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ネクサスセイヴァー  作者: 謎の生物
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第6話 この世界についてとモンスターとの初遭遇

 何とかぎりぎりGW終わりに間に合いました。

 社の扉を開けると見知らぬ草原だった。

 そんな草原に立って呆然としていた俺達の前に現れた見知らぬ少女。

 見た目で判断するに可憐や愛ちゃんぐらいの年齢で、栗色の髪をショートカットにした娘で地味でシンプルな上着とスカートを着ている。

 ラノベなどで出てくるいかにも村娘と言った風貌である。

 

 そんな彼女だが、目を見開いて驚いた表情をして、俺達を見つめているが俺達も驚いており、きっと同じ様な表情をしている事だろう。

 もっとも俺達の場合は人間に出くわした事よりも、明らかに西欧人のような顔立ちをした日本人じゃない人間に出くわしたからである。

 俺達が今いる場所が日本でない可能性が高くなったからである。


 そういう意味もあって俺達も驚き、お互い驚きの表情でしばし見つめ合った後、


 「だ、誰ですかあなた達は?!」


 先に少女の方が問いかけてきたが、俺達はどう見ても外国人の彼女が流暢な日本語を話す事に驚いた。

 あれ?ひょっとしてここは実は日本でドッキリ???


 「ひょっとして君、日本人?」


 思わず、目の前の少女に尋ねてしまい、少女は俺の問いに怪訝な表情になり、


 「な、何ですかその”にほんじん”って?そもそも、あなた方は誰なんですか?」


 より警戒される事となってしまった。

 

 「私達、いきなりこの地にやって来て自分でも状況がさっぱり分からないんだよ~。出会ったのも何かの縁だから人助けと思ってちょっと教えて~。」


 そこに真心が半泣きの表情で迫る様に言いより、少女はそんな真心に気圧された様に一、二歩後ろに下がりながらも頷いた。

 案外、こういう場合は俺のような異性よりも真心のような同姓、しかもこの様に泣き顔で迫れる天然の真心の方がいいのかもしれない。

 真心と少女のやり取りを見て俺はそう思った。




 この少女、名前はコレットと言い、コレットと真心の会話でここは地球ではない事が確実となった。


 俺達が今いるところはエルサリア聖国せいこくの首都(こっちでは聖都と呼ばれている)から川沿いに従って、西に馬車で進んで四日の距離にあるアンソンという村の近くにある、かなり昔に建てられ、既に朽ちている異国の宗教施設だと教えられた。

 コレットはその村に住んでおり、この場所も一応、宗教施設で異教の神を祭っていると言う事で、たまにきて祈りを捧げるそうである。


 この世界は何て名前なのかを尋ねたら、世界に名前何てあるのですか?と帰って来たので、この世界の総称がないのか、単にコレットが知らないのかのをどちらかと思って、それ以上は聞かなかった。

 他にも色々と尋ねた結果、この世界は間違いなく地球ではないと俺達の中で結論が出た。


 この世界ではモンスターと呼ばれる色んな種類の怪物達が当たり前にあちこちに存在して人間、動物構わずに襲っており、時には村や町も襲っているなんて聞かされたらどう考えても地球とは思えないだろ・・・。

 ただエルサリアという名前が出て来た時、学園の名前と同じなので関係があるのかと思ったが、考えても分からないのですぐに考えるのを止めた。

 

 「そーなんだー、色々と教えてくれてありがとうコレットちゃん。」

 「い、いえ、皆さんのお役に立てたのならよかったです。」


 コレットは真心のノリについていけないのか、少し引いた様子を見せながらそう返して見せた。どうやらこの娘、見た目通りの素朴な村娘の様である。


 「ねーねー光君、この場所も含めて私達の今の状況はこれからどーしよう?」


 真心が俺を見ながらそう尋ね、可憐やコレットまで俺を見ているが、いきなり俺にそんな事を聞かれても分かる訳ないだろうが!!

 とは言え、何も答えないわけにもいかないので、コレットとやり取りを始めて少ししてから思いついたことを実行する事にした。

 すなわちー


 「あの、ごめん、いきなりで悪いんだが俺達を君のアンソンとか言う村に連れて行ってくれないか?次に何をするにしても俺達は地理を知らないので動きたくても動けないし、モンスターとやらに襲われたら死ぬしかないので・・・。」


 コレットに付き添ってアンソン村まで連れていってもらうと言うモノだ!!この世界のヤバさを考えたら安全に人のいるところまで行こうと思ったらこれしか思いつかない。

 俺のこの提案と言うか頼みにコレットは苦笑しながら「いいですよ。」と同意してくれ、可憐と真心も「おおっ!」と目を輝かせ文句を垂れるどころか素直に賛同してくれた。


 こういう場面では頼れる者がいるならば、変に見栄を張るより素直に第三者の力を借りた方が賢いと言う事だな。うんうん。




 俺達はそれからコレットを先頭に村への道を歩んだのだが、俺達がいた社はアンソン村から見て森を超えた山の麓の少し小高い丘に建っているそうで、俺達は今、その森の中を進んでいる。しかも、俺達は息を殺して周りをよく観察しながらだ。

 

 この世界では街や村にいてもモンスターに襲われる可能性はゼロではないが、危険度は大いに減るそうだが、のいる集落から出て少し進んだだけで危険度は大いに上がるそうである。要はRPGの基本設定がそのままこの世界に当てはまっていると言う事である。


 そのため、俺達が今いるこの森は危険度が大いに高くなっている。ただ、コレットの話によれば、この辺りに出てくるモンスターは強さの分類で言えば雑魚ばかりらしい。

 実際、一匹ならば赤ちゃんや幼児、かなりの高齢者の除けば十分に勝て、コレットも何度も返り討ちにしたと聞いた。

 RPGの世界って実はめちゃ危険だと今、身をもって体感しているが、その世界に住む住人って実は皆が皆がたくましいんだなとこれも今、体感している。

 

 「もう少しで森を出ますよ。」


 警戒し続けながら森を進んでいるとコレットが俺達にそう言ってきた。

 どうやら、そろそろ森の出口らしい。

 しかし、そこで俺達がまだ出ていないのにホッと安堵したのがいけなかったのか、


 『グロガアアアアア』


 と大きな叫び声が聞こえた。

 叫び声がした方を見ると、俺の腹部ぐらいの身長の全身緑色の肌をし、更に瞳は大きく黒目だけで白目がない二足歩行の人型のモンスターが5匹いた。

 しかも手には棍棒だのナイフだのをそれぞれ手にしている。


 「ゴ、ゴブリン!」


 驚きと焦りの混じった声でモンスターの名を叫ぶコレット。

 俺もだが真心も可憐も目を見開いて驚いている。


 「さ、さすがに5匹もいたら勝ち目はありません!逃げましょう!!捕まったら光さんは食い殺され、私達は犯されて孕み袋にされちゃいます!!」

 「お、おう!」

 「は、はい!!」

 「は、はいいいっ!!」


 コレットの言葉に俺達は迷う事無く乗ったが、次の瞬間、予想もしていない事が起きた。


 「うわああああっ!!」


 駆けようとした瞬間、真心が凄い勢いで真っ直ぐゴブリンに駆け出してた!!


 「真心さん?!

 「ちょ、ちょっと真心ちゃん!?」

 「お、おい!真心、何でそっちに向かうんだよ?!」


 俺達の声が聞こえていない様で、真っ直ぐゴブリン達に突撃する真心。しかし、予想外の行動にゴブリン達は虚を突かれたのか狼狽え、動きが止まった。(俺達もだが)

 真心を助けなければならないと言う思いもあり、俺は足元付近に落ちている拳ぐらいの大きさの石を左右それぞれの手に持つと勢いよく真ん中とその左にいるゴブリンに投げつけた。


 「グギャ!」

 「ゴボオ!」


 石がそれぞれのゴブリンに当たり緑色の血を流しながら悲鳴を上げ、うつむく二匹のゴブリン、そんな仲間に気を取られた他のゴブリン達。

 そこに突撃していた真心が地面から出ていた石に躓き、勢い余って注意のそれていたゴブリン達に顔からタックルする形でぶつかった。


 「きゃああああああっ!!」

 『!?グボオオオオ?!』


 一番左にいるゴブリンを除いて、4匹のゴブリン達を巻き込みながら勢いよく倒れる真心。

 「きゅう~~」とうめきながら目を回しながら気絶してしまう。

 真心のタックルに巻き込まれなかったゴブリンも、今の状況をまだ把握できていないのか、何もせず立ったままである。

 俺は、それも好機とみて、その立ったままのゴブリンに目掛けても、素早く石をまた拾い投げつけた。


 「ギャウ」


 見事、顔面に直撃し、顔を両手で抑えてうずくまっているゴブリンに対し、今度はもっと大きな石を両手で持ってそのまま駆け出し、大きな叫び声を上げながら、ゴブリンの頭部に目掛けて勢いよく振り下ろした。

 次の瞬間、「グギャ」と短い悲鳴を上げるが、俺は気にしている余裕はなく、今度は石を横からスイングする様に勢いをつけて、もう一度ゴブリンの顔面を殴り付けてぶっ飛ばした。

 そのまま勢いよく仰向けに倒れるゴブリン。

 俺はそれを確認する間もなく真心と一緒に倒れている一番左の俺が石を投げてぶつけた左側のゴブリンの顔面に対して、先程と同じ様に勢いよく石を振り下ろした。

 またもや短い悲鳴を上げるゴブリン。

 俺は近くに落ちていたゴブリンの持っていたナイフを拾い、気絶している真心をゴブリン達から引きはがし、後ろに放り投げた。

 直後、後ろで「グエッ」と女の子があげてはよろしくない悲鳴を聞きながら、先に無傷の2体のうち、俺が石をぶつけた中央にいたゴブリンの右側の位置にいたゴブリンの胸部に対し、ナイフを振り降ろした。

 またもや短い悲鳴を上げ、一瞬、身体が痙攣した後、動かなくなるゴブリン。

 そこにいつの間にか側に駆け寄っていたコレットが一番右端のゴブリンの頭部に、ゴブリンが持っていた棍棒を振り降ろし屠った。

 残った最後の一匹の胸部にも俺がナイフを振り降ろした。




 「いたたたっ、あれ?ゴブリンやっけちゃったの?というか光君達、戦う事にしたんだ?」


 ゴブリン達を勢いのまま倒し、緊張の糸がきれて疲労感がドドッと押し寄せ、俺は肩が息をしながらゴブリン達を見回していると、真心のそんなトボけた声が後ろから掛かって来た。


 「こ、真心ちゃん・・・。」


 真心の場にそぐわない呑気な真心の言葉に可憐が呆れた声で呟き、俺とコレットも同じ様な表情していた。

 と言うか、真心よ、お前、自分が間違ってゴブリン達に突撃した事を覚えていないのか?いないんだろうな、こういう発言をしてるんだし・・・。

 可憐が真心に今の状況になった事を説明すると、真心はバツの悪そうな笑みを浮かべながら、


 「ご、ごめんね。私の所為でこういう状況になったみたいで・・・。」


 俺達に謝って来たが、真心がこういう想定外の行動を取っていなければ、俺達はゴブリンに臆して、今も逃げ回っており、下手をしたら最悪の事態になっていた可能性もあるので、逆に考えれば真心のおかげであるのも確かだろう。

 

 「まぁ、結果的とは言え、ゴブリンを返り討ちに出来たんだし、そんなに罪悪感を感じるなよ真心。可憐やコレットもそう思うだろ?」


 俺は真心を慰めながら、可憐とコレットに同意を求めると二人とも同意してくれた。


 「それにしても光君、咄嗟とは言え、こんな怪物に立ち向かっていけるなんて凄いんだね。私、びっくりしちゃった。可憐ちゃんもそう思わない?」

 「うん、真心ちゃんの言う通り、私もびっくりしちゃった。でもお兄ちゃん、かっこよかったよ。」

 「私も光さんが初めてでゴブリンを4体も倒すとは思いませんでした。光さんって凄いんですね。」


 無我夢中で、相手の不意を突いただけなのに、真心と可憐だけでなく、コレットからも尊敬の眼差しで見られるとは思ってもみなかった。

 でも真心も可憐も見た目可愛く、コレットも悪くはない見た目なので、可愛い女の子から尊敬の眼差しで見られる事にちょっと嬉しさを感じた事は皆には内緒だ。

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