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されど彼らはダンジョンに挑む  作者: 新増レン
第一章 「夢幻の探求団」
1/47

プロローグ 『されど彼は……』

 

 ダンジョン――。

 突如、この世界「ロストフォルセ」に出現した古代の遺物。

 そこには何があるのか。


 幾多の研究者が調査した結果、ダンジョンは世界中に現れており、そのどれもが深さは様々で、内部に不気味な生物「魔物」が巣食う、危険な古代迷宮であることが判明した。

 それを知り、誰かが言った。

 ダンジョンの奥には何が隠されているのか。一体ダンジョンは何を護っているのか。

 そればかりは研究者達にも見当がつかなかった。



 ダンジョンの噂が伝播し、途端に人々は夢とロマンを求めた。人々は彼らを「探求者」と呼び、探求者はダンジョンに挑むようになる。

 ある者は巨万の富、またある者は古代の技術、そしてある者は世界の真理を求めて――。

 人々はダンジョンに夢を見た。



 とある子供は、とある探求者に問うた。

『どうして、命を懸けてまでダンジョンに挑み続けるの?』

『どうしてかって?』

『うわっ!』

 子供の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でてから、彼は言う。

『さあな。これは理屈じゃないんだ。ただ、突き動かされて挑むんだよ。まだ見たことのない景色を、見たいからな』

『……!』

 それから子供は、その言葉を忘れることなく、心に刻んだという。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 そして――。

 ここにも、ダンジョンに魅せられた一人の青年がいた。彼は仲間と共にダンジョンに挑み、そこで絶望と出会ってしまう。



「やめ、ぎゃあああああああ!」

「リンクス! いや、いやああああ!」

 ズシャ! ブシュッ!


「はぁ、はぁ……こ、こんな、馬鹿な……! 逃げろ! みんな逃げるんだ!」


 仲間たちが魔物に殺され、リーダーの青年は後ずさりながら、残るメンバーに撤退を叫ぶ。

 しかし出遅れた仲間が一人、二人と魔物にやられていく。


 せめて彼女だけでも――。

 そう思い、少年は彼女に叫ぶ。


「マリー! 早く!」

「いま、そっちに――」


 そう言って駆け出そうとして、彼女は躓いて転ぶ。

「――! 大丈夫か!」


 普段からそそっかしい彼女だったが、ここで転ぶことは予測もしておらず、青年は慌てて駆け寄ろうとする。しかし、彼女の後ろから魔物が迫っていることは捉えていなかった。


 彼女は咄嗟に気付き、叫び返す。


「クライ! あなたは逃げて! 私はもう――」

「そんなの出来るわけないだろッ!!」

「お願い! あなただけは生きて……私達を忘れないで!」

「……!」


 ズブシュ!!

 そう言った瞬間、マリーの背中に魔物が振るった槍が突き刺さる。

「――ッ! ごふっ! いだ、い……」


「マリィイイイイイイイ!」


 その声に、マリーは青年を見て、かすかに微笑んだ。

 そして次の瞬間、彼は孤独となった。

 血の海と化した宝石のダンジョン「カラット」の地下深くで、全てを失った。



 あの後の事を、彼は憶えていない。

 ただ、青年が気づいた時はもう、誰も傍にいなかった。

 そして、ダンジョンから帰った彼の噂はすぐに広まり、彼はこう呼ばれるようになる。


 死神。


 仲間を救わず、自分一人助かった卑怯者。一人だけ生き残り、仲間を殺した死神。

 青年はその言葉を受け、悲しみに沈み、塞ぎ込んで探求者をやめた。


 そして、この時まで、あの男の言葉を忘れてしまっていた。



「あなたじゃなきゃ駄目なんです。私達と一緒に、探求者になってくれませんか?」



 こうして、彼の物語は再び始まることとなる。



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