智也からの誘い -ver雪菜-
- 追わずとも 君が近づき 夢に恋 -
祭りから1週間が過ぎた
こうしてまた、智也さんと待ち合わせできるのは嬉しい
高校の夏って、ほんと特別なんだね
そう思えてくる、私は相変わらず駅前で待つ
30分くらい早くいく癖はなかなかに抜けない
私は昨日の夜その喜びのあまりに遥に電話した
少し、迷惑かと思いきや、ゲームしながら電話をしたらしい
よくあるデュアルプレイってやつだ、おかげで迷惑にはならない
ゲーマーならきっとゲームしながら通話や読書とかゲームしながらゲーム等の2つ一緒にプレイしたことがあると思う、あるあるだと思う
それが本当に楽しいので仕方ない
ただポイントなのが両方にストーリー性を持たせないことが重要だ
2つのストーリー展観は混ざることがあるから、話が合わなくなったり、矛盾を生ませる原因になる
これが注意事項だ
デュアルプレイする時はアクションゲームがオススメだ
それなら普通に話しながらやっても、慣れれば問題ない、ましてやラノベ読みながらでも出来る
手は常に動かして、爽快アクションが出来るのでつまらないとこでも退屈しないのが利点だ
そんなことを考えてるうちに、智也さんが歩いてくる
「相変わらず早いな」
「今来たところですよ」
「そっか、じゃぁとりあえずご飯でも食べに行こう」
歩き出すとやはり手を繋いでくれる智也さん
あの祭りの日に距離は少し縮まった気がした
だから今日の距離もさらに縮めてみよう
そう思って、私は腕を絡ませる
なんだかこれって恋人っぽい、でも恋人ではない
ならせめて、それに近づきたい
「えへへ智也さん、こうしてると恋人っぽく見えますかね?」
「あぁ特に考えなかったけど、見えるんじゃないか」
もしかしてと思ったけど少しショックだ
でも見えるって言ってくれたことは嬉しい
だって、見えるって思っても、離れない、それが嬉しいのだ
見えても構わない、あの時の大丈夫という言葉はほんとに大丈夫だったみたいだ
あの時の態度にまだ少しだけ疑念が残るが、今を楽しもう
そうして、ご飯を食べ、智也さんの家に来た
どうやら普通の2階建てのようだ
「おじゃましまーす」
そう言って中へ案内される
リビングには遥が座っていた
「あ、おかえり、そしていらっしゃい、今、お茶出すね」
「俺の部屋までな」
「あたしはパシリかっ、まぁいいけどさ」
そういって智也さんの部屋へと案内される
部屋に入ると、すごい片付いてる
「へぇ片付いてるんですね」
「まぁな、とりあえず座って」
私は床に座った、改めてぐるりと見渡す
本棚はよく見るよね、その中でもラノベとかある
あの表紙はあの会社かななど、すぐにわかるのはオタクだからかな
雰囲気が完全に馴染んでるあたり、後で色々と聞いてみたくも思う
それよりも、私は気になるものを本棚から見つけた
普通の本よりも分厚く、背が高い本
「あ、智也さん、あのアルバム見てみたいです」
自分で言いながら定番な会話だなと感じた
でもやっぱり過去って気になる
「まぁ後でな、今日は宿題とかやらないとな、そろそろ終わるし」
そういえばそうだ、そろそろ夏休みも後半だ
ほんとあっという間だった
「そろそろ遊んでばかりもいられないですね、でもなんで私誘ったんです?」
「まぁなんか、退屈しないし」
「それに可愛い子がいるとやる気でるんでしょ、その服は智也の好みに合わせたのかなってレベルだし」
そういって遥が麦茶を運んできた
コップにピッチャーまで持ってくるあたり有能だと思う
「好きなんです?」
そう聞くと智也はうなずいた
私は小声でやったと呟く
「じゃぁ私は部屋に戻るね、ごゆっくり」
そう言って遥が部屋に戻り、2人になる
私たちは黙々と勉強した、たまに顔を上げると目が合う
でも会話はほとんどない、分からないとこあったら聞きたかったけど、なかなか分からないとこがない
普段から勉強してて、少し後悔した、もう少しバカでもよかったかも
そして6時を過ぎた、カーテンを閉め切っていたので外の様子がわからない
私たちは3時間以上勉強を続けていた
相変わらず、たまに顔を合わせるだけで会話はなかった
そのせいか集中力は大したもんだと思う
「なぁそろそろ休むか?」
「そうですね、あの、アルバム」
ほらよっ、と手渡されて私は受け取った
早速めくってみる、中学の頃なので大きな変化はないがやっぱりかっこいい
「ちょっと、トイレに行ってくるな」
そう言って、智也さんは部屋から出ていき、1人になった
アルバムを見てる、ほんと変わらないなと思いながら見た
そしてアルバムを見終わり本棚に戻す
その時にふとベッドのとこにある写真が目に入った
3人で映っている写真、その背景は公園だ、私が告白したあの噴水の前で3人で並んでる
真ん中は智也さん、中学のアルバムにそっくりだったのでわかった
左側は遥だと思う、でも右側は誰だろうかわからなかった
智也さんが戻ってきたら聞いてみようかな、そう思ったけどなかなか戻ってこない
少し不安になった、その時・・・突如、部屋の電気が消えた
停電かな、智也さんとか遥は大丈夫なのだろうか
その時、
ちゃん、タンタンタンタン
ふと聞き覚えある音楽が流れてきた
この曲は、智也さんと初めてデートに行ったときに見た映画、着信アルで使われてたやつだ
ものすごく不気味な着信音だ
ってかなってるのは私の携帯?、私はこの着信音にした覚えはない
じゃぁ誰の携帯がなってるのだろう
私のバッグの中から聞こえてくる気がする
バッグの中を恐る恐る見てみると、携帯電話が震えていた
「えっ、私の?」
そう呟いたが答えてくれる人はいない
そして携帯を開くと
「青・・島・・・雪菜」
え?名前も表示されてる番号も私のものだ、嘘だと
私は、気になり、通話ボタンを押した
「ガチャガチャ・・・えっ、開かない、嘘っ」
ドンドンとドアを叩きつける音が聞こえた
「っきゃぁーーーーーーー」
タタタタタ、悲鳴を上げて走り出す
「えっ、嘘っ・・・」
ドサッっと鈍い音がした
「プツン、ツーツー」
そこで電話は途切れ、機械音が響いた
映画なら、電話で聞いた声をそのまま、私がいう事になる
そして、電話が切れた時に死ぬ
映画と同じなら、未来からの着信のはずだ
着信時刻は19時44分、智也さんの部屋の時計は19時34分だ
今から10分後だ
私は考えた
開かないドア、鍵が付いてるドア、それはきっとトイレだろうか
トイレには智也さんがいるから、私は助けに求めて、走ってて、悲鳴を上げて階段で踏み外して死ぬ
でも2階の高さから階段を踏み外してみ死ぬとは思えない
それでもやっぱり怖かった、携帯を見てみるとやっぱり私の携帯だ
使い慣れた携帯に、なによりこの待ち受け、私と智也さんしかこれはもってないはず
私があの時、記念に取った写メだ、間違いない
この着信をもらった人はほとんど例外なく、死んでいる
私は写メをみて、生きて帰れますようにと願った
あまりもたついてる時間はない、とりあえず逃げ出したい
智也さんのいるトイレに行くのはダメだ、遥の部屋が右にある、遥ならきっと
私の救世主だから、今回もどうにかしてくれるはず
そう思い部屋を出て右側にある部屋を目指す、手には携帯のライトを握りしめた
しかし廊下にでて、右にいたのは、髪が長くて、顔が見えない
服装は全身真っ白、
あれは貞美だ、あの映画の予告の時にいた
井戸から出てくるお化けだ
「なんで、こんなとこに」
そして、こちらにゆっくり歩いてきてた
怖い怖い怖い怖い怖い怖い
反射的に逃げ出した、そして無意識に階段へと足をかけた
その時、まずいと一瞬思ったが、後ろから迫ってくる、貞美を見るとそうも言ってられない
私は一気に駆け下りた、そして降りた先にある玄関のドアの取っ手を掴む
ガチャガチャやるがやはり開かない
「えっ、開かない、嘘っ」
思い切り叩いてみるが反応はない
私はどうしたらいいか分からない
怖さをかき消すために叫んだ
「きゃぁーーーーーーーーーーー」
叫んでも怖いだけで気を紛らわすことも出来なかった
そして振り返ると貞美が階段の方から見下ろしてる
私はすぐ近くのリビングへと駆け込む
その瞬間何かが終わった
目の前には長い髪をたらし、真っ白な布を着た、貞美がいる
さっき階段のとこにいたはずでなんでリビングにいるんだ
貞美は超能力者だからおかしくはないのか
今の私には判断付かない
完全に手詰まりだ
もうどこへ行っても逃げられない
この家から出ることが出来ず、貞美に殺される
嘘でしょ・・・こんなとこで終わりたくない
「えっ、嘘・・・」
そう言った瞬間、自分でしまったと思った
電話と同じ、最後の一言を言ってしまった
私は完全に力が抜けて、その場に崩れた
その時ドサッと鈍い音がした
- おかしいな 怖くて怯え ただ1人 理想を求めて 後の祭りと -




