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第十五幕 このままだと、逮捕か、ころされるぅッ!! なんでもいいから記憶を消してくれぇッ~?! 




「大丈夫だよ、元気だして。あたしがいるじゃない」



ユニが蹲っていた、ゆーまの肩を、ポンポンと叩き、励ました。ゆーまも、半泣きでユニを一瞥する。



「そ、そんなことより、ユニ、はやくこれ、元に戻せ。一生の恥だぁっー!」



「すぐには、戻らないよ」



ユニが、毅然(きぜん)とした顔で、キッパリと言った。



「なにいぃー、半永久的、何て、いうなよ」



「プロポーション針の効力は、十五分間だけだよーん。もう少ししたら、みんな元に戻るよ、ゆーまも。

ユニのことが、心配だったのね。危険を顧みず来てくれたんだ! うれしい♡」



「な、十五分も、このままなのかぁッ~!」



ゆーまは、愕然(がくぜん)となった。



「えへ。うん、そうだよ。ゴメンネ。カエルさんみたいにお腹、大きくしようと思ってたの。ゆーまが、急に動くからだよ」



「動くかラジャねー。そんなの、今度からしないでくれ」



「あたしは、ゆーま、そういうことで、あんまり怒らないし、優しいから好きだよ」



「うぅ、怒る気にもならないが、これは、醜態だぁぁぁっ」



ズボンから出た、局部を必死に隠そうとしていた。



「ちょっと、ユニ、こっちあんまり見ないでくれ。恥ずかしすぎる」



ユニが、目の前に近付いてきて、胸チラを炸裂させた。



「わぁ、胸、近づけるの止めろって! そんなに近付いてきたら、また、おっきくなるじゃネーか」



「うふふ。照れ屋だね、ゆーま。ユニの見たい? 見たい?」



更に近付き、ユニは、胸元を隠していた、バスタオルを取ろうとした。



「バ、バスタオル、取るなぁ~! 止めろって、わぁ!」


パッ!



一瞬で、ユニはゆーまの目の前で、大胆にバスタオルを取った。ゆーまは、赤面になり、目を手で隠した。口がカクカクしている。



「うふふ。ゆーま、可愛い。目を開けて、大丈夫だよ! じゃーん、バスタオルの下に水着があるもん!」



「って、お前、からかったな~!」



ゆーまは立ち上がり、手を挙げて、ユニを追っかける。デカくなったあそこが、可也、走るのに邪魔だ。



「キャー、変なのがいる!」



女性客から、当然のように軽蔑(けいべつ)に似た悲鳴が上がる。



「うう、しゃーねー、Tシャツの中に隠すか!」



そういい、ゆーまは、デカ物を服の中に隠した。Tシャツがアソコで(もろ)に膨れ上がる。だが、どこから見ても、変質者だった。



「ユニー、これ、どうにか、ならねーのかよ!」



「えへへ、ゴメン、無理。ゆーまが、あたしの見たいのかなと思って、試しただけだよーん。 ユニは、元々、胸が大きいけど、さっきみたいな超爆乳がいい? プロポーション針で、突っ突こうかな?」



「それは、止めろ。後が、大変だ。って、こらぁ、待て! 誤魔化(ごまか)すな!」



ユニと追いかけごっこをしていた、その時だった。



「警備員さん、この人です。(のぞ)き魔です。こいつ、警察に突き出しましょ!」



何と、女性客が、ホテルの警備員を連れてきたではないか。窮地だ!



「け、警察ぅ? ち、ち、ち、違うよ。覗きたくて、覗いたんじゃねーってば、ほんとだよ。たださ、悲鳴がしたから彼女が、心配だったんだよ!」



「嘘いいなさい、お風呂のど真ん中に行き成りいたじゃない!」



「あ、アノそれは……そのあの」



ゆーまは、絶体絶命で困惑し、何か、方法がないか、辺りを見回し、探そうとする。



「(そうだ)ラクリは、どうした?」



「ラクリは、多分、ピットと一緒だよ。どこに行くか伝えてないし、どこでも魔法陣で来ちゃったから、多分、場所、わからないよ!」



近くにいたユニが答える。



「とりあえず、どうにかしてくれ、ユニ! このままじゃ、警察に連行されるぅぅううぅ!」



捕まりそうで、オロオロとし、ゆーまの顔は、悲嘆の色に満ちていた。



「逮捕よ、逮捕よ!」



女性客が再三、責める。警備員が、身を乗り出した。



「えぇぇえい、違うんだよ! ユニ、皆から、銭湯に入ったときの記憶だけ消してくれぇ、そんな魔法ねーのか!」



「一時的に記憶を消すのね! あるよ、これを使えば大丈夫だよ!」



PON!



