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第八幕 ドラゴンの桃ぉ?! ゲームじゃないのにぃ、とんでもないもの食べさせられるぅッ!!



「え、はい。じゃぁ、お邪魔しまーす」



嬉しそうに、おーといった感じで、右手をあいちゃんは思いっきり上のほうに挙げる。



ユニの後をついていく。



「御飯、できてるよ。ゆーま、一緒に食べようよ」



ユニが、いつの間にか、キッチンの真ん中に立ち、ゆーまに可愛い笑顔で言った。



「お、おん。いいぞな。とりあえず、皆で、飯にするか」



そういい、ゆーまは、台所の椅子(いす)に座る。話しをしている間、どこにいたか判らなかったピットがいて、何か、言いたそうな顔だ。



「ムコ殿! もう、パンとやらを(いただ)いておるダスよ!」



ピットが、ムシャムシャとパンを食べながら言う。もう、三枚くらい平らげている。



「ピットか。起きてたんだな。ユニ、で、このトースト、何?」



ぞっとした顔で、パンを注視し、ゆーまは、パンを指差しながら言った。



「魔法の国、特製フルーツ、ドラゴン桃トーストだよ!」



「ド、ドラゴン桃?」



「ユニの魔法球で、材料を本国から取り寄せたの。朝、早く起きて作ったの。食べてみて」



ユニは、軽くウィンクをしながら、ゆーまを見詰め、キッチンの台に両手付き、立て(ひじ)をする。だが、どう見ても、これは?



「せんぱい、ゾッとしないで、美味(おい)しそうじゃないですか。見た目、ドラゴンですけど、折角、作ってくれているんだし、食べましょうよ」



あいちゃんも、どうみても、パンの上にピンク色のドラゴンが乗っているようにしか見えないパンを見て、少し、躊躇(ちゅうちょ)したが、嫌な顔をせずに、パンを手に取った。



「そ、そうだな。じゃ、食べるか。ドラゴン桃? (いけるのか)」



あいちゃんの仕草を見て、ユニにいけないと思ったのか、真摯(しんし)な面持ちでド

ラゴン桃トーストを手に持つ。



一体、どんな味がするのだろう?



「じゃ、頂きまーす!」



その瞬間、目を閉じ、ピンク色のドラゴンを見ないで、口にトーストを丸ごと突っ込んで食べた!



「う、美味(うま)い!」



美味(おい)しいです。こんな食べ物、食べたことないですぅ!」



二人とも意外という面持ちでびっくりしている。顔を見合わせ、目をパチクリする。



「意外と見かけによらず、美味いもんだな、どうみても竜がパンの上に乗ってるようにしか見えないんだが……」



ゆーまが、そういった矢先だった!



「何を言うのじゃ、この罰当たりもの!」



パシコン!


「ブッ!」



「ナにすんだ! ラクリ!」



ラクリが、ゆーまの後頭部を思いっきりスリッパで(たた)いた。ゆーまは耐え切れず、頭が前のめりになり、パンを口から少し落とした。



「姫様が、一生懸命、早く起きて作ったんじゃ。美味(うま)いに決まっとろうが!」



ラクリが、怒り、パタパタ羽を動かし、(しか)め面で、ゆーまの頬っぺたを(つね)りながら言う。



「こら、引っ張るな! 美味くないなんて言ってないじゃん!」



負けじと、ゆーまは、ジト目で横で飛んでいるラクリに言い返す。



「姫様は、こう見えても、魔法の国テスラでは、料理の腕前は五本の指に入るくらいぴか一だったのじゃ!」



頬っぺたを(つね)るのを止め、腕を胸の前で組み、えっへんと言った面持ちでラクリは言った。



「へぇ~そうなのか。家庭的でいいな。そういう料理できるお嫁さんがいいよな」



「あん、家庭的でしょ! いいお嫁さんでしょ♡」



ゆーまが、ユニを褒めた瞬間だった!



ユニが、嬉しそうな顔で、大きな胸を寄せ、むギュのポーズをまたする。



「(あいちゃんの顔色が変わった)う、褒めすぎたか? 頼む、メイドの格好で言うの止めてくれ」



あいちゃんの顔が、だんだん曇ってくるのに、ゆーまは気付いた。



「ハイ、旦那様!」



ユニは、軽快に明るい声でいう。



「うふふ、ユニさんて、面白い人ですね」



あいちゃんは、ドラゴン桃トーストを口にしながら、その口を上品に手で隠し、サラッと言った。



ゆーまは、ゆっくり視線をユニに向ける!



「(これじゃ、あいちゃんに俺が、メイドプレイをしてるみたいに見えるじゃネーかよ)」



はぁ、と溜息を付き、ゆーまは下を向き、少し落ち込んだ。





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