放課後-ver雪菜-
- なき日々に 過行く時を 眺め行く -
6月下旬
球技大会も終わり、テストも終わった、何もない日常
また、いつも通りの日々が続いていた
あれから智也さんとはあいさつ程度にしか話せてなかった
正直何を話していいかがわからない、
遥とは同じクラスだし、共通の話題がある
話せたからと言って何かあるわけでもない
たまに遠くから眺めて、かっこいいなと見てるだけ
遥と仲が良いとこ見て、羨ましく思うだけとなっていた
いつか自然に話せる日が来るのだろうか
私は今日も遥と2人で帰っていた
「ねぇ雪菜、寄り道してこう」
「うん、行こう」
遥は誘うと嫌がらずに私についてくる
これが私との絆、智也さんとの絆はない
遥はあくまで友達だ、恋人にはなれない
ずっと一緒にいるなら友達の関係でいたほうが楽だろう
だがしかし、もっと親しくなりたいと思う時がある
遥と私は商店街へ来た
制服姿の学生がちらほらいる
学校で、定番の放課後スポットの1つである
私たちはカフェにいた、落ち着いた店内でひたすらしゃべる
ガールズトークに花を咲かせているのが最近の過ごし方だ
なんといっても、冷房が効いてて、甘いものが食べれるのはすごく幸せを感じる
「ところでさ、もうすぐ夏休みよね」
唐突に遥が言った
そういえば後1ヶ月くらいで夏休みだ
夏といえば、プールや花火私はそれが頭に浮かんだ
「プール行ったり、花火したり、どうかな?」
自分で言ったものの嫌いではないが、女2人でやるのも楽しいが盛り上がりに欠ける気もした
「まぁいいんじゃない、あ、智也はプールとか好きだよ」
遥はそう答えると、ジュースを一気に飲み干した
「そうなんだ」
「いきなり誘うのは難しいよね、まぁそこはうまく頑張って」
カランコロン
入り口のドアの音が鳴り響いた
少し賑やかな5人組のお客さんが入ってきた
制服から察すると、同じ学校だ
「あれ、智也ー」
遥が手を振って声をかけてた、智也は返事する、それに気づいた店員さんは気遣って隣のテーブルに案内をした
そして5人は私たちの隣のテーブルに座る
「智也にこんな可愛い子いたとはな、知らんかったぜ」
「いや、妹だからな、それとその友達の雪菜さんだっけ?」
「こんにちは」
遥は元気よくあいさつした
ざわざわといつもより賑やかになった
2人だけで話していたかった、智也の話をもっと聞きたかった
でもこれも悪くはないかなと思った
「おっ、智也、お前にピッタリのメニューあるぞ」
そう言って見せたのは、注文する人もほとんどいないであろう
激辛パフェだった
「いや、辛いの苦手って知ってんだろっ」
「まぁまぁいいだろ、完食すればただじゃん、いいとこ見せるチャンスじゃん、すいませーん」
「おう、何がチャンスだ、ってちょっと待てや」
店員さんが注文を聞きに来た
「お決まりですか?」
みんなそれぞれ、好きなパフェを頼んでく
そして智也が頼むものは、もちろん決まっているだろう
「えっと・・・いちごパ」
「いやいやいやいや、違うだろっ、まずはっ、これだろ」
みんなして止めに入っていた
心の中でコントかっ、とツッコミを入れたかった
「まずはってなんだよ、いや、マジで辛いのダメだぞ?いいのか?」
「いいじゃん、じゃあ完食出来たら、遥ちゃんとデート出来るとかどう?」
それだったら私が変わりたい、遥の話じゃ一緒に出掛けることもちょくちょくあるらしい
「いや、妹だからな、たまに出かけたりするし」
「じゃぁ雪菜ちゃんと?」
私の名前が出てきて少しドキリとした
頷いてくれると嬉しいなと期待を込めて、智也さんを見る
智也さんと一瞬だけ目が合った
「まぁそれでいいけどさ」
そういって智也さんはメニューをじっくり見て悩む、周りのみんなは期待して智也さんを見てる
もちろん私は激辛とかは苦手で頼めない、私は絶対無理だ
説明欄には激辛注意と書いてあり
クリームに唐辛子が入っていて、周りのソースはハバネロソース、中の生地には激辛ラー油一番上には鷹の爪などがトッピングされてるらしい
こんな真っ赤なパフェとかホントに大丈夫だろうか
