冬の温もり-ver雪菜-
- あの日から 変わらぬ温もり そばにある -
2月25日
チョコを渡してから数日が過ぎていた、放課後は一緒に過ごせないが朝なら普通に過ごせていた
今日も一緒に登校中だったりする
「智也さん、寒いですね」
「そうだな、そろそろ暖かくなってくれるはずなのにな」
私の心は智也さんといることで暖まってる、そんなことはもちろん言うことは出来ない
さすがに恥ずかしいし、そんなこと言えるのはバカップルぐらいなものだ、私たちはまだカップルじゃない、前にふられた日々を思い出す、それでもそばに居させてくれる優しい人なんだ
「そういえばさ、今日は遥の誕生日だな」
「えっ?今日?」
智也さんは知らなかったのと言わんばかりに驚いていた、まぁあれだけの仲良しなら知っていて当然なんだけど、すっかり忘れてた、今からじゃ大した誕生日ドッキリを仕掛けられない
「まぁ今からじゃあまり仕掛けられないだろう」
どうしようかなと私は考えた、時間がかからないものでどう驚かせるかがポイントだ
「じゃあな、雪菜」
どうやら必死に考えていたら、いつの間にか学校へと着いていた、智也さんのことは一時的にアウトオブ眼中になっていた、珍しいこともあるもんだ、こんなことも1年に1度だけだ、だからこそ力を入れないと、今年の最初で最後の誕生日会を成し遂げるべく、私は授業中ひたすら考えた
おかげでお腹がすくのがいつもより早い気がする、まだ3限目終わったとこであと1時間くらいお昼まで時間があった、一度意識してしまうと感じてしまう、そして人というのは不思議なもので、お腹がすくと不機嫌になりがちなんだ
「あ、雪菜、あのさ、今日なんだけどさ」
なんか妙に嬉しそうに話しかけてくる遥、理由は今朝理解した
誕生日だから祝ってもらいたいのだろう
「なにっ」
私は本を閉じて置いて、振り返りながら聞いた
「あっごめん、なんでもないや」
そう言って去って行く遥、完全にあたってしまったように聞こえたのだろうか
どうやら後ろでそれを見ていた高崎さんが話しかけてきた
「何かあったの?」
あ、私は話しかけられて気が付いた、協力者が欲しいなと思った
”1人では無理かもしれない、でも2人でなら”そう思った私は思いつくままに高崎さんに話した
「ってことだからさ、うまいこと遥を連れて遊びに出かけて時間を稼いでほしいな」
任せてよ、と勢いよく返事してくれるとこ見ると相談してよかったように思える
よし、これで何とか第1段階は完了だ、そして今日の昼休み
「あ、雪菜、食べようよ」
「ごめん、購買行ってくるから先食べてて」
そして私は購買でパンを買う、いつもはお菓子をちょこまかと買うだけだ、今日はパンも買う、そして校庭で食べてると校舎の方を見上げる、遥と目が合った、私はあえてスルーした気づかずに何も見なかったように視線を戻してメロンパンにかぶりつく、このカリカリがたまらなく、ふわふわの優しさが美味しい
特に悪気はないのだ、放課後のサプライズまで何もせずに放っておかないと、今、話すわけにはいかないし、でも今日だけ様子が違ったらさすがに不自然に思われる、もしかしたらばれてるかもしれないが私はサプライズとしてやるんだ
今日はまず帰ったら、料理を作ろうと思う、難しいのではなく5分くらいで作れる簡単なやつだ、そもそも私が料理のスキルが高くないため、難しいのは無理だ
そして部屋の装飾は時間かかるから諦めるとして、後は何をすべきか、考えるが上手く思いつかない、私は手に持っていたメロンパンをひたすらに被りつく
「ずいぶん必死にメロンパン食べてるな」
「あ、智也さん・・・」
目の前には偶然にも通りかかった智也さんがいた、今からサッカーをやろうとしてたらしいのか、仲間に先にやってろとボールを渡していた、そして私の横に座る智也さん、思わずよさりかかりたくなるけど今日は相談することにした、私が話し始めると智也さんは得意そうな顔をした
「任せろよ、小道具ならいくつか貸せるから終わったら家に来いよ」
その誘いを受け、どうやってドッキリを仕掛けるか、いろんなことを教えてもらえそうで私は楽しみにした
「てか最近悪いな、いつも放課後はさ」
「結衣にゃんのとこでしょ」
知ってたんだというような顔をしてる、むしろそれ以外は想像出来なかった
「あいつと話してるのはすごい楽しいんだけどさ、最近なんか辛くなってくんだ」
その言葉は意外だった、私は楽しいだけの毎日かと思った、でも少し考えると、結衣にゃんは余命宣告されてる状態、智也さんの話によると最近は面会時間も徐々に短くなり、元気がたりてないとのことだ
ついこの前まで一緒にオフ会企画して楽しんでたのにそれを聞いてしまうと複雑な気持ちになる
