第七幕 朝から水着にメイド服ってかんべんしてくれよぉッ~?!
翌朝、机の前で、寝ていたゆーまは、目覚めて、目覚まし時計を、引っ掴んで薄っすらと、瞬きし、ボーっとしながら、時計の針を見た。
「ん、もう、こんな時間か!」
時計の時間をみて、ゆーまは眼を擦る。そして、ピットが、寝ていた方を見遣る。
「トントン? 何だ? あ、あれピットがいない」
ゆーまは、ピットがいないことに気がついた。下の階から、何やら包丁でまな板を叩く、音が聞こえる。
それを微動だにし、階段のほうに、ゆーまは歩いて行く。
☆☆ ☆☆
一階に降りてみると、ユニが、キッチンにいた。箒を持っている。ラクリ、ピットもいる。
「あ、あれ、ユニ、何してるの?」
ゆーまは躊躇い、眠たそうな顔から、ハッと、我に返る。
「キッチンの掃除だよ~」
顔の汗を手で拭い、明るく、可愛い笑顔で返し、ユニは一生懸命に箒で床を掃く。
「て、掃除はいいけど、何、その格好? どこからそんな服、持って来たの?」
掃除をしているメイド服姿のユニの格好を見て、ゆーまは驚く。
「違うよ、前の服と同じだよ。チェンジ!」
PON!
ユニがそういうと同時に、元の出逢ったときの格好に戻った。
「あ、あれ、昨日の服に戻った!」
口をポカンとあけ、ゆーまは度々のことに驚きを隠せない。
「これは、魔法服っていって、自分の意志で念じると、何でも見たものとか、好きな服に変われるの。チェンジ!」
PON!
ユニが、またメイド服の格好に戻った。
「で、そのメイドの格好はどこから?」
遠くを見遣るように、ジト目でユニを見遣り、内心は嬉しいのか少しドキドキと、
ゆーまは顔を赤らめる。
「本棚に入ってたの。あの雑誌で見て、ゆーま、こんなのが好きなのかなって思って。かわいいでしょ」
箒の先っちょで本棚のほうを、ユニは指差す。
「(って、メイド日記からかよ)確かに、好きだけどさ、あのね、普通の格好してて」
ドキドキし、ユニの動作に萌えているかのようだ。今にも、興奮して、ゆーまは鼻血が出そうになってる。
「はい、旦那様! むぎゅ♡」
ユニは、可愛く胸元を両手で手繰り寄せるようなポーズをする。確かに、メッチャ
可愛い。ゆーまは、ドキドキして、顔を赤らめていた。
「姫様、おやめ下さい。はしたないです!」
ラクリが、即座に少し怒った顔で言う。
「いいじゃない、ラクリ、お父様もいないんだし」
ユニが指を振りながら、ムスッとした面持ちで、眉をくすめながら言い返す!
「その言葉遣い(メイド日記見たわけね)だ、だんな様って……」
未だに、ゆーまは顔を赤らめながらドキドキしている。
「う~ん、じゃ、どんな格好がいいかな?」
しばし、口元に指を添え、むー、とユニは考え込んでいた。だが、すぐ様、きらりと閃いた。
「チェンジ!」
ユニの魔法服が、光を上げて、何かに変わる時だった!
ピンポーン
玄関のほうから、ベルの音が聞こえてきた。誰か来たのか?
皆、その場で、頓狂な顔をする。
「や、ヤベェ、あいちゃんだ! で、なんでしかも普通の格好が水着なんだよ!」
何と、ベルの音と同時に、ユニはセクシーな水着に魔法服を替えていた! それをゆ
ーまは一瞥し、慌てる。慌て、大きな声でいい、手足をジタバタする。
「先輩、迎えに来ましたですぅ!」
あいちゃんの可愛い声が、玄関のほうから流れる。今にもドアを開けそうな雰囲気だ。
「ハぇ、ちょ、ちょっと待ってて!」
ゆーまは、玄関口で必死に弁解を試みる。が、聞きそうに無い。
「早く着替えろ、ユニ!」
後ろを向き、水着姿のユニを、ゆーまは慌てて説きふかそうとするが。
「せんぱーい、開けますよ!」
あいちゃんが、ドアをその瞬間、開けた! 目の前にある光景が、自身に入ってく!
「ん、何がいいかな?」
ユニが、必死にチェンジする服を考えていた。
「とりあえずだ、前の魔法服!」
もう、手遅れだった。
「み、水着? な、何してるんですか? せんぱい?」
まともに、ユニのビキニフリフリ付きの、セクシーな水着姿をあいちゃんは見た。
しかし、ユニの姿を必死にゆーまは、身体で隠した。
「あはは、何でもねーよ、(この水着はユニのやつ、水着日記みたな)」
目をパチクリし、怪訝な面持ちでゆーまは、隠そうとした。その時だった!
「む、胸が当たってる! ュ、ユニぃ!」
ユニが、ゆーまの後ろから、大きな胸を思いっきり、ゆーまの身体にムニュっと擦り付けてきた! ゆーまは、顔を赤らめ、行動が可笑しくなってきた。
「チェンジ」
ピカァ!
ユニが言うと同時に、水着がメイド服に変わった。
「旦那様! 御飯ができています」
ユニは、ペコリと丁寧にあいちゃんにもお辞儀する。
「(確か、さっき水着だったような)あら、可愛いメイド服の女の子ですね!」
「はぃ? だぁぁぁぁぁっぁ、何で、メイド服に戻るんだよ!」
前を向いていた状態から、隠していたが、ばれてしまい、後ろを振り向き、大声をゆーまは張り上げ、ゲそっと顔色を変える。
「その女の子は、誰ですか?」
「あ、いや、あの、従兄弟の女の子だよ!」
「違います。魔法の国から来た、ゆーまの許婚です!」
ユニが、急いで訂正するように反論した。女の感があるのか?
「い、許婚? ま、魔法の国?」
あいちゃんが、チンプンカンプンな面持ちを見せる。
「ち、ちがうんだよ。その、あの、もう、ほんとに、何、言うんだよ、ユニ!」
ジタバタ、手足を動かし、困った面持ちで、ゆーまは慌てる。ユニが不思議そうに見てる。
「ややこしくなるから、今、聞いたことなかったことにして、あいちゃん」
「じゃ、聞かなかったことにしますね」
あいちゃんが、ゆーまの言ったことに対し、淡々とニッコリ笑いながら言う。
結構、図太いのかもしれない。あいちゃんの容姿は、ポニーテールの明るい茶の髪色で、小顔、身長160センチくらいだ。胸が少し大きい。同級生ではなく、ゆーまの一個、年下のようだ。格好は、制服の割には、ファッショナブルだ。とてもカワイイ。
「ま、まだ時間があるから、とにかく、玄関もなんだし、上がってよ、あいちゃん」
ゆーまは、あいちゃんに、手招きをし、廊下を数歩歩いて行く! ラクリとユニも後を付いていく。