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ネクサスセイヴァー  作者: 謎の生物
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第5話 目を覚ますと・・・。

平成最後の投稿となります。

個人的には思っていた所まで書く事が出来ました。

 その日は今でも鮮明に覚えている。10年前の暑い夏の日だった。

 俺、天道光の前に突然、目の前に現れた女の子。

 異民族の血が混じっていると思われる亜麻色の髪をなびかせて俺を見る。

 俺を見つめ、「なんさいなの?」と尋ねた。それが俺とこの女の子との最初に交わした言葉だった。


 「よろしくね。おにいちゃん。」


 そして彼女、可憐は天道可憐となり俺の妹となった。

 何でもすでに父親はおらず、たった1人の肉親である母親も不慮の事故で亡くし、1人になってしまった。

 俺や親父は遠い親戚にあたり、他に身寄りのない可憐は、この天道家に引き取られてきたのだ。

 正直、最初は戸惑いもある上に、見た目もかなり可愛かったので照れくささもあった。

 ひょっとしたらそれに、親父が自分だけのモノでなくなる不安もあったかもしれなかった。

 だが、そんな些細な不安も月日の流れと共に打ち消されていき、寧ろ可愛い妹が出来てちょっと幸せを感じる事もたまにあった。


 そして俺は可憐とよく行動を一緒にした。それは親父が死んだ後も変わらない。


 「今日から同じ学校だね。」


 そして今も同じ学校に通い、同じ部にも入っている。

 だけど俺達は後どれくらい一緒にいるのだろう?たまにそう思う時もある。でも逆に俺達はこのままくっいてそのままずっと一緒にいるという気がよぎらないでもない。

 果たして、どちらなのかとぼんやりと思案したところで、俺の意識は覚醒した。




 俺が意識を取り戻し、目に入ってのは社の天井だった。

 まだ、ぼんやりとしている頭で気を失う直前の事を思い出そうとし、最後に見たのが一年前に行方不明となった姫島部長が来生と一緒にいた事を思い出し、思わず飛び起きた。

 同時に姫島部長が言っていた「あなたの力で世界を救って。世界の命運を託すわ当代のネクサスセイヴァー。」の言葉を思い出した。

 俺の力で世界を救えってどういう事だよ。そもそもネクサスセイヴァーってラノベの変身ヒーローの事で、その原典となったのは、異世界を舞台とした異形の英雄のおとぎ話だろ。何で部長は俺をそのヒーローの名で呼んだんだ?


 そこで俺は首をブンブンと横に振った。

 待て、重要なのはそこじゃない。いや、それも無視できないが、もっと重要なのは一年も行方不明になっていた姫島部長が来生と一緒にいた事だ!!

 どういう事だ。先輩は行方不明になっていたんじゃないのか?行方不明とか言っておきながら実は家に引きこもっていたとか言うんじゃないだろうな!

 いや、それならば絶対、噂などが広まっていたはずだ。そうでない以上、先輩が失踪していたのは間違いない。

 そこまで考えてようやく俺は可憐達の事に気付き、


 「そうだ!可憐や真心、愛ちゃんは?!」


 周りを見渡すと可憐と真心はすぐに目に入った。しかし、愛ちゃんの姿がない?!


 「愛ちゃん!?愛ちゃんはどこだ?!」


 俺は立ち上がって社内をもう一度、見回したが愛ちゃんの姿はどこにもない。


 「どうなってんだよ?何で愛ちゃんの姿だけがないんだ・・・。」


 俺は今の状況に焦燥感を感じながら、取り合えず、可憐と真心の傍に駆け寄って二人の様子を見ると、怪我もなく呼吸も問題なくしており、ただ、気を失っているだけだった。

 まずは二人が無事だった事に俺は安堵しつつも、いつまでも気絶されていても困るので、


 「おい、二人とも起きろ!」


 俺は可憐と真心を軽く揺さぶりながら声を掛けていると、しばらくして「う、うう~ん」「う、ん」と聞いていてこっちがドキドキしてしまう艶っぽい声を出しながら二人とも目を覚ました。


