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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

水っぽいスライム

作者: 佐原鯖江

早朝、高校の制服姿に左手には包帯の俺は歯ブラシを歯から遠ざけペッと口から白い歯磨き粉を洗面台に吐き出す。

そして俺の目の前にぷかぷかと浮いている女子高生。

そいつの右肩を(かじ)り「痛っ」という若い女の美声を拝聴しながらガラガラペッという効果音とともに彼女だったものを吐き出す。

「ちょっと痛いじゃないの!」

彼女が苦言を呈す。

「しょーがないだろ、ちょうどいい所にお前がいたんだから。誰だって齧る」

「その言い分はおかしいでしょ!」

「いーやおかしくない…………」

ウンタラカンタラ

と夫婦のような言い合いが始まった。

彼女は姿こそ人間だったが主成分はスライムである。


なぜこんな奇妙な状況が巻き起こっているのかを説明するには一週間前まで遡る必要がある。


7日前

ひょんなことから自分の大量の血液が水に触れた。

血液はみるみるうちに風呂の水を赤く染め始めていた。

オレンジ色になった時ぐらいだった水が発光し始めうねり出した。

その時は俺は驚きすぎて腰が抜け不気味だったので死ぬのをやめてその場を後にした。

後日その場所に戻ってみるとオレンジ色にはなっていたであろう風呂の水が透明になっていた。

そして俺は不思議と上へと心の中で水に命令をした。

その瞬間水はぷかぷかと上へ浮かんだのだ。

俺はただただ唖然とするしかなく。

そして次は水が下に飛び散るような想像をした。

すると水は下に拡散した。

俺はこの瞬間水を自由に操ることが出来るようになったと思った。結果的には違ったが、ともかく能力に目覚めたのはこの時だ。

その日俺はその能力で遊び呆けた。


6日前

この能力のことが少しずつ理解できた。

まずこの俺の血液を含ませた水は水ではなく全く別のものになっていることがわかった。

俺はこの液体をスライムと名付けた。

このスライムが便利で生ごみを食べさせると酸性になり跡形もなく溶かしてくれたり、歯磨きの後に齧るとブレスケアの効果があったりと俺が今欲しいと思うものに変化してくれるということがわかった。

しかし、出来ることが限られておりこの時はまだ喋れもしないし動けもしない、人間にもなれなかった。


4日前

スライムが二つに分裂していることに気づいた。

そして喋ることにも気づき人間の姿になることもわかった。

一つは男で一つは女だった。

その一つがさっき言い合いをしていた彼女である。


3日前

スライムが自分の意志で分裂させることができることに気づき、人間になれるくらいのサイズのスライム作りまくった。

そしてスライムが喋る条件や人間になる条件なども発見してとりあえず人間になれるスライムを作りまくった。

人間になれるスライムを作るために血をいっぱい使った。


2日前と昨日は何の進展もなく日常を謳歌しているという状態である。


「…………だから何で齧るのよ、乙女の体をよくも!」

「いいだろ別に減るもんじゃねーし」

「がぶり」

こんな効果音がつきそうなくらいには思いっきり左肩を噛まれた。「いったぁー」

「わかったか私の痛みが!プンスカ」

「いいだろう、俺ももう一度噛ませてというか齧らせてもらう」

「がぶ」

こんな効果音がつきそうなくらいには思いっきり左肩を齧った。「ぎゃあーーー」

「どうだ思い知ったか、わははは」

「私の体がどんどんなくなっていくー」

そんな齧り噛まれ合戦をしていると母親の声が響いた。

「何してるのー、早く学校行きなさいーー」

「やべ」

俺は学校の存在をすっかり忘れていた。

「早く学校行くぞ」

「えーまだ私の両肩治ってないんだけど……」

「しょーがないな…………」

俺はそう言いながら左手の包帯を取り洗面台の水を出す。

そして左手の手のひら側の手首を水に当てて血を溶かす、水は光始めそれを10秒ほど続けた。

できたスライムを彼女に渡す。

「これじゃあ足りないよー」

「これで我慢しなさい、マジでそろそろ行くぞ」

俺は洗面所を後にし学校に向かう。



俺は走っていた。

「やばいマジで遅刻するぞ」

「待ってよー」

さっきよりちょっと身長の低くなった彼女が走って追いかけてくる。

あと少しで学校という場所で俺は立ち止まる。

目の前に俺の知らない少女が立っていたからだ。

少女は言う。

「楽しそうね一人小芝居、そんなことはもうおしまい、どこにやった、私の妹は!?」

その瞬間火の玉が俺の顔めがけて飛んできた。

俺は後ろから追ってくる姿人間のスライムを本来の姿すなわち光の反射と時空の歪みだけでしか判断できない透明無色の無臭に変え防御。

ジュッと少し蒸発した。

「妹……炎……あー、2日前来たあの子か!なんか逮捕する!みたいなこと言ってたな、お前も俺を逮捕するのか?」

「それはお前次第だ!!どこだ…………おい……私の妹をどこに隠したーーーーー!!」

こんなセリフを吐き今度は火の玉を頭、心臓、四肢に向けて放ってきた俺は水を板状に展開し火の玉を凌いだ。

その時ジュジュジュジュッという蒸発する音が響いた。

「おいおい元気だな、だが妹と同じか?同じのように火の玉を飛ばしてるだけじゃ勝てねーぜ以前俺が証明してる」

「だから妹はどこだ!!」

また火の玉を今度は10ヶ所同時に攻撃してきた。

だがその抵抗はむなしく大きなジュッという音が響くだけだった。

「学習しねーな、まあいいや、いいよ妹に会わせてやる。お前の後ろだ」

少女は後ろを振り向くするとそこには少女の妹が立っていた。

少女は妹に抱きつく。

「おねーちゃん」

「良かった無事で」

そう少女が言った瞬間妹はスライムになりベタベタとまとわりつき口を塞いだ。

少女は悶え苦しむ。

だがジュッジュジューーーーーーと今度は長く大きな音でその音は響いた。

(スライム)は蒸発した。

少女は困惑している。

少女が何かしたわけではないらしい。

「おいおい、俺のコレクションが…………」

「黙れ」少女が言う。

「本物はどこだ!?」少女は問う。

「本物ならさっき蒸発したじゃないか、人型のスライムを作る時は人を媒介にして作るのは常識だろ?そうすることで姿形や声、性格までもがその人に反映される操り人形の完成さ。俺はこれで奪われた彼女を取り戻し奪った男をサンドバッグにしたぜ」

「殺す、私の命に変えてもお前はーーーー」

「お前は死なせねーぜお前を新しいコレクションにする。異能持ちはその異能もスライムが受け継ぐからレア度高かいんだよ」

「くそが」

「ほら見ろこんな長話してたから俺のスライムが集まってきたぜ。1000体くらいかなここの街はもう支配しているまだまだ増員がくるぞ相性不利の俺のスライムにお前はどう立ち向かう」

「命を賭けるといったでしょ、フェニックス召喚」

そのセリフを発して1秒後大きくて燃える鳥が目の前に現れた。

「ねえ知ってる?焼死が1番辛い死に方なんだって」

「やってみろ」



先生が言う。

「転校生を紹介します。この子は以前転校してきたあの子の姉だそうです仲良くしてあげてねー」

少女が言う。

「はじめましてみなさん―――――――――――――――――

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