雨の日の想い-ver雪菜-
終わりかな 熱き休みの 最終日
8月最終日
外からザーと雨が降る音が聞こえる
携帯を見ると着信ナシ、誰からもメールすら来てない
この日は珍しく雨が降っていた
雨の中、私は傘をさして歩いてた
この夏、何度も何度も智也さんと待ち合わせた、あの駅へ向かう
今日は夏休みの最後の日で、宿題に追われる人が多いであろう日だ
私は1度も追われたことがない、むしろ最初の1週間でほぼ終わらせるくらいだ
そうすれば、残りの日々をゲームして過ごしたり、イベントに行ったりと、解き放たれた時間を過ごせる
ただ今回は智也さんとの距離を縮めるを目標にしてた、少しだが進展した気もする
智也さんの家に行ったし、智也さんから誘われるようになったり、智也さんの気持ちは少しは傾いてるんじゃないかなと思う
胸元には貰った青いイルカのペンダント
ほんと智也さん可愛いの暮れて嬉しい
しかも自分のイメージがイルカさんとかほんと可愛く思われてるのかなって思う
私は駅に着くと見渡した、智也さんはまだ来てないようだ
やはり30分前に着いてしまうのが癖だ
ただ私は待つのが好きだった、楽しみだから待つことが出来る
私にとって待ち合わせとはそういうものだ
もし、久しぶりに友人に会って、夏休みは充実してるか聞かれたら
そりゃ充実してるよって答える、宿題終わらせて、ゲームたくさんしたし
智也さんに誘われたり、誕生日祝ってもらえたり
誕生日なんて、今まで祝われたことなかった
こんな充実した夏休みなんて、今までなかったよ
でも、今日は・・・
「よっ、まったか?」
と、声をかけ
「もう、雨の中待たせるなんて」
と膨れることも出来ない
「あいかわらず待つの好きだなぁ」
と微笑みながら声かける君
「えへへぇ」
やっぱり智也さんの前ではにやけてしまう私
それを想像することしか出来ない
今日は待ち合わせなんてしてないし
あの日から、智也さんとメールしてなかった
恋人同士ではないので、毎日はしない
それでも2,3日に1回はしてた、何気ない雑談に付き合ってくれた
メールするのが楽しみだ、遥とはよくメールするが日常になってた
女の子同士のメール、楽しみと言えばそうだが、ドキドキはしない
智也さんのそばにいるとそれだけで、安心できる
楽しい気分になってくる、出来れば今日も遊びたかった
私は、明日空いてますか?
その一言だけ送ったが返信はなかった
傘を持って、駅の屋根で、来るはずのない人を待ち続ける
なんかひどく虚しい感じがした
私は再び携帯を見た
新着0件、つまり着信ナシ、メールなしだ
私は携帯をしまうと、電車に乗った
そして、いつもならにぎやかな街を、傘をさして歩き出した
ほんと自分でも思うけど、なんでこんな雨の日に出かけたんろうか
誰かが待ってるわけでもないし、欲しいものがあるわけでもない
私はただ歩き回る、そして着いた先は本屋、ここで取ろうとした本で手と手が重なるとか、そんなシチュエーションに憧れる
智也さんとかと1回やってみたい
そう思ったけど、読む本のジャンルが違うので無理かと思った
私が本屋で買うっていったらラノベとか、女子向けの本だから、被ることはない
相変わらず、新刊とか見てテンションあげる自分は楽しい
はたから見たら、完全に気持ち悪いと思う
でもそれ以上に、この人の書く絵が好き、文章が好き
誰かの心に届くものがあると思う
私はそれに魅かれてオタクの道を歩んだ
その先にオフ会があって、遥との出会いがあった
あの頃は、自分のきっかけとなった作品の話しがしたくなって参加してみた
それはよかったが、知らない人の前ではすごく緊張しちゃって、自己紹介すらうまく出来なかった
ほとんどお茶を飲んでるだけかと思いきや、私の方に話題を振ってくれた
そして頑張れって言ってくれて、私は勇気をもらった
それから、みんなの輪に入って行くことが出来た
遥と一緒なら色々と安心できたんだ
それから遥と一緒にオフ会に出るようになって、友達は増えていった
自然と打ち解けることが出来るようになり、楽しいと感じた
だから前向きになれた気がする
