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ネクサスセイヴァー  作者: 謎の生物
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第3話 行方不明の凶悪犯

ちょっと最後はノリに走りましたwww

 何故か一緒についてきた真心と来生と一緒に、俺は妹、正確には義理の妹の可憐の教室に向かっている。


 可憐は十年前、まだ俺達の親父が生きている時に天道家に引き取られた来た遠縁の親類の娘で異国の民族の血が四分一混じっているクォーター故に、純日本人ではない顔立ちと亜麻色の髪が特徴の、義兄の俺が言うのもなんだが結構可愛い妹である。 

 

 そういう事を考えていると可憐の教室に辿り着いた。


 「ちょり~す。ちょっと失礼するよ。」


 一言挨拶しながら可憐の教室に入ると、半分以上は帰っていたが、そこそこ生徒は残っており、俺が教室に入ると、いきなり三年生が三人も入って来て何事かと思ったのか、教室にいる生徒の皆が皆、俺を見た。

 しかし真心はとにかく来生までここまで一緒に来るなんて珍しいな。

 もっとも可憐がすぐに俺達に気付き、


 「あ、お兄ちゃん、それに真心ちゃんに来生先輩、さっき、メールが来てたけど何か用?」

 「明日は部活動をするって伝えておこうと思って。ついでに何も用がないなら一緒に帰ろうかと思って」

 「あ、うん、どっちも了解。」


 可憐はそういうと、まだ残っているクラスの友人に一言二言話しかけると、カバンを持った。

 それにしても来生の事はちゃんと来生先輩・・と呼ぶのに真心の事は未だに真心ちゃん・・・と呼ぶんだな。

 まぁ、真心は見た感じ、のほほんとした感じだから上級性としての威厳なんかないわな。それに真心も年下の可憐に未だにちゃんづけされていても不快な表情になるどころかニコニコしているし・・・。

 というか真心の奴、自分の方が一歳年上で先輩だという自覚があるのか?

 

 最後の一年の部員にはメールで明日、部活動をする事を伝えてあり、先程、了解の返信メールをもらったので、そのまま学校を出た。

 女三人寄れば姦しいと言う様に、意外と三人で盛り上がっている。あの来生ですらクスクス笑いながら真心や可憐と話しているので、意外と来生ってノリがいいのかもしれない。

 おかげで俺は省かれているけど・・・。


 何とも言えない気分で俺は帰る道を歩いていると、ふとある張り紙が眼に入り、思わず顔が硬くなった。

 その張り紙には『この顔を見たら直ぐに110番!!凶悪犯・浅倉貴志あさくらたかし』と大きく書かれており、二十代後半の何処にでもいる平凡な男の顔が写っている。

 

 「お兄ちゃんどうしたの?」


 俺の様子に気付いた可憐が声を掛けてくると真心も来生も足を止めて俺を見た。

 俺は顎で指名手配犯のチラシを差すと、可憐達も浅倉貴志のチラシを見て表情を硬くした。


 浅倉貴志、七年前、東京のど真ん中でマシンガンや銃を乱射し、挙句に爆弾まで所持しており、それも使って前代未聞の大虐殺を起こした凶悪な大量殺人犯である。

 元々はミリタリーオタクで、それが生じて自衛隊員となったらしいが、時世で海外派遣の部隊の一人となった事がこの男の運命を狂わせた。

 派遣された先でテロリストに襲撃されて、思わず反撃してテロリストを殺してしまい、それが原因で自衛隊員を辞める事となってしまったのだが、その時の体験が元で精神を病んだ上に殺人に快楽まで感じる様になってしまい、それが生じて数年後に、独自のルートで手に入れたマシンガンや銃、手製の爆弾を使って人通りの多い夜七時頃の時間に車で渋谷の交差点に突っ込んで何人もひき殺した後、完全武装した状態で車から降り、逃げ惑う通行人達に対して発砲し、死体の山を作った。

 暴れるだけ暴れ、駆け付けて来た警官達と銃撃戦を繰り広げた後、警官達を所持していた爆弾でまずは返り討ちにすると乗ってきた車で逃げ、それからも執拗に追われるが所持していた爆弾などを使って返り討ちにし、東京から逃げ切ったのである。

 そして、逃走の果て浅倉の乗っていた車体が、この異界扉町で見つかり当時は町全体を震撼させた。

 当然、当時この街とその付近を徹底的に武装した捜査員が調べ、この街に浅倉が侵入した事までは突き止めたがしかしその後、朝倉の姿を見た者は無く、死体のようなモノも今に至るまで上がってくる気配もない。

 それ故、街の住民達は浅倉は、この街と繋がっている異世界に行ったと言う噂が未だに囁かれている。


 浅倉が凶行による死者は100人以上となっており、これは犯罪史に残る稀に見る大事件となっており、そんな惨劇を引き起こし未だに捕まっていない故に、7年経った今でも浅倉の存在は恐怖の存在となっており、可憐達が浅倉の指名手配のチラシを見て固まるのも仕方がないと言えた。


 「この凶悪犯、まだ捕まっていないんだよね。」

 「ああ、そうだな。」

 「一体、どこに行っちゃったんだろ。」

 

 真心が誰に問いかけるでもなく呟いたが、それは俺も含むこの街はおろか日本全体の国民の大半が思っている事だろう。

 そこに来生がボソッと、しかし俺達にも聞こえる声で言った。


 「異世界に行ったのよこの男は・・・。」

 「え?来生それは」

 

 俺達は思わず来生の方を見、そして俺はその言葉の意味を問おうとし続けた「どういう意味だ?」と聞こうとしたら、来生のあまりの真剣な表情に押し黙った。

 来生はとってつけた様に「この街で消息が分からなくなったのだから、そうなんじゃないかしら?」と続けた。

 そんな来生の様子に可憐と真心は首を傾げていたが、俺は来生の言った「異世界に行った」という言葉がやけに印象に残った。

 

 -来生の奴、何か知っているのか?-


 俺は漠然とそう思いながら帰り道を歩んだ。

 しかし俺達はその後、何か話しづらくずっと無言で来生と別れた後も黙ったままだった。


 クソッ!俺達がこんな嫌な気分で帰る事になったのも、これも全部、浅倉貴志って奴の仕業なんだ!!

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