1話
振り向いた時には、遅い。
風切り音と呻き声
短刀を持つ左手を振り抜き、駆け抜けた。
「コレで最後か」
周りの気配も、味方の2人以外は、無かった。
少年は、緑色の目で中背、金色の髪を後ろでまとめている。
名前は、テツヲ・フル
「またこんなに散らかして〜もう少しスマートに切れないの?」
血の着いた真っ赤な、両手の白いグローブを空気が振動するほどのスピードで振り払いながら少女は、呆れた。
名前は、クル・カオナ
「確かに、後始末をする俺の身にもなってくれよ」
白と紫の霧を身の回りに漂わせた黒髪の少年も、肩をすくめていた。
名前は、サジ・マガリ
3人は、暗殺を主とする組織だ。
テツオは、短刀を身体のどこかに隠しながら、死体の頭を持ち上げる。
「そう言うなよ。ほら、今切ったやつの顔見てみろよ傑作だろ?この顔を作りたくてわざと斬る速さを調節してたんだよ。」
確かに、それ以外の死体は、血が出にくい場所を正確に刺殺している。
とクルは、現場を見て思った。
「面白い表情ね。私も今度やってみるわ。」
真剣に悩むクルを見てサジは、我慢していた、ため息をついた。
「全く、お前らと来たら、仕事なんだぞ?遊ぶんじゃない。」
サジは、そう言いながら、広く長い廊下の後ろを振り向き死体を折りたたみ、血を水玉にしていく。
「グロっ。サジのそれも楽しんでやってるんじゃないのか?」
「人の事言えないわよ。それ」
「心外だな〜いつも見てるだろ?手伝ってくれるのか?」
首を振る2人
サジは、話しながらも、300mの距離にある200体の死体を回収した。
血は、壁や、天井に染み込ませていった。おかげで廊下が真っ赤だ。
3人は、奥へと進み施設を出た。
外は、太陽が真上に来ているようで少し暑い。
森に囲まれた場所。施設は、緑に塗装されカモフラージュ用の魔法もかけられていた。
「おかえりなさいませテツオ様、クル様、サジ様」
どこからともなく、迷彩色の格好をした女が現れた。25歳くらいだ。
「カミデさん。警戒任務ありがとうございます。それと、様は、つけなくても結構ですよ。俺達の方が、歳下なんだし……」
テツオは、腰の低いカミデが苦手だった。
金の髪をぐしゃと手で掴んで苦笑い。
「いいえ、そういう訳には行きません。ボスの命令なので……それに皆さんの方が私より遥かに強いので」
カミデは、命令や階級と言ったものには厳格なのだ。
長いものには、巻かれていたいのだった。
「じゃあ、帰るか。いくよ。」
サジは、3人を促す。
テツオとクルは、サジの腕を掴む。
カミデは、後ろから肩に手を置いた。
次の瞬間4人の姿は、帝国の都「ヨウト」の大門に居た。
続かないかも