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夢花火 -ver雪菜-

- 大丈夫 胸に何度も 繰り返す -


7月中旬、昼


時計が12時を指して、チャイムが鳴り響く

私の席へ遥がやってる来る

そして、2人でご飯を食べる


「あ、卵焼き、貰うね」

私は遥のお弁当箱に箸を伸ばし卵焼きを掴みにかかる


「させないよっ」

キィーン

遥が箸で阻止をした、金属製の箸だから音がよく響く

私は奪うことに失敗したので、普通に食べ始めた


「くぅ、腕を上げたね」

私たちは卵焼き1つでくだらなく遊んでる

ほんと気軽にこんなことできるから楽しい

お昼の楽しみの1つだ


「まぁね」

遥はニコニコしながら今日も私の前でご飯を食べた


「来週終われば、夏休みよね、夏祭り楽しみだよね」


夏と言ったら、花火、浴衣、バーベキュー、イベント

休みと言えば、篭ってゲームが出来る、本もたくさん読める

私は遥と、楽しく過ごせる、そんな夏休みを期待している



「ね、夏祭りさ、私じゃなくて智也誘ったら?」


遥は唐突に言う、私もそれは思った

一番は智也さんの近くにいることが出来れば楽しい

それが許される関係なのかなとふと思う

もしゲームだったら、全体のイベント考えて、行動すればいい

でもここはリアルだ、思わぬ選択肢で、好感度が減少が命取りとなる

やり直しがきかないのが困る、そして自分の心理状態で選択の幅はさらに狭まる

イベントさえも自分で立てないといけないのが大変なとこだ


そして苦労したからと言って、必ず手に入るわけではない

前に言われた”初恋は実らない”とはそういう意味なのだろうか


理想の未来を想い描く、それが夢

しかし、それをブチ壊すのが現実

現実というのは案外残酷なものだと思う

智也さんは大丈夫と言ってくれた、一度はぶち壊されたけど


「簡単に言わないでよ、もぉそんな単純じゃないって」


「私は毎年のように行ってたな、浴衣着るのも手伝ってくれるし、優しくしてくれるよ」


遥がとても羨ましく思える、それはきっと兄弟だからだろうか

「優しく脱がせてくれるの?」


「うん、家に帰って、私の部屋で、思い切り、帯をね!あ~れぇ~って」


「って優しくないじゃんっ、楽しそうだけど」

そう言って遥を叩く、想像しただけで楽しそうだ

テレビとかでたまにやるやつ、1度はやられてみたい気もする


「どうする?智也に話し付けとこうか?」


遥に協力して、そう一言、言えば、うまくやってくれるだろう

そして私は、智也さんと夏のイベントを楽しめる

遥に頼んで私は予定を開けるだけ、それだけで物語はいい方向に傾くだろう


「やめてよ、私は結果だけじゃない、誘うって過程も楽しみたいのよ」



「話すだけですごく緊張するのに?」


「それを言わないでよ、格好つかないじゃない」


とかなんとかふざけつつも、がんばれと言ってくれた

最後は背中を押してくれる、それが遥だ

ほんと、遥がこの話題出さなければ、私は普通に遥を誘っていただろう



智也さんは大丈夫って言ってくれた

だから私はそれを信じる

私は一言、放課後、教室で待ってます

メールを送った


そして時は過ぎ、放課後になる

クラスがざわめきだす

「で、なんでここにしたのよ?もっと静かなとこいろいろあったでしょ」


「だって、なんか教室で待ってるってロマンチックじゃない?」


自分で言いながらも、完全に恋愛ゲームのやりすぎかなと思えた

だって、夕日が差し込まないどころか、まだ外は晴れ晴れと明るいし

自然の音だけじゃなくて、ざわざわうるさいし、完全に間違えた気がする


「ほんとはもう少し静かで、茜色な展開になるまで待ちたいわよ」

それでも、教室がざわめく中、キミは来てくれた

廊下から視線を巡らせ、ふと目が合う

そしてまっすぐに歩いてきた


「よっ、遥、まったか?」

あれ?聞き間違いかな

「ううん、今来たところよ、じゃ行こっか」

そう言って、自然に手を繋いで歩き出す


「って、なんでやねん、遥ずっとここにいたよね」


「突っ込むとこそこかよ、まぁ軽いジョークだから怒らないでよ」

そういうと遥は智也さんの腕を解き、軽く手を振り、歩いて行った

どうやら2人にしてくれたようだ

でもここじゃ少し目立つな、そう思い結局後を追うように教室を出た


放課後2人で歩く帰り道

少しばかり沈黙のまま歩く


「なぁ雪菜、8月は暇か?」

そういいながらさりげなく、手を握ってくれる


「暇ですよ、もしかして夏祭りですか?」


「・・・よくわかったな」

そう聞くとなんか同じようなことを考えてたのだろうかとテンションが上がる


「遥とはいかないんですね」


「たまにはな、まぁ遥以外のやつと行くのは3年ぶりだ」


その人はきっと、仲のいい友達かな

それよりも遥が毎年一緒でほんと羨ましく思えた


でも今年は私が一緒だ、これはチャンスだ

大丈夫、今度は上手くやろう、焦らずに、大丈夫

そう、心に言い聞かせ、智也さんといろいろ決めた



その日から私は待ち遠しかった、夏祭りの日が

色々と思うことはありながらついに迎えた当日