「魔法アイテム、『メモリーデリートハンマー』!」



ユニが、魔法球から、中くらいで、手に持てるくらいのハンマーを取り出した。



「えい!」



ユニが、華麗にジャンプし、女性の頭を軽くハンマーでポンと叩いた。すると……



「な、人が、気を失って倒れていく? 一体、どうなってんだ?」



ゆーまは、ポカンと口を開ける。



「えぃ、えい! えぃ、えぃ!」



PONSUKA!



どんどん、ユニは、周りにいた人たちを、あっと言う間に、メモリーデリートハンマーで叩いていく。



あれよ、あれよと、叩かれた人は、その場に気を失い倒れていく。



「ふぅ、人数が多いから、大変だわ。でも、もう大丈夫だよ、全員叩いたから!」



ユニが、えへんと、可愛い声で汗を(ぬぐ)いながら言った。もう、その場には、ユニとゆーまを残して、全員、気を失って倒れ伏した。



その時、一番、最初に叩かれた女性が、目を覚ました。



「あれ? 私、ここで何してたのかしら?」



「あ、あの、すいません。俺のこと、知ってます?」



恐る恐る、ゆーまが、身を乗り出して、訊いてみた。



「ん、いえ、知りませんけど。私に何か?」



完全に、さっきまでの記憶は、消えているようだ。ゆーまのことも、知らないみたいだ。



「は、裸!」



ゆーまが、その女性の真っ裸を見て、赤い顔をし、鼻血を出した。



「キャァ!」



バチン!



「あぅ!」



女性のビンタが、ゆーまに飛んだ。ゆーまは、反動で後ろにこける。



「大丈夫だよ、ゆーまぁ、ちゃんと、記憶は消えてるよ」



ユニが、可愛い声でおっとりという。



「おぅ、おーいたぁ。(やっぱり、こうなるわけね)」



頬っぺたを、ゆーまは押さえ、痛そうな顔をする。



そういった矢先だった。ゆーまが、確認するように辺りを見回した。



「オレの記憶も消えたし、とりあえず、ユニも風呂、入ったんだし、納得しただろ? うちに帰ろう!」



「うん、そうだね! 『魔法のタクト!』」



ユニが、笑顔で可愛く答え、魔法球に手を突っ込んで、魔法アイテムを取ろうとした。



魔法球から、魔法アイテム、魔法のタクトを取り出し、すらすらと魔法陣を風呂場のタイルに書き施した。



「展開! 『どこでも魔法陣!』」



そういうと、一瞬にして、魔法陣は光り輝いた。



「ゆーま、こっちに来て」



「おう」



ユニが手招きし、ゆーまが、魔法陣に入ったのを確認すると、ユニは、目を(つむ)って念じた。



「展開! ゆーまの家!」



ピカァ!



「はへ、き、消えた?」



地面に()(つくば)っていた警備員が、ポカンと口を開けて言った。残ったのは、女湯の客と警備員のみだった。



「きゃぁ、何、このデカ胸?」



「いいですな!」


何と、ユニのプロポーション針の効力が、まだ残っており、記憶は消えた物の、女湯の客は皆一様にデカ胸だった。一人、ぽつんと、この状況下にいた、悲劇の男がいた。



「何、見てるのよ! この警備員、変態よ!」



「はへ、違うんですよ。あ、あれ、さっき何だか、(のぞ)き魔がいたような? 記憶が?」



「何、言ってるのよ。覗き魔は、あんたじゃない! ここは、女風呂よ」



バチン!



「ギャー、巨乳地獄だ!」



近くにいた女性のビンタが飛び、再び、戦争が勃発(ぼっぱつ)した。



(あえ)ぐ暇もなく、一瞬のうちに警備員はボコボコニされた。顔だけがにやけていた。



そして、携帯電話を持ち出し、警察に電話しようとしていた女性がいた。災難はどこからともなく訪れるのだろうか。まさに、急転直下だ。







☆☆  ☆☆


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