新年 - ver雪菜 -
- 待ち望む 新年迎え 遊ぶ日を -
1月1日0時
「あけおめ」
ついに新年を迎えた、しかしあけおめと返してくれる人はいない
私は実家で新年を迎えた、しかも自分の部屋でただ1人で、帰ってこないのは当たり前だった
特にあれから誰とも会わずに過ごしていた
あの日から、宿題やらゲームやらやってたらいつの間にか大晦日で気が付けば年を越していた
なんというかクリスマスに告白して、遥と遊んで、やりきった感がでてしまい、他にやる気が出なかった、それだけの話だ
しかし、新年になるとメールが・・・3件も来ていた
「珍しい」と思わずつぶやいた
1件は遥だろう、お互いに毎年のことだからわかる
私は友達がいないので、普通に新年のメールは来ない
SNSでは友達が多いのでそっちはたくさんくる、こういうと引きこもり感が否めないが事実だ
私はパソコンの電源を入れた
その間にメールを見る
そういえば高崎さんともメアド交換したことを思い出した
最後の1人は智也さんだった
「あけましておめでとう
クリスマスの時は気持ちに応えられなくてごめん、でも君を好きっていうのは本当だ
遥から聞いたけど、元気そうでよかった、また学校で話しかけてもいいかな?」
そんなの私が拒否するはずないじゃない、好きな人に話しかけられるのは嬉しいに決まってるよ
「あけおめです
ぜひ話しかけてください、また会えるのを楽しみにしてます」
私はシンプルにメールを返す、その時に大好きだよ、って言いながら送信ボタンを押した
この行動に特に意味はない、誰にも気づかれない、ただの自分自身の気持ちを込めただけだ
メールでは決して届かない、大好きって気持ち、私は何で送るたびに、こんなことしてるんだろうか
そう思いながら、PCを操作して、カタカタとキーボードを弾く
来てる個別メールにそれぞれ返してく、新年というのは普段出てこない人もメールを送るので懐かしい気持ちにもなる
あけましておめでとう、この10文字に自分の気持ちを加えて送る新年のあいさつ
みんなが1番、活発になる新年のスタートだ
メールを一通り返し終わり、私は一息ついた
そういえば、明日は東京へ行くんだっけ、そろそろ寝ないとな
東京で新年オフ会をやるらしい
SNSの仲間と久々に顔合わせできる、それにオタク街でも初売りとかやるらしいし楽しみだ
そう思っては私は目を閉じた
次の日の朝
私は電車に乗っていた、久しぶりの東京だ
鈍行だと3時間くらいかかる、時間もお金もかかるのでなかなかいけない
だからこそだろうか、この時を楽しみにしていた
私は電車の中で軽く寝たり小説を読んだりして過ごす
3時間は長いけど、意外にきつくはない
むしろワクワクしていて、楽しみなくらいだ
そういえば今日は遥がいない、思えば同じ高校になってずっと一緒だったな
今日は思い切り楽しんで、来なかったこと後悔させるくらいに楽しもう
やがて電車は目的の駅に着いた
相変わらず駅が広く、圧倒される、1目で見渡せる田舎とは違う
北口と南口しかない駅とは全然違う
私は上を見ながら歩く、わからないときはとりあえず上の看板に〇〇口あっちとか書いてあるからそれを頼りに行く、周りには慣れてる人が多いせいか流れがほんとに早い
誰か手を掴んで案内してくれる人がほしいくらいだ
やっとの思いで改札を出る、そして街並みを見渡す
お正月だからいつもより人は多いと思うけど、ほんとにすごい人だ
そしてこの高い建物だらけの場所を見てると都会って感じが溢れてきてすごくいい
「あ、ミカンちゃん、久しぶり」
「えっと結衣にゃん、久しぶりだね、いぇい」
私たちは会ってハイタッチをした
結衣にゃんは2,3年前に開催されたオフ会の幹事だ、会うのもそれ以来ぶりだ
オタク同志の中は不思議で、会えばすぐわかって、一気にハイテンションになれるところだ
「何目?」
「グッズかな、それと夜に飲み会」
今日はあらかじめ、親には遥の家に泊まってくると言ってあるので問題はなかった
もちろん遥にもそのことは連絡済みだ、むしろ買ってきてほしいものを頼まれたくらいだ
今日泊まるのは結衣にゃんの家だ
私たちは早速お店に行き、行列に並んだり、グッズを漁ったりした
ほんとに楽しい時間はあっという間だ、両手が紙袋でふさがるのもあっという間だった
「そういえばミカンちゃん、私も久々にオフ会開きたくなっちゃった」
「結衣にゃんはこっち住みでちょくちょく参加してるんだっけ?」
「うん、だから今度協力してくれないかな?ちなみにカラオケオフね」
「いいよ、そのくらい手伝うよ、結衣にゃんのオフ楽しいから楽しみにしてるよ」
私の初めてのオフ会は結衣にゃんのオフ会だし、いろんな企画とか練りこまれて楽しい
だからもちろん行くし、お手伝いも喜んで引き受ける、まったりと話してると日が暮れてきた
そろそろ飲み会の集合時間だ、私たちは駅へと向かった
駅へと集まり輪を作ってる、なんかこの感じが好きだ
「すいません、参加者のミカンです」
「参加者の結衣にゃんです」
幹事さんに挨拶して輪の中に加わった、今日の参加者は全部で20人らしい
全員そろいお店まで歩く、なんか2列で歩いてくのは、小学生の時の班行動を思い出す
