1.現世(うつよ)だち
えー、皆さんこんにちわ。俺は、洲華日馬23歳、絶賛迷子です。
これから少し、今に至るまでの話をしよう。ことは、数日前に遡さかのぼる。
俺は、フリーターをしてたんだが、『君、明日から来なくていいよ。』そう言われたことで職を失った。おかげで今は数日前から、無職だ。めちゃくちゃ暇なんだけど。
んで、そんな、暇な時間を潰すため、リフレッシュがてらパワースポット巡り的なことをしてたわけ。で、今日は、たまたま森に行きたくなったんで森に入ったわけよ。んで、きちんと整備された道を歩いてた筈なんだが…ちょっと考え事をしながら歩いてんだが、気が付いたらいつの間にか道が無くなってたんだわ。道が無いことに気付いた時点でスマホで地図出して帰ろうとしたんだが…結果は、圏外だったよ。まぁ、森ん中だしな、しかたねぇわ。んなもんだから、最初の迷子状態になるわけだ。とまぁ、説明はこれくらいにしとこう。
そんなもんだから、さっきまで通ってきたはずの道を引き返して歩き出した。しばらく歩いたら、真っ直ぐ歩いてきた筈なのに、行きには見なかった、「いかにも」が過ぎる今にも朽ち果てそうな古びた神社を見つけてしまったんだが絶対行かない方が良いよな!と思いつつ、まぁ、一周するぐらいなら大丈夫だろ。と思って一周したんだが、ちょうど一周終わった所で声が聞こえた。
「お主、ここで何をしている?」
はっ?誰?!軽くパニックだわ。よし、ちょっと周りを見てみよう。うん、俺以外誰も居ない。と思ったらまた、声が聞こえた。
「おい、そこの人間、我を無視するでない。」もう一回周りを見てみよう。うん、神社と狛犬しかない。まさかとは、思うが狛犬かな?一応確認してみるか。
「え~と、そこの狛犬さんが、声の主ですか?」
「あぁ、そうだ。」
やっぱりか~、だってそれしかねぇーもんな、というか自分のこと狛犬だって認識してんのなと思ってたら、
「お主、普通の人間であろう?本来普通の人間は、ここに来れるはずが無いのだが。結界に綻びでもできたかのう?」とかめっちゃ心配になるようなこと言ってるんだけど…怖くね?そしたら今度は…
「まぁいい。おい、そこの人間、お主は、普通の人間であろう?普通の人間がここに来た場合、記憶を消して山の麓に戻すか、異世界に転移させることになっておる。どちらか選ぶがいい。ちなみにこのまま無事に返すという選択肢は、ない!」はっ?もう訳がわからん。ようは、記憶喪失か異世界転移ってことだろ。展開早すぎね!?
「え~と、その~選択肢が2択しか無いのは、わかりました。因ちなみに異世界転移の場合、記憶は、そのままなんですか?」
「あぁ、そうだ。」
「では、異世界への転移でお願いします。」
「うぬ、ではそのようにしよう。」
狛犬がそう言うと、何かに引っ張られる感覚があって、まばたきをして次に目を開けた時、さっきとは明らかに異なる森の中だった。
サブタイトルの「現世だち」の「だち」の部分で、旅立ちの「立ち」と「断ち」を掛けてみました。
7月15日改投