「ありがとな、話し聞いてくれるだけでスッキリしたよ」
どうやら何もしてないけど役に立てたのかな、私たちはまた放課後なと言って別れた
教室に戻ると高崎さんと遥が楽しそうに話していた、私はその横を通り過ぎる、遥が話しかけようとしたがさり気なく高崎さんはそれを阻止してくれた、私はそのまま席に着く
「というわけで放課後カラオケ行こうね、久々に歌おうよ」
「う、うん、・・・高崎さんと行くの初めてだっけね?」
通り過ぎたときにそんな会話が聞こえてきた、思ったより時間稼ぎをしてくれるみたいで、安心した
そして授業中は、真面目に放課後のことを考えていた、それなりに構想は出来上がってきた、智也さんの小道具でヒントを得て、糖分を取り、頭に栄養が回ってきたおかげだろう、授業中に妙なテンションだ
放課後になり智也さんと帰る、遥はもちろん後回しだ・・・こんなこと言うのはさすがに遥に悪いけど実際そうなってる
智也さんの部屋にあった小道具やら途中で買った小道具やらを使い仕掛けを作る、学校でもこういう工作出来たら楽しそうだなと思う、智也さんが小道具を両手に話す姿は見ていて楽しかった
「はじめて来たな、お前の家」
まさかの遥より先に智也さんを呼ぶとは思ってなかった、早速、手を借りて協力する
そして1時間もしないうちにそれなりの仕掛けが出来た私は満足して、ご飯を作ろうとする
「おっ、雪菜の手作りか」
「うん、そうだよ、智也さんも食べてく?」
智也さんはもちろんと答えて、一緒に料理を作った、もちろんそんなに時間はかからない手抜き料理だ、ケーキは普通に買ってきたし、焼きそばはお湯を入れて作って、ソースをかけて盛り付けて、サラダは野菜を切って盛り付けるだけ、後は一番料理っぽいのがおにぎりを握ったことだ、そしてお湯でコーヒーを入れると瞬く間にテーブルの上がいっぱいになった
「意外になんとかなったね、うん」
すごく嬉しい、準備は整ったので後は待つだけだ、高崎さんからの連絡を受けて、間もなく到着するとのこと、私たちは待った、静かに待った、手にはもちろん定番のクラッカーを用意して待った
そして、おじゃましますと、まず遥が入ってくる、その瞬間を待っていたかのようにひもを引く、パァンと音を立てて飛び出すのは1発の銃弾、舞い散る赤い色の血・・・ではなく紙テープ、カラフルな小さい紙吹雪、遥にぶっかけることに成功したのはいいがフリーズしてる
「ようこそ、私の家へ、さぁ晩ご飯を食べよう」
「おなかすいたし食べよう」
そう言って後ろにいた高崎さんが入ってきた、遥もそれにつられてようやく動き出した、そして4人で席へと着く、ほかほかの料理をおいしく平らげた、ご飯を食べてる間、みんなで談笑していた
そして食後のコーヒーも飲み、まったりしていた、そして智也さんと高崎さんは先に帰って2人だけになった、昼間のこともあってか少し距離感を感じた
「さて、私の部屋でも行こうか、そこの階段のぼって正面の部屋ね」
そう言って遥を先に行かせる、私は遥の後ろを歩く
「やっぱり遥って足綺麗だよね、」
遥が階段を上り始めてから、私はそう言ったが、遥は頷くだけで少しむくれている、そして遥が階段を最後まで上りきる時、私は階段下から眺めていた
「ひゃあっ」
ズボッと音を立てて階段を貫いていた、そして体制を崩し豪快に転んだ、もちろんそれは智也さんと作った偽物の付け加えた階段だ、成功したんだおもしろくないはずがない
「あっははっははっ」
私は声を上げて笑った、うぅと遥は唸りながら少し涙目になっていた、遥は扉を開けて中に入る、すると上から紙吹雪がバサッと遥にかかる
「雪菜、もうなんの嫌がらせよっ」
そう遥が叫んだ瞬間、階段の灯りを消した、灯りはそれしかついていなかったので真っ暗だ、初めての場所で灯りの場所なんてわからないだろう、智也さんが教えてくれた、遥は暗闇が苦手なんだと、そこで優しくされれば泣きついてくれると
私は階段をドタドタと上がり、部屋に入ると、泣き崩れている遥の脇腹を掴み自分のベッドまで運んだ、自分の部屋なので灯りが無くても大体の場所は分かった、私は遥のすぐ横に寝転び毛布でくるめた
「ごめんね、遥、怖かったでしょ?」
そういって、頭を撫でてやる、遥はこうされると何でも許すと、智也さんから聞いたのだ
「こわいよ、驚くよ、でもさ教室で無視された方がよっぽど辛かったよ」
私の心には少しだけ罪悪感が残った、でも明日からはまた元通りになりそう、私は部屋の明かりをつけた
だってこんなにしがみついてくれるんだし、遥のレアな一面見れただけで得した気分だった
「さて、片付けますか」
- 暗闇に 光包まれ 紙溢れ あははと笑い 良き想い出に -




