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01.03 第四話『思索』

ちょとテンポが悪いなと反省中です。

 その日の夜勤あけ、代々木公園内を思索しながら寛和は歩いていた。

 今日は水曜日で配給される朝食はコンビニ弁当のはずだ。ささやかな贅沢をかんじれる日でもある。


(ハンバーグ弁当ならいいなぁ。)


 ご飯のことを考えたあと、先日からやたら固執して考えているプラズマレールキャノンを実現するのに必要な技術について考えていた。


(まず、プラズマの収束用のマニュピュレーターレーザーは半導体レーザーか光量子素子レーザーで作り出さなければならない。ただし、制御の速度の関係でこの部分を電子回路では制御できない。光量子回路で制御しなければならない。エネルギーの供給も光を直に制御したほうが望ましい。)


 そこまで考えてエネルギー源を思い出して苦笑した。

(光量子回路もそうだけど、それを動かすためのエネルギー元として小型化した核融合炉が必要になるな。レーザー励起型にして・・ここも制御は光量子回路でないとだめだな。)


 その時点でいろいろ課題が山積している。


(光量子コンピューターの細密化が必須になるだろうなぁ。ここでの問題は空間情報システムによる干渉を光量子回路がうけるから、それを防ぐ回路も必要になることだな。ここのあたりの技術の確立が一番面倒だな。空間情報システムの実在が証明されたときの混乱も面倒だが・・・・どうにかクリアするしかない。)


 次に考えたのは励起レーザーである。

(初期段階では重粒子線をつかうのが一般的だから、タングステン砲弾にするとして、それの第一励起をおこす波長、電子一個分励起されたタングステン粒子の吸収波長、電子二個分が励起された軌道での吸収波長と階段のように波長をあげていく技術のための励起分原子の吸収波長を調べる研究も必要だな。)


 そこまでいってもさらに問題はある。目的の励起を発生させる半導体レーザーあるいは光量子素子レーザーが必要になる。これは核融合炉の小型化にも必要とされる技術だ。もっとも別の種類の元素の原子、この場合は重水素か二重水素か重ヘリウムあたりで始めるