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ぐっど喪ぉにんぐ!! 〜土葬少女のセカンドライフ〜  作者: わた氏
3章 登壇、デウス・エクス・マキナ!
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教えて、デウス先生! 〜2限目〜

 ――ザラメが捧げられなかった。


 神ことデウスは、はっきりと口にする。

 

「だからザラメは、埋まってたんですかね?」

「というよりは。埋まっていたから、捧げられなかったのだろう」


 デウスはさらに続ける。


「そして……気づけば私も、力を失った状態で、この世界に降り立っていた」

「なるほどなるほど……つまり?」

「つまり、今の私は神としての力をほとんど持っていなのだよ。世界を導く力を含めてな」

「つーことは、お前を倒しても意味ねぇってことか?」

「そうだ」


 あまりにあっさりと、デウスは認めた。

 名実ともにペラッペラの紙じゃねぇか!


「だからな、ザラメ。君に私を倒す理由は存在しない……そう! 年中無休でイチャイチャできる!! ひゃっほうごぉ?!」


 飛びつくデウスに、ザラメは無言で頭突きをかます。

 みぞおちにクリーンヒットしてやがるぜ。


「良い一撃だ……さすがは我が婚約者……」

「倒せないことが、これほど辛いとは思いませんでした。ケッ」


 ザラメは呆れた声で、そう吐き捨てた。

 みぞおちを押さえながら、デウスはむくりと姿勢を戻す。


「さてと‥‥‥私はそろそろ失礼するとしよう」

「帰るのか」

「コスズにも聞きたいことがあったが、眠っているからな。次の機会にしよう」


 すやすや眠るコスズに、デウスは目を向ける。

 その視線は、慈愛に満ちていて。

 子どもを見守る親のような……そんな優しい眼差しだった。


「では、ここで待ってたらどうです? コスズちゃんが起きるまで」

「いや、これから自動車教習があってな。遅れるわけにはいかんのだ」


 神でもとれんのか、免許。


「とりあえず、今日のところは失礼するよ。またな、ザ・ラ・メ♪」

「もう来なくていいですー!!」


 塩を撒きながら、ザラメは喚いた。




 ――――


 閉店作業を終え、俺とザラメ、コスズはアパートに向かっていた。


「お店、なかなか繁盛しないですぅ……」


 ザラメががっくり肩を落とし、トボトボと歩く。

 その隣に並ぶのはコスズで、ザラメと仲良く手を繋いでいた。


「そろそろ経営、ヤバいんじゃねぇの?」


 店を開いてからもうじき5ヶ月だが、客も少なく、売上も芳しくない。

 店の維持費だの俺とコスズの給料だのを差し引くと、赤字すれすれだ。


「そうなんですよぉ、何か良い手はないでしょうか」

「いっそ店辞めたらどうだ?」

「もう、すぐそういうこと言うー」

「郡……ツメタイ」


 そんなことを言い合いながら、アパートの階段を上る。

 ちなみに、俺の部屋は2階の隅にある。


「ん?」


 淡い赤銅色のドアの真ん中より上。

 俺の目の高さより少し下に、違和感を覚えた。

 薄い黄色に染まるガラスの覗き穴に、俺は目を凝らす。


「どしたの、郡……」

「覗き穴の向こうが明るいんだ」

「消し忘れたんですか? ダメですよ、電気代がムダになっちゃいます」

「いや、消したはずなんだが……」


 ……消したつもりだったが、うっかり点けっぱになってたのかもしれん。


 そう思いながら、鍵を差しこみ回す。

 そして、扉を開くとそこには——。


「お風呂にする? ごはんにする? それとも、デ・ウ・ス?」


 ピンクのエプロンを着たデウスが、立っていた。

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