 「あ、れ?光君~?」

 「ん、お兄ちゃん?」


 二人とも目覚めて、少しの間、まだ意識がぼんやりしていたが、しばらくして完全に目が覚めると、


 「さっき凄い地震があったけど光君大丈夫だった!?」

 「お兄ちゃん、凄い地震だったけど大丈夫!?」


 逆に俺の心配をしてきたので、俺はそんな二人に感謝しながら大丈夫だと伝えると、二人ともホッとした様子を見せた。

 しかし、すぐに愛ちゃんの姿が見えない事に気付いて、俺に尋ねた。


 「ねぇ、光君、愛ちゃんは?」

 「愛ちゃんの姿が見えないんだけど・・・?」

 「・・・わからん。俺が気付いた時にはもう姿がなかった。」


 俺が首を横に振ってそう答えると二人とも顔が強張った。


 「さ、先に帰ったなんて事は・・・ないよね。愛ちゃんってあ~見えて優しい娘だから、私達をほっといて帰るなんてしないよね。」

 「私もそう思う。」


 俺も二人の意見に賛成だった。愛ちゃんって来生と同じ表情をあんまり変えず、人付き合いもうまくないが、根は優しく素直な性格だものな。俗に言う素直クールってやつだな。

 と、なると愛ちゃんは一体どこに行ったんだろう?そう思った時、真心が「あれ?」と首を傾げた。


 「どうした真心?」

 「う~ん、何だか社内が気を失う前の時と比べて古くなっているような・・・それに周りも明るい感じがするし・・・。」

 「何?」


 真心の言葉に俺と可憐は怪訝に思いながら社内をよく見て回り『あっ?!』と思わず声を上げてしまった。

 真心の言う通り気絶する前と比べて社内が大きく時間が経過して朽ち始めている感じがする。さらに時計を見たら俺達は一時間程しか気を失っていないのに、社内に日の光のようなモノが入ってきている。

 

 「こ、これ、外は学園内だよね?」

 「そ、そうだよ真心ちゃん、それ以外、あり得ないもの。」


 真心と可憐は、声を震わせながらも常識に沿った回答をしあい、俺も「と、取り合えず外に出てみよう。」と込み上げてくる恐怖から声を震わせながら二人に言うと一瞬、ビクッとしながらも必死になって首を縦に振った。

 そして俺達は恐る恐る社の出入り口に近づき、極度の緊張をしながら戸に手を掛けて一気に開いた。


 『・・・?!』

 

 そこで俺達は呆然となった。俺達の目に入った光景は見知った学園の敷地内ではなく、遥か彼方に連なった山脈が見える太陽の光がサンサンと降り注ぐ見知らぬどこかの草原と思われる場所だった。




 「こ、これ、どういう事?」


 真心が何とか絞り出したと感じさせるかすれた声で、俺達に尋ねて来た。


 「わ、分からないよこんなの・・・。」

 「そ、そうだよね・・・。」


 可憐の力のない声での返しに、真心も力のない声が同意した。


 「ひ、光君は分かる?」


 真心と可憐が縋る目で尋ねてきたが、俺は首を横に振るしかなかった。

 二人は俺の返しに絶望した表情になったが、俺だって内心は同じである。同時にいら立ちも沸き上がり思わず、


 「ったく、どうなってんだよ!!来生のよく分からない頼み事のために、学園の普段寄らない社に暴風雨の中、来たと思ったら激しい地震と落雷のようなモノで気を失い、気絶する瞬間に来生と姫島部長が社内に入ってわけわからん事を言って来るし、目覚めたら愛ちゃんはいないし、挙句に外は見知らぬ場所と来た。余りの超展開についていけないんだよ!!」


 いきなり叫んだ俺に二人とも驚きの表情になり、


 「お、お兄ちゃん、来生先輩と姫島先輩が一緒に入って来たってどういう事!?」


 と尋ねて来たので、俺は気を失う直前に見聞きした事をありのまま伝えた。

 俺の説明を聞いて、


 「それじゃあ、今、私達が遭遇している事態は姫島先輩と来生さんが仕組んだって事?!そんな事して何の意味があるの!?ひょっとしてドッキリ!?それとも私達を陥れようとしているの!?まさか二人の背後に怪しげな勢力か何かがあって、そんな何者かによる黒い陰謀に巻き込まれたんじゃないよね!?」


 と話を段々大きくしながら捲し立てる真心に、普段なら何を言ってるんだこいつは・・・と突っ込みをいれるのだが、今回ばかりは真心の意見に賛同せざるを得ない。

 普段ならばすでに突っ込んでいる可憐も、何も言わないところを見ると、真心の言う事がいつもの戯言とは思っていないと言う事だな。

 もっともいささか呆れの気配も感じるが・・・。

 しかし、こいつも良くこれだけ連想できるもんだ。これだから天然は・・・。


 真心の様子に可憐がどう思っているかは分からないが、俺はそう思っている所にガサッと草の動く音がしたので、俺達は揃って音のした方を見ると、そこに可憐や愛ちゃんぐらいの年齢の人間の女の子が驚きからか目を見開いて俺達を見ていた。

いよいよ、新たな年号の始まりですね。

我もより奮闘して頑張っていこう♪

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