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ネクサスセイヴァー  作者: 謎の生物
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第2話 今はまだ日常の景色。

思ったよりも時間が掛かりました。無念。

 部長が行方不明となってから約一年が経過した。


 学内も含めて街でもこの街に語り継がれている伝承通り、部長は異世界に言ったという噂が流れ、今もその噂は鎮火する気配がない。

 噂は所詮、噂であるが俺は部長が行方不明になる直前に、部長自身から異世界に行くと聞いていたので、部長が自分の意志で異世界に行ったのではと、今では五割ぐらいは信じる気にはなっている。


 そうすると最後に会話をした時、部長は俺には特別な力があると言っていたが、最近はそれはどういう意味なんだろう?と考える事がたまにある。

 とは言え、俺自身、そこまで真に受けているわけではないので、重要視はしていないが・・・。


 むしろ俺にとっては行方不明となった部長と同じ学年になったので、これからどういう進路を進むかを考える方が重要だった。

 とは言え、高校生最後の学生生活はまだ始まったばかりであり、まだゴールデンウイークすら迎えていない。

 これまでの高校生活、異性の友人はそこそこいるけど彼女なんていなかったから最後の学生生活ぐらい彼女がいる生活を送りたい。あれ?彼女はいないけど異性の友人はそこそこいる今も実は俺ってそれなりにリア充?

 

 俺が自分の今の状況に、自分の席で首を傾げていると「光く~ん。」と聞いているとこっちの気が抜けそうな声が俺の名を呼んだ。

 この声と呼び方をするのは俺の知っている人達の中では一人しかおらず、声をした方を見てみるとやっぱりその通りだった。

 日高真心ひだかこころ 、俺と可憐の幼馴染みの少女で、十数年の付き合いになる。ショートカットとたれ目が印象の、のほほんとした雰囲気が真心の性格を現している。でも外見は間違いなく良く、少なくとも四~五人から告白された事はあるらしい。

 

 「真心か、どうかしたのか?」

 「どうかしたも何も、ホームルームも終わったのに光君は帰らないの?」

 「・・・ホームルームももう終わってたんだな。じゃあ、俺も帰ろうかな・・・。」

 「あれ?何か考え事をしていたみたいだけど気付かない程、考えてたんだ。何考えてたの?」

 「いや、それほど重要な事じゃないんだが、部長の事を少し・・・。」


 そう答えた俺の言葉に真心は少し陰りのある表情になり、


 「そう言えば部長も行方不明になって、もう一年になるんだよね・・・。部長、今頃、どこで何をしてるんだろう・・・そもそも、部長は生きてるのかな?」


 心配そうな声で俺に尋ねてきたが、俺自身、一年前に部長が行方不明になる直前に聞いた言葉を俺自身が半信半疑なので、真心にその事を伝えていないので、俺は何とも言えない表情で「分からん。生きてると思うんだが・・・。」としか答えれなかった。


 真心も妹の可憐も俺と同じ第二文学部の部員で、しかもあの・・部長とは仲がよかった(これは俺もびっくり、あの性格の部長と親しくなれるなんて、やっぱり真心は天然なので、その関係か?)ので心配なのは確かだろう・・・。


 行方不明となった部長の事を口にしたせいで少し重い空気が漂う事になった俺達に「天道君」と今度はクール系ボイスの知っている声が掛かって来た。

 声の主を見ると部長と同じ様に長い髪をしたどこか少し翳りのあるだけど間違いなく美少女の部類に入る女子生徒がいた。


 来生咲夜きすぎさくや、俺達が一年の終わりの時の春休みに転校して来、二年の始まりから俺達と同じくこの学園の生徒として学生生活を送っており、親戚の元で暮らしていると噂に聞いた。

 そして三年になってから同じクラスにもなっているのだが、人付き合いが苦手らしく友人は少なく、一人でいることが多く、ミステリアスな雰囲気が漂っている。しかし何故か彼女も俺達と同じ第二文学部の部員の一人であり、意外と真心や可憐と仲が良い。そう言えば行方不明となる前の部長ともよく一緒にいたな・・・。


 そして何故か俺に対してだけは、向こうから積極的に交流を持とうとし、何回か一緒に学校で昼ご飯を食べたり、休日、遊びに行った事がある。

 そのためか最初は来生の事を「来生さん」と呼んでいたが、今は来生と苗字を呼び捨てにするぐらいには仲が良くなったのは確かである。

 でも俺に対して気があるとは全くないとは思いたくないが、今のところはそういう感じではなく、何か他の目的がある様に感じられるんだよな・・・。俺の気の所為かなこの考えって・・・?

 とにかく彼女が声を掛けて来たから俺は何の用か聞く事にした。


 「あれ来生?まだ帰ってなかったんだ。というか何か用?」

 「今日は部活動するのかどうかを尋ねに来たのだけれど・・・部長代理は天道君だから。」


 そう、部長が行方不明になってからいつの間にか俺が部長代理になっていた。というか本命の姫島部長がいなくなって一年も経過するのに、未だに正式な次の部長が決まらないってどういう事だってばよ!?

 というか、そもそも部活動なのに顧問の先生もいないってどうなってんだ?!うちの部ってツッコミどころがあり過ぎてツッコミ切れない!!

 そんな俺の思いが表情にも出ていたみたいで真心も来生も怪訝な表情になっていた。


 「光君どうかしたの?変な顔になってるよ。」

 「いきなり驚いたり、何かを気付いたような表情になったり、また驚いたりと何事かと思ったわ。どうかしたのかしら?」

 「い、いや、うちらの部を改めて振り返ってみると、色々とツッコミどころのある部だと再認識しただけだ。」


 二人の問いに、そう返すと真心は納得した様に、来生は少し苦笑して同意してくれた。


 「それで今日は部活動をするのかしら?」


 来生の質問に俺はどうしようかと悩んだ。そもそも部活動と言っても、そもそも第二文学部ネット小説を書くか、同人誌を書くかの違いでしかなく、文学部の様に本格的に文学活動などしていない。

 一応、秋の文化祭の時には部活動の結果として何か作品を出して催しモノをしないといけないが、第二文学部うちは部長がいる時もいなくなった後も夏休み前ぐらいから取り掛かって仕上げた適当な作品しか出していない。

 それでも問題なく学園側からは存続を許可されている。故に今日、部活動をしなければならない理由もないので、逆にどうしたいかと尋ねると、二人とも呆れた表情になった。


 「それを決めて欲しいから天道君に尋ねたのだけれど・・・。」

 「そうだよ光君、部長代理なんだから光君が決めてよ。」


 そう返されると、俺もそれもそうだなと思ったので、もともと今日は部活動をする予定なんかなかったので、しない事にした。

 その代わり明日は部活動をする事を伝えると二人とも頷いてくれた。

 他の部員である可憐ともう一人の部員には俺から伝える事となった。

 

 部活動の予定を決め終え、俺は携帯で可憐がまだ学校に残っているかを確かめるためにメールを送ると、まだ残っているという返信をもらったので、可憐と一緒に帰ろうかと思い、可憐のクラスである二年の教室に向かう事にした。

 ところで、真心はとにかくとして来生、どうしてお前まで一緒に来てるわけ?

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