激辛パフェ抜きにして、むしろ普通に誘われれば遊びに行きたいなとは思う
これが1つのきっかけになったら嬉しいなと思った
「じゃぁ激辛パフェで」
なんだかんだ頼んでしまう辺り、おもしろく感じてしまう
頼んだだけなのに、なぜかみんなハイタッチをしている、早いよ、まだ来てもないのに
店員さんは注文を繰り返すと、カウンターへと戻って行った
そして、次々とパフェが来た、どれもおいしそうなんだけど
明らかにヤバい赤さのパフェがある
店員さんがストップウォッチを構えた
「それでは、ルールなんですが、10分以内に食べれればお好きなパフェが無料、完食できれば無料、ただ残すと1万円ですのでご注意ください、準備はいいですか?」
「・・・しゃぁ」
智也さんは気合を入れた、店員さんがスタートと叫ぶ
パフェ自体の量は普通サイズだ、大食いとかではないので量的には問題ない
「いただきま~す」
そしてまず一口、口に運ぶ
「みろよ、この赤さ、これが苺なら最高なのにな、んーーーーーーっげほっ、げほぉ」
いきなり悶え始めた、そして水を口にする
早速ダメージを受けていた
「あっーーーーあっーーーーーーー」
「く、かっら、これヤバいって、マジ辛い」
再び水を含んで、口の中で氷を転がす、あっという間に飲み切ってしまった
すかさず、周りのみんなで次の水と凍りが用意された
周りは笑いながら見てる、完全にバラエティ番組見てる感じだった
「後8分だぞ」
それを聞いて、次々に食べ進めていく
その分、氷を口の中に含んでいた
「あっーーーあっーーーやばい」
そうして半分くらい食べた、残り時間はあと5分
智也さんは泣きながら食べていた、泣くのはまだ早いんじゃないかなと思った
クリーム部分はほとんど食べきって、下の赤いスポンジが出てくる
もうスポンジそのものが辛さを主張してる、まるで唐辛子を練りこんだような赤さだ
スポンジを口に入れて、グラスを掴む
「あ、それ俺のメロンソーダ」
「あっーーーあっーーーあっーーーーー痺れるぅ、ひぃー、炭酸ダメっ」
舌を出しながらひーひー言ってる姿はかわいそうだけど、おもしろい
普通に笑いながら心の中で謝った
「もぅ、マジ無理」
「おっ、諦めんのか?まだ3分あるぞ、雪菜ちゃんとデート出来なくていいのか?」
それはもう、個人的に誘いたいレベルだけどね、と心の中で突っ込みを入れる
でも頑張ってくれれば、スムーズに2人で遊べると思うと頑張ってほしいところ
「雪菜ちゃん応援してあげなよ」
「えっ、と、智也さん、がんばれっ」
「しゃぁねぇなぁ、よし、がんばる」
といって、智也さんがラストスパートをかける
目を閉じて一気に駆け込む、もうノリノリだった
「んーっんーっ」
もう言葉にはなってないが、空になった器をみんなに見せる
「おみごとっ!おめでとうございます」
店員さん、みんなから拍手が送られる
顔は真っ赤で、涙と鼻水が止まらなくなっている
嬉しくて泣いてるのか、辛くて泣いてるのか、どっちなのか分からない
恐らく両方だと思うけど
「もう絶対辛いのやらねぇからな」
といって、ぐったりした
「智也、はい、杏仁豆腐」
遥はいつの間にか頼んでた杏仁豆腐を智也の前に置く
なんか手慣れた連携プレーみたいな感じだ
「おっ、遥サンキュー、うまっ、杏仁豆腐うまっ、お口の中がお花畑だわ」
「よかったな智也、これで雪菜ちゃんとデートできるな」
「まったく・・・お前ら」
智也さんは飽きれながらも笑っていた
見事に食べきった、ただ単におもしろがってやってただけだけどデートが出来ることはすごく嬉しかった
「というわけで、雪菜、連絡先教えてくれ」
「あ、はい」
私は携帯を取り出すと、先輩のもとへ歩み寄った
「あれ?遥と同じ携帯じゃん」
「ほんとだ、見てこれ、私の」
そういって携帯を見せてくる
同じ機種だった、もしも携帯が入れ替わったりしたら見分けようがない
好きな人、友達と同じってなんか嬉しい
そして無事にお互いのアドレスを交換した
「智也さん、楽しみにしてますね」
そういって私は微笑んだ
- ありがとう 明日のことに 1つだけ 微笑み期待 涙流して -




