第十九幕 新しいせんせはくせものぉッ?! 美人できれいなバラには棘がありぃッ?!
そして、暫く時間が経ち、天気が良く、明るい陽射しが差している。あいちゃんの教室では、英語の授業が行われていた。
何やら嬉しそうにニヤケながら、あいちゃんはノートにシャーペンで書いている。
「うふふ」
アイラブユー♡ 詩作☆あい
先輩 先輩 あなたが好きです♡
先輩 せ・ん・ぱ・い あなたが大好きです♡
こっちを向いてください こっちを向いてください
あなたが好きです 横顔が眩しくて 死にそうですぅ
風が流れると 風が吹くと スラッとした長い前髪が好きですぅ
こっちを覗き込んでください あたしがいます あたしがいます
瞳の奥に 吸い込まれていくようで 少年のような瞳の色の輝きが好きです
先輩 あなたに酔いしれています
あなたの夢に あたしはついていきますぅ
あなたにForever you
アイラブユー 先輩 CHU♡
「うふふ、(また書いちゃったぁですぅ。あいの片想いですぅ)」
にやけて、嬉しそうな笑顔が止まりそうになかった。しかも、最後のハートマークが、デカかった。
「何々、どんな詩が、出来ているのかな? 星村さん?」
「あ、せんせい、ちょっと、待ってください」
英語の先生は、ゆーまに向けた愛の詩を書いてあった、あいちゃんのノートを取り上げた。
「どれどれ、『先輩……です』一体、誰のことかな?」
「先生、声出して読むのは、止めて下さい」
「今日から、英語の教師で赴任してきた、ヴィオラ・ジェラニだ。宜しくな、可愛い詩人ちゃん!」
そういい、笑顔でヴィオラ先生は、詩が書かれたノートを、パラパラ捲って、あいちゃんに返した。他にも、ゆーまのことを想って書かれた詩が何編かあったようだ。
「(詩人ちゃん?)よろしくですぅ。(良かったですぅ。先生、態と好きですの所だけ読まないで飛ばしてくれたですぅ)」
恥ずかしそうな顔で、あいちゃんは、ノートを渡され、ホッと胸を撫で下ろす。
「ふむふむ、(さては、聞いていたユニ様の愛しい許婚の名前みたいだな。この子も好きなのか? ユニ様と喧嘩にならなければいいが)」
パラパラあいちゃんのノートを捲って、書かれていた名前を見たのか、ヴィオラ先生は顎に手をやり、少しの間、黙考し、華麗な足取りで再び教科書を手に、あいのことを懸念し、教壇の方に歩いて行く。
そして、教壇の机に立った。
「さ、皆、授業を再開するぞ! 英語の上達の近道は、星村さんみたいに、何でも好きな歌詞や詩を英語で書いてみるのもいいんだぞぉ」
英語では書いてないが、鯖を読み、メリハリの付いた声で、威勢よくヴィオラ先生は言う。
「(日本語なんだけど。先生、態とフォローしてくれてる)」
シャーペンを持ち、立て肘をして、ニコニコとあいちゃんは、良かったという面持ちでいた。
「それじゃぁ、私の授業中に英語の詩を書いたバツとして、星村さん、セクション4の例文、読んで和訳してみて!」
「え、は~い。こんなの簡単ですよ!」
そういい、英語の教科書を片手に、あいちゃんは席を立った。クラスメイトの視線が集まる。
「『You said on that day. Me when it is favorite.
If love is not study. 』あの日、キミは言った。私のことを好きだと。恋愛は勉強じゃないのよと、かな」
簡単に訳していく。英語の文章の発音も完璧だ。図太いだけでなく頭も、ゆーまより、可也いいようだ。
漫才で、あほな事ばかりしているゆーまとは、大違いだ。
「ハイ、よく出来ました。さすが、星村さん、学年トップなだけはあるわね。発音も完璧よ」
「ありがとうございます」
完璧な発音と和訳に、クラスメイトからお~とッ、凄い反応が起きる。あいちゃんが、ペコリと礼をし、座ろうとした矢先だった。丁度、時計の針は、授業の終わりの時間を差していた。
キーンコーン
「もう、チャイムだな。今日は、ここまでだ! 次は、セクション5をするから、皆、予習してきてね」
「はーい」
元気よく、軽快な返事が、クラスメイトから飛んだ。やっと終ったと。腕を伸ばす生徒もいる。ヴィオラ
先生は、教えていた教科書や参考資料を、開いていた状態から閉じて、鞄に仕舞った。
「起立、礼」
当番の生徒が言うと同時に、生徒が全員立ち、ヴィオラ先生と向かい合って、礼をした。ヴィオラ先生が、颯爽とした様子で、教室を出て行く。
「(さてと、私の担当の授業も全て済んだし、職員会議が終わってから、ユニ様を観に行くとするか)」
ヴィオラ先生は、ユニに会えるのが楽しみなのか、笑顔でルンルンだった。
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