第30話 アンソン村での戦いの後
我的に区切りが良いので投稿する事にしました。
エルサリア聖国軍を撃退した俺だったが、まだ念のためもと言う事もあり変身を解かないままで、まずは可憐と真心の安否を確認した。
まぁ、当然と言えば当然だが、二人は無事だったが、俺がエルサリア聖国軍を撃退して助かった事への喜びよりもアンソン村が滅ぼされた事へのショックの方が大きい様子だった。
次にレイナとユズハを見たが、従者であるユズハは既に立ち上がっていたが、レイナはまだ座り込んだままだった。
だが、こちらも可憐と真心同様、いや当たり前だが可憐と真心とは比べ物にならない程にショックが大きい様で、どちらも絶望した表情だった。
正直、今にも自殺しそうな雰囲気すら漂っている。
とは言え、気の毒だとは思うが、俺は完全な部外者な上に、多少、話をしたぐらいの関係でしかないので慰めようなどの気持ちは全く浮かばなかった。
冷たい様だが俺は義妹の可憐と幼馴染の真心を守る事で精一杯なのだ。
また聖国軍が戻ってこないとも限らないので、早く村から去ろうと可憐と真心に言おうとしたところで、思ってもいなかった者達の気配を感じた。
と言ってもこの気配を感じることが出来たのは俺がネクサスセイヴァーに変身している上に、可憐の”絆”の力を借りていたからだろう。
変身していない普段の俺いや変身していても可憐もしくは真心の”絆”の力を借りていなかったら今の俺では絶対気付かなかった。
俺が振り向く前に向こうの方が声を掛けて来た。
「とりあえずはハームド=べリングスとあの者の率いるエルサリア聖国軍を退ける事が出来た様ですね。」
この声を聞いてこの場にいる俺以外の者達は驚きながら、声のした方を見た。
そこには相変わらずアレンを連れた華仙彩花が立っていた。
しかし、どうやってここに来たのだろうか?ハームドの様にこの仙女も転移魔法の類が使えるのだろうか?
疑問には思ったが、今聞く事ではないと思ったので声には出さなかった。
可憐と真心は華仙彩花のいきなりの登場に驚きの表情をしていたが、レイナとユズハはそれ以上に驚愕した表情をしていた。
そんなに華仙彩花がいきなり現れた事に驚いたのかと思ったが、二人の視線が華仙彩花ではなくアレンに向いているので、アレンがどうかしたのか思ったところで、
「な、何故、帝国『三魔神』の一人がここにいるのですか!?」
ユズハが絶叫の様に言うと同時にレイナを守る様に前に立つと武器を構え、レイナも慌てて武器を構えた。
それよりも帝国『三魔神』!?帝国ってあれだよな?!隣国でこの聖国とすでに200年に渡って戦争しているアークロンド帝国の事だよな?!しかも『三魔神』って女帝直属の配下で間違いなく帝国中枢の地位にある偉いさんと言う事になるよな?!アレンってそんなに偉い人だったのか!?と言うか何でそんなに偉い地位の奴が華仙彩花の部下なんてしてるんだ?
華仙彩花本人の言葉を信じるならば、彼女は女帝ヴィクトリア=アークロンドと個人的な交流はあると聞いたが、帝国に属している訳ではないと数日間の”塔”での訓練の時に聞いた。
改めて思うと目の前の仙女、華仙彩花の立ち位置も良く分からない。
しかし、アレンが滅茶苦茶強いのには納得できた。
そりゃあ帝国『三魔神』の1人ならば強いのも納得だわ。
俺がそんな事を考えていると、アレンはレイナとユズハに対し、これといった反応を示す事なく「彩花様の護衛だ。」と感情のこもらない声でただそれだけ返すだけだった。
アレンの淡々とした様子に警戒していたレイナとユズハは構えを解き、それを見計らう様に
「それぞれ思う事はあると思いますが、まずはここから離れましょう。何時、聖国軍が戻ってくるとも限りませんから。」
華仙彩花がこの場にいる全員にそう提案し、レイナとユズハにも「良いですね。」と念を押す様に言うとユズハはしばし華仙彩花を睨む様に見ていたが、この場ではそれが得策だと納得できたのか頷いた。
しかし、レイナは頷く事もなく突如、腰砕けのように無言のままへたり込み、両手を大地についてまたもや泣き出した。
「わ、私も姉様も母様もエデン様を信仰し、そのために戦って来たのにこんな仕打ちをするなんて・・・。」
「み、みんな無くなっちゃった。母様も、姉様も、アレクレアも、アレクレア領も、そこに住む領民達も、わあああああああ!!」
あまりの号泣に、今はそっとした方がよいと思ったので、その間に俺はアンソン村で使える物を探し、そのついでに村人達の遺体を弔おうと思い、その事をこの場にいる皆に伝えると可憐と真心だけなく華仙彩花も賛同してくれた。
アレンは我関せずと言った様子で、ユズハは主人であるレイナが心配の様でそれどころではない様子。
家探しは可憐と真心に任せ、俺はアンソン村の村人達の亡骸を探しては回収して村の広場に置き、それを繰り返し作業していると、コレットの家の近くでコレットの亡骸も発見した。
真正面から斬られたらしく、恐怖と驚きの表情で絶命していた。それがまた哀れを誘うものだったので、せめてものと思い、俺は彼女の瞳を閉じてから彼女の亡骸も村の広場に持っていった。
村の中を巡り、村人の亡骸を全て村の広場に置き終えたところで可憐が声を掛けて来た。
「お兄ちゃん、村の人達の遺体を全部集め終えたの?」
「ああ、可憐達は目ぼしいモノは集められたか?」
「・・・うん、家の中にあった村の人達のお金とか、売ったらお金になりそうな高価そうなモノとか、後、食料とか。彩花さんが具体的に指示を出してくれたから私も真心ちゃんも探しやすかったのは確か・・・。」
「さ、彩花さん?」
おい、ちょっと待てよ可憐!!お前、何時の間に華仙彩花を”彩花さん”と呼ぶぐらいに仲良くなったんだよ!?
正直、俺にとっては、コレットも含めた村の連中が皆殺しにされた事実よりもビックリだよ!!
「?真心ちゃんも”彩花さん”と呼んでるよ。」
不思議そうに少し首を傾げながらそう答える可憐に絶句した。まさか可憐だけでなく真心も親しくなっていたとは・・・。
いや、逆か、真心の性格ならば華仙彩花と親しくなってもおかしくないが、可憐も驚くぐらいに親しくなっている事がびっくりものなんだよな・・・。
これが同姓と異性の違いか・・・。
べ、別に嫉妬しているわけではないんだからな!!




