券を持っているお2人には特別待遇! 試練に挑戦ってことね!!」

「さぁ。挑みますか」


 メイド2人の問いかけに、ザラメの答えは1つ。

 入りたくない俺の気持ちを度外視し、ガッツポーズで意思表明。


「もちろん、望むところです!」

「いや俺は遠慮……」

「郡さんもですよ!」


 ザラメに手を引かれるがまま、教室へと足を踏み入れるのだった。

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