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プロローグ

 


 学校生活において自分の持つ立ち位置というのは何よりも大切になってくる。その立ち位置ひとつでいじめの対象にもなりかねないからだ。


 クラス内のカーストなど一昔前に比べればその存在は減ったと言えよう、しかし実際は皆心のどこかに勝手な上下関係を持っていてクラスを見ればそれも一目瞭然だ。


 俺のクラスにも見えないカーストは存在する。


 イケメンだったり可愛かったり、人を引き寄せる何かを持っている人間が自然とカーストのトップになっていくのは必然と言える。同時に彼らの周りには人が集まり、常に人目に晒されてしまう。人目を気にして生活しなければならない苦労はもちろん、ひとつのミスで地の底まで叩き落とされてしまう。


 逆にマイナスな何かを持ってしまった人間は自然とカーストの下位、果てはいじめの対象になり最悪な学校生活を送ることになるだろう。一見キラキラな学校生活に見えても実際はドロドロなのだ。


 だったらどんな自分を演じれば平和に過ごせるか、それは簡単な話だ。特に何も持たない人間になればいい、特別なにかを持たない限り平均的な人間としてカーストの中位を獲得出来る。下位のように見下されずに済むし上位のように常に人目を気にする必要も無い。


 つまるところ俺が目指すのは特に何も持たない人間、悪い面を見せず逆にいい面も見せない。たまに少しだけ何も出来ない訳じゃないと主張していればそれでいい。簡単なことだ。


 じゃあどんなふうに過ごせばいい?


 そうだな、例えば教室でひとり勉強してる奴、あれはダメだ。ガリ勉は成績は良くてもクラス内で浮いてしまいカースト下位になる可能性が高すぎる。前にラノベでガリ勉君に勉強を教わりに行くギャルとの間で恋に発展する甘々なものを読んだが現実にそんなに女は存在しない。浮いておしまいだ。


 ではそんな青春ラノベを読み込む、つまりひとり黙々と本を読みふけるのはどうだろうか。確かに目立たないかもしれないがこれも当然ダメだ。確かに誰かとつるむ気苦労は無いかもしれないがカースト上位からすればいじめの格好の的になる。


 他に思いつくとすれば適当に友達を作り逆に一人でいる読書くんをいじるウェーイになる道、当然アウトだ。イケてない人間が無理してウェーイしたところでただ嫌われて終わる。


 ウェーイがダメならカースト上位の囲いになってみよう。アウトだ。一見安定したポジションに見えてこれはなかなか崖っぷちなのだ。中心人物のアイドル様に少しもダメな部分を見せては行けない。オシャレに気をつける、流行に乗り遅れない。厳しすぎる。一歩間違えれば谷の底なポジションに望んでなるやつはいない。


 このことから考えられるのはひとりでいるのはアウトだが大人数に混ざるのも危険ということ。ならば残された道は目立ちすぎることも一人浮くことも無い人数、2.3人で程よく生活すること。その人数であればいじめの対象にはなりにくく目立ちすぎることも無い。ひとりというのはいじめやすいのだ。例えばいじめられたボッチくんが訴えたところで普段誰とも話さないボッチくんの話など誰が信じるだろう? 信者がわんさか湧いてるイケイケくんより信じてもらえるだろうか? 否、信じられるはずもない。


 その点では、俺は友に恵まれたと言っていいかもしれない。基本的にふたりで行動出来ることは先に述べたように利点が多い。


 そいつがクラスでそこそこの立ち位置を持っていたらなおいいと言えるだろう。それだけでいじめの対象や下位になることは絶対になくなる。素晴らしいシステムだ。


 とまあ、話が長くなりそうだからこの辺にしておこう。つまるところ俺は特に目立たず平穏な学校生活を送れればそれが一番なのだ。




 ――――――



「…宮! 二ノ宮! 」


 クラス内に響く俺の名前。

 俺は自分の名前を呼ぶきつい怒声で夢の世界から引きずり降ろされた…叩き起された。朦朧とした頭に喝を入れて重い瞼を持ち上げると視界にはこちらを見てくすくす笑うクラスメイトが映り込んでくる。


 やってしまった。新学期早々これだ。間違いなくこいつらの中で俺は授業中居眠りをする奴の烙印が押されてしまったに違いない。


「ったくいつまで寝ているつもりだ二ノ宮。お前のせいでいつまで経っても授業が始まらん。しっかりとしろ」


「すみません、気をつけます」


 俺は落ち込む心にため息をしながらクラスを見渡す。ああ、これで俺の学校生活も終わりか。


 視界の端に映る白く長いストレートヘアーの少女もこちらを見て微笑んでいる。


 天塚白奈(あまつかしろな)、俺の幼馴染でこのクラスのカーストトップの人間。

 アルビノという生まれつき色素が少なく肌も髪も真っ白という体質を持っている。顔が小さく目鼻立ちも整っていてスタイルも抜群、何よりその笑顔は人を魅了する。すれ違った男子全員が思わず見とれてしまうこの学校の天使だ。

 そしてその美貌で大人気女子高生モデルSHiRoNとしても活躍している。


 次に写ってきたのはニシシとでも声に出てそうな笑みを浮かべている茶髪の若干ギャル風の少女。


 彼女は木下(きのした)ひまり、白奈同様俺の幼馴染でカーストトップ。

 彼女も白奈と並んでこの学校が誇る美少女、どことは言わないが白奈と違って起伏が無いようにも見えるが、その無邪気な笑顔と誰にも分け隔てなく絡んでいく性格は人気者のそれだ。


 最後に俺は自分の目の前で俺の顔を見てからかうような視線を向けてくる男子と目が合う。


 こいつは清水海斗(しみずかいと)、幼馴染という訳では無いが高校からつるみ始めた俺の親友だ。

 それなりに高い身長とその爽やかな風貌は文句なしのイケメン様。なんで俺と仲良くしてくれてるのか疑問なほどのイケメン様。本当ならカーストトップのグループにいてもおかしくないはずだが、なぜかこいつは俺とつるむ事を好んでいる。


「なんだよ」


「いーや? なんでもねえよ? 目立ってんなあって思っただけだよ」


「うるせえ」


「なあ、お前ってなんでそんなに目立つこと嫌うんだ? 顔だってせっかく整ってんのにそうやって髪で隠して台無しだしよ」


「色々あるんだよ」


 ふーんと言いながら俺をつつく海斗を無理やり前を向かせて俺も目線を現代文の教科書に落とす。イレギュラーはあったが良く考えればそこまで問題は無いはずだ。俺の平穏な毎日に乾杯っ。


「二ノ宮! 今は英語の時間だ!」



 ――――――――――



 キャラクター紹介


 二ノ宮 葵

誕生日 7月7日

身長 170cm

髪色 黒

目の色 黒

 この話の主人公。目立ちたがらない性格で常に海斗と行動を共にする。だが実は大人気モデルKuRoである。普段はウィッグで目元を隠している。


 天塚 白奈

誕生日 12月24日

身長 156cm

髪色 白

目の色 赤

 アルビノ少女。クラスの中心的人物で学内にはファンクラブが存在しているという噂も…

 明るい性格でその笑顔に魅了されて告白した男子の数は学年が変わって一ヶ月で二桁にのぼる。

 実は大人気モデルSHiRoNである。


 木下 ひまり

誕生日 ???

身長 160cm

髪色 茶色

目の色 茶色

 葵と白奈の幼馴染で若干ギャル風の美少女。白奈に負けず劣らず整った顔立ちでラインも細くスレンダーな体型、どことは言わないが小さいことにコンプレックスを持つ。

 いつも白奈と行動を共にしている。

 実は…


 清水 海斗

誕生日 ???

身長 176cm

髪色 薄い茶色

目の色 薄い茶色

 葵の親友。高校に入ってからひとりでいた葵に声をかけて友になる。

 たまに呼び出されるくらいモテる爽やかイケメン様。

 実は…



以前投稿していたものの続きを書いていきます


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