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第四十一幕 かわいい子は刺客?!んなわけねぇよなぁッ、怒って電撃でホテル燃やさないでくれぇッ!! 勇者辞退してぇぇッ!!




「あれ、あなた、どっかで会ったかな?」



「(しまった、口が滑った)お客様、そんなことは御座いませんのよ。初対面だと想いますの……」



「うーん、そうだよね、あたしも、ここ来るの初めてだしね。でも、風景が何となく何か見覚えがある気がするんだけど……気のせいかな?」


ユニがそういったときだった。ラクリが近くの風景を見渡し、鋭い勘を遮らせる。


「そういわれてみれば、姫様、魔法の国にも同じような風景があったような気がしますじゃ」


「何か、あたしの国の王立ウイングビーチに似てるね」


ユニも口に指を咥えて、辺りを万遍なく、見渡していた。


「(仕舞った、風景は魔法で変えてなかった。ば、ばれかけてる)はぁ、ここは南国の島なのですが」


リセスは戸惑い、硬直しながらいった。口を一瞬ポカンと開けた。


ヴィオラとリンは鋭い目付きでリセスを見遣っていた。明らかに怪しいといった面持ちで。


能天気なゆーまは考えもなしに明るい声で喋り出した。


「そうだぜ、ユニ。このパンフレット見ても、ここは多分、赤道近くにある最近、音黒トラベルエジェンシーが買収した、音黒島だぞ。そう書いてあるぞな」


「ほんとですねって、当たり前ですよね。ユニさんは異世界からだし」


あいちゃんが気前よく言う。確かに理論上はそうだが。だが、懸念して、レヴァが言った。



「いや、そうとも限らない。もし、異次元穴(ディメンション・ホール)で刺客でも来ていれば、話は別だ」



「なんか、リセスさんと何処かで似たような声も聞いたことがあるような気がするんだけど」


ユニが何かを思い出そうとしながら言う。


リセスは動揺していた。顔色を変え、どうにか、展開をよくしようと、試みていた。


「生憎ですが、その、初対面ですよ。そんなことはないですのよ。皆様、それでは、お部屋にご案内いたします」


「むぅむ、(何か、怪しい。挙動不審だし)」



ユニがジト目で見遣った。緊張して前を歩く、リセスに疑心暗鬼な面持ちを見せ、思惑を張り巡らせていた。



その時、止まっていたユニを不思議に思ってか、ゆーまが声を掛けた。



「ユニ、何やってんだ。いこうぜ」



「う、うん」



「に、しても、阿蓮、俺の頭の後ろから、浮遊しながら、胸くっつけて歩くナァ!」



ゆーまは顔を赤らめ怒る。後ろから、大きな胸を頭にくっつけられ、もみくちゃにされていた。阿蓮姫は

さらに胸を揺さぶり、くっつけた。大胆不敵だ。


ゆーまは更に顔を赤らめ、猛烈に色気を感じていた。


「おほほ、気持ち良いことでしょ。ゆーま様♡」



「やめろって、こっちは、困るんだぁ」


「坊や、赤らめて可愛いこと」


「はなせてば」


ゆーまが再三、困った面持ちで反発する。リンが隣で顰め面をしていた。



「あたいのゆーまに何すんの。あんた、しょっぱなから、あたいに喧嘩、売ってるね!」


「おほほほほ、小粒姫のぺチャパイでは、こんなゆーま様を励ます行為は出来ないことよ」


胸を大きく揺らしながら、阿蓮姫は罵り、リンを挑発した。これを聞いたリンは完全に頭にきていた。


「もう、頭に来た、このホテルごと、雷撃で燃やしてやる!」


そういい、天に魔法剣を掲げ、魔法のオーラを赤く照らし出し、雷魔法の雷撃を落とそうとしていた。


スパークが既に、散っていた。


「(あの、励ますって……)もう、再三、何でそうなるんだよ、仲良くしろよ」


そうゆーまがいうと、プイッと二人は反対方向を向いて、まったく聞きそうにもなかった。永遠にライバルだ。ゆーまはそのうちに、私物化だ。


様子が落ち着いた所で、間合いを見計らって、リセスが口を挟んだ。


「さ、皆様、男方は全員、三〇二号室です。女方は四六二号室です。ご案内いたします」


手で部屋先の看板を指差しながらリセスは言う。


「(全員、同じ部屋?)ふぅ(なんか嫌な予感がする)」


ふと、思い遣り、溜息を付く少年がいた。


「先輩、どうしたんですか? 溜息なんてついて」


「いや、なんでもない」


あいちゃんが、ゆーまを再びみて、不思議に思ったときだった。リセスが笑顔で微笑んでいった。


「昼ごはんは、音黒ホテル前にある、音黒ビーチで、十二時からバーベキューとなっております。このお食事券を各自ご持参ください」


「はい」


話を聞くと、各自お食事券をリセスから受け取った。小さなカードだった。


「やったダス。御飯ダス」


ピットはその場で無邪気にお食事券を持ちながら飛び跳ねた。


「(お前の悩みは飯だけかよ)」


ゆーまがジト目で捩ったその時だった。レヴァがヴィオラに向かってリセスを一瞥し、ボソボソと小声で不可解なことを話し出した。


「ヴィオラ、オレたちは姫様とは、違う部屋だ。念のためにも、気を抜くな」


「判っている。姫様のことは任しておけ」


「どうしたんだ、レヴァ?」


レヴァとヴィオラの遣り取りが少し聞こえたのか、レヴァにゆーまは聞き返した。だが、レヴァは口を濁した。確かに小声で、ゆーまはぼんやりとでしか聞こえてなかった。


レヴァはどうにか誤魔化そうと拳を振り上げた。


「いや、婿殿、ティグレ殿が起きないから、叩いてでも起そうかと」


「おきろぉ~」


こつん!


「がぅ」


強烈なレヴァの張り手がティグレに飛んだ。ティグレは、苦悶声を上げた。頬が赤くなり、唾がフロアに飛んだ。そして、一瞬目が覚めたものの、また、寝てしまった。本気ではないとしても、強烈なビンタだ。


「(いたそう……)あぁ、レヴァ~、起きるどころか、また失神しちまったじゃネーか、」


「あはは、大丈夫だよ。張り手で、死ぬような奴じゃないからな」


「がぁ、ふっかーつ!」


ティグレはムクッと立ち上がり、ゴリラのように筋肉を膨らませ、胸板を上げ、大胆で力強いポーズを取った。


大きな雄叫びがフロアに響き渡った。何事かと、顔を顰める人もいた。


「起きた?(あはは、まるで石棺に入って起きたミイラみてーだな、こりゃ)」


そして、ゆーまが呆れて嘆息を吐くと、エレベータに乗り込み、各自、男部屋、女部屋に向かった。




☆☆  ☆☆


















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