あの頃思い出して私は笑っていた、いきなり笑い出すなんて周りから見たら完全に変な人だ
でも楽しいからやめられない、それがオタクだ
そんな思いにふけながら本屋で数時間過ごす
外は相変わらず雨、買いたい本はあったが雨だったので何も買わずに外に出た
お昼はとっくに過ぎてる、午後になってもお腹は空かない
それでも食べたいものはある、本屋の近くにあるクレープ屋さんだ
甘いものは大好きだ、おなかが空いてなくても食べたくなる時がある
私はやはり迷う、どれも美味しそうなんだもん
ただ激辛を除いてだが、初めてのオフ会の帰りに遥と寄った場所でもある
「ねぇこの後時間あるなら一緒にクレープ食べない?」
オフ会で解散した後に誘われた、あの時は4人だった
幹事と私と遥と智也さん
私は遥とおしゃべりに夢中になって、幹事と智也さんとは別行動してたっけ
4人の集まりが2人になって、距離を縮める、ほんと少人数だと親しくなりやすい
オフ会に何回か出てそう思った、そして誰かと同じものを共有できるのは楽しい
おかげで私はオフ会を楽しみに頑張れた、辛くても励ましてくれる仲間がいるから
ただあの時、智也さんのことは、遥の付き添いと聞いてただけで、ほとんど話もしなかった
なのに入学式の日、何で私のことを覚えていたのかなと少し疑問に思った
私はクレープを食べ終わり再び歩き出す
今度は少しゲームセンターで遊んだ
その帰りにスーパーに寄った
そこで、ひき肉と偶然見かけた、電流が流れるドッキリ文房具を買った
やっぱり歩くときに隣に誰かいないと寂しい
一緒に歩くときに腕を握りたい、今はそう思う
昔はこんなことなかったのに、私の中で確実に変化が起きていた
再び電車に乗り、自宅へと帰ってきた
この日は結局、誰とも会わずに帰ってきた
携帯を見ても着信ナシだった
心のどこかでは期待してたのに、なんか残念だ
きっと宿題とかで忙しかった、そう思うことにした
時刻は6時過ぎだ、雨の日なのになんか充実してた
すごい懐かしい気分になっていた
だから私はひき肉を買ってきた
小学生の頃、調理実習で作った料理
うまく出来ずに笑われたのが凄い悔しかった
私は冷蔵庫の中の玉ねぎを刻み始めた
すると涙が出てきた、決して悔し涙ではない
そしてフライパンで炒めた
色が変わってきたのを確認して、ボールにひき肉と卵、炒めた玉ねぎを入れて混ぜた
この冷たいひき肉と卵、そして温かい玉ねぎが手の中で気持ちよく混ざる
ある程度混ぜて私は形を作る、今回はハート形に作ってみた
そしてフライパンの上で焼く
両面しっかりと焼く、このちょっとした焦げ目が重要だ
焼いてる間にキャベツを千切りにしてさらに敷き詰める
そして上手に焼けたハンバーグを乗せる
形は上手くハートになっていた、私は手を洗い、ハンバーグをテーブルに並べる
そして、炊き上がったご飯を並べる、今日のご飯はライスとハンバーグだ
気分はもちろんレストランな気分だ
本当は智也さんとか呼びたかった、そう思い携帯を見た
だが相変わらず着信ナシのままだった
そして私は早速ハンバーグを食べた
大事なことに気が付いた
・・・味付け忘れた、あの時、塩コショウを完全に忘れたため、味気がない
そう言えばデミグラソースも作ってない、なのでほとんど味がない
あるのは肉感とハートの形だけだった
なんでだろうか、それはまるで自分と智也さんの関係を表してるようだ
恋人ぽく演じている感じ、形だけでそれっぽく見えても味がない
しかも完全に浮かれてたところも
いつか揚げ足を取られるのだろうか
そのことを考えると虚しくなった
・・・でも、食べられなくはない
少しだけ希望はあるのだ、今度もう1度挑戦して、今度こそは決めよう
1度の失敗から進展はあったんだ、今はきっと友達以上恋人未満の関係だと私は思う
女の子にプレゼントを贈るくらいだし、私のことも好きになってくれるはず
明日からまた始まる、私は頑張る、色々と
どうか1歩前へ進めますように、胸に付けているペンダントに願いを込めて
- 想いだけ 1つの味に 行く先は いつかの願い 叶いますよに -