私は待ち合わせの18時の30分前に着いてしまった

今日は2人で、花火を見るだけだ、それだけでもすごく楽しみだ

しっかりと浴衣を着て、髪もポニーにしてみた

気合は十分だ


しばらくすると歩いてくる

「ごめん、まった?」


「今来たとこですよ!行きましょう」

私は張り切って、智也さんと腕を組んだが完全に間違えたと思った

智也さんを待たせてこのセリフを言いたかった、そしてここで少しじゃれ合いたかった

浴衣可愛いねとか言ってもらいたかった、ソースはもちろん恋愛ゲームだ


その後、2人で会場へと歩く、正直人混みだ

手を繋いでいられるのはいいが、どこかの同人誌即売会見たく、列整理は行われてないので歩くのは少し疲れる

会場付近の神社には露店がいくつも出ている

お祭りでお馴染みのものだ、何年たっても変わらないお店だ



「雪菜、とりあえず食おうぜ」


「はい、あ、綿菓子ありますよ」

綿菓子で当然目に行くのは綿菓子の袋だった

自分がゲームで大好きなキャラがいる、どんな時でもつい見つけてしまうのはオタクの性なのだろうか

そして早速綿菓子を買い、にやけてしまう

その後も焼きそば、たい焼き、たこ焼きなどを食べていく、

智也さんは私の裾をくいくいと引っ張る


「んっ?」


「たい焼き、1口貰うな」

そう言って、私の食べていたたい焼きにかぶりつく

私は少し固まった

「え、智也さん?」


「やっぱり、あんこも良いよな、俺のカスタードだったからさ」


俺のも食うか?

そしてお返しに私も1口貰った

すごいドキドキした、だって間接キスだもん

私はすごく気にする、っていうか智也さんのだからだと思う

直接・・・1度してみたいかも、その時ふと思った

でもそのためには智也さんの心にゴールを決めないといけない

その後も祭りっぽい射的やらわなげやらやって行く

祭りの露店を1通り2人で楽しんだ


「雪菜、こっち」


私は智也さんに手を引かれ、近くの芝へと座った

相変わらず、手は繋ぎっぱなしだ

おかげで身体の1部が当たっている

少し寄り添う感じで、私は智也さんに体重を預ける

花火が少しずつ上がってる


「はぁ少し疲れましたね」


「少しはしゃぎ過ぎたかな」


「花火綺麗ですね」


「お前もな、その浴衣、すごく可愛いぞ」

その一言に私は照れた、今、言うんだ

言われるとやはり嬉しい、会った時にはいつも通りだったから


「あ、ありがとうございます」

智也さんは私の身体を引き寄せた

バランスを崩し、私は膝の上に頭をのせる

「わっと」

頭を撫でてくれる

ほんとに夢みたいに心地いい

なんかいつもより優しい

花火が終わるまで、あと少しの間

大丈夫、そう言ってくれた、だから私は甘える


この時間がずっと続けばいいのに、幸せな時ほどに儚い

でも私は、この時何かを感じた、ちょっとした違和感

本来は逆なんだよな、私が今までにやってきた、恋愛ゲームでは女の子が癒すシーンが多かった


でも今、目の前にある、気持ちよさで忘れてしまう

なんかこのまま眠れそうだ


「なぁ雪菜」


「うん?」


「来週の日曜日は暇か?」


「うん」


「じゃぁ俺の家に来るか?」


「うん・・・」


「じゃぁまた駅前で待ち合わせしような、今度は14時くらいでいいか」


「うん・・・・・・」

私の意識はいつの間にか落ちていた


「って寝てるのかよ、ほんと変わらないな、キミも」

そう、智也さんがつぶやいた時、私は夢を見た


その世界はゆらゆらと揺れていた、ただひたすらに波に揺られるだけ

多分、船の上だろう、ずっと進んではいるが何もない

船には私と智也さんしかいない、このまましばらく2人きりだ

私は智也さんを抱きしめる、智也さんは何も言わず遠くを見ている

空には月が見える、綺麗でどこまでも続く海原

このまましばらく2人でいられるだろう

でも、私は不安だ、周りには何もないから

それでも智也さんといると安心できる

でも、何もしゃべらないのはなんでだろうか

一緒にいるのに急に分からなくなった


そして、私の意識が徐々に戻り始めた

やはり揺れている


「夢・・・か」


「おっ、起きたか」


「あれ・・・なんで?」

私は智也さんにおぶられていた

そして揺れている原因が判明した


「一緒に花火見てた、でもお前は寝ちゃった、起こすのも悪いからさ」


「ありがとう」

そのまま何もしゃべらないまま、私の家へと着いた

なんかレアな体験した、膝枕におんぶにと今日はすごくいい日だ


「それじゃぁ、また来週」


「えっ、うん」

何の話しだろうか、全く覚えていない

とりあえず頷いた、後でメールで聞こうかなと思った


「来週の日曜日、14時に駅前、なっ!」

そして智也さんはそう言うと去って行った

どうやらいつのまにか、約束してたらしい

まぁいいや、ラッキーだったと今日は本当に良い日だ

大丈夫、智也さんは大丈夫ってあの時、言った

ならきっとこの先も大丈夫だ


- あの日から 迷い泳ぎて 片割れを どこまで続く 夢の世界へ -


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