見渡せば地味に長い列だ、待ち歩く人がばらばらに歩く中、私たちだけ整列して歩くのはなんかかっこいい
ただ両手が紙袋でふさがっており、手を繋げないのが残念だ
席へ着き、ドリンクを頼む、もちろんジュースだ
みんなの手元にジュースが届き、幹事のあいさつが始まった
「というわけで、まずはあけましておめでとうございます
新年お集まりいただきありがとうございます
今年もね、みんなで仲良くわいわい、ゲームしたりアニメ見て、楽しくやっていきましょう
それでは新年に乾杯っ!」
グラスの音が響き渡る、みんなしてグラスをぶつけ合う
さぁ、宴の始まりだ、普段ネットで話してる人とリアルで会うと、話したいことが溢れてくる
しかも話してるほとんどはアニメの話よりかは、自分の身の回り、仕事や学校の話題だったりする
飲んで食べて話して騒ぐ、こういうことが出来るからオフ会は好きだ
自分が信頼してる人だけだから、安心できて居心地がいい
初めて会う人は少しドキドキするがそれも楽しく思える、きっとオタク効果なのだろうと思う
「では、みなさん、そろそろ時間なんで、お金集めます、払った人から外へ出てください」
それでもやっぱり楽しい時間はあっという間で、もう3時間たったという感じだ
お金を幹事に渡して、外へと出た
「あっという間だったね、ミカンちゃんやっぱり人気だね」
「そんなことないって、私はただの田舎もんだし」
「その紙袋ってあそこの福袋だよね!私もそれ買ったよ、えへへお揃いだね」
くだらない会話さえ楽しい、これがほんとの仲間って奴だろうか
再び並んで歩く、オタクのこの列は、ほんとに好きだ
駅へと着き、邪魔にならないように輪になる
「はい、というわけで新年オフもこれでお開きとなりますが、また楽しくてわいわい出来るお酒なしの飲み会を開いていきたいと思いますので、その時はまた参加してもらえればうれしいです
最後に締める前に、結衣にゃんから告知があります」
「どうもみなさん、結衣にゃんです、いぇい」
「結衣にゃん可愛いよー」
と、1人が声を上げた
「ありがとー」
そう言って手を振る結衣にゃん
「結衣にゃん1発決めて」
「ここでなにやれと」
「結衣にゃん、結衣にゃん」
周囲のいろんな声、すべてに反応して返す、これでは先に進まない
そして突如始まる結衣にゃんコール、それに私も混ざる
「お前ら静まれ、先に進まねぇだろ」
と、幹事さんがツッコミを入れた
そして告知の続きをする
「えー、今月の終わりか2月くらいにカラオケオフを開きたいと思います」
「おぉー、結衣にゃん歌って」
「いや、ここでかいっ!」
「私、絶対行くよ」
「なに歌うの?」
「結衣にゃんライブだー」
再び周囲がふざけ始める、こういうのってホントに楽しい
混ざってみるとそれがよくわかる
「おい、お前ら、だから進まねぇだろって」
でもツッコミ役いなかったら告知がいつになってもできない
楽しいからいいんだけどね
やっぱりオフ会にちょくちょく顔出してるだけあって、ほんと仲いいんだな
少しだけ嫉妬してしまう
「それで、そこにいるミカンちゃんと2人で開催します、
その他詳細はまだ決まってませんがトピックに書きますので、よろしくお願いします」
最後に拍手が巻き起こった
名前を呼ばれて、ドキッとした、私も頑張らないとな
そしてようやく全部終わり、最後の1本締めだ
「それではみなさん、お手を拝借、いよぉぉぉ」
パンっとみんなで手を叩く
「ありがとうございました、それではお気をつけてお帰りください、解散」
さぁ行こうかと結衣にゃんは小声で言う、私は結衣にゃんと2人で帰った
この後は結衣にゃんの家にお泊りだ、私は胸を弾ませた
結衣にゃんの家に着きそのまま部屋まで案内してもらう
すごい部屋が片付いていた、オタクだと思えないくらいの部屋だ
私は荷物を置きシャワーを借りた
「ご飯はいらないよね?」
「ん~明日の朝はほしいかな」
「さて、疲れたし、寝る?それともアニメとか見る?漫画もあるよ?」
「ってか結衣にゃんって部屋ではメイド服着てんの?」
「いや、これはただの部屋着よ、可愛くて気に入ってるの」
「そっか、いいなぁそれ」
私たちはお布団敷いて、そのまま話すことになった
アニメとか漫画なら後でも見れる、でも結衣にゃんと直接話すのは今しかできない
今は話しがしたい、飲み会でも散々話したがもっと話したかった
でもその選択が後悔することになるとは思わなかった
そのあと結衣にゃんから聞いたことは、結衣にゃんがまたこっちの地元に戻ってくること
でもそれは、病気の治療で失敗して、先は長くないってこと
オフ会を開いて、病気のことは内緒にして、最後にみんなへ挨拶したいこと
そっか、部屋が片付いてるのは、引っ越すからなんだと、納得できた
「こんな重い話でごめんね」
そう言って結衣にゃんに抱きしめられた
私は結衣にゃんのぬくもりを感じていた
暖かい、確かなぬくもり、それなのに先は長くないって
私は気づかれないように静かに泣いた
抱きしめられた、結衣にゃんのほうは向けなかった
でもせめて明日の朝は笑顔でおはようって言おう
- 旧友に 会えて喜び 束の間の 望まぬ先でも 勇気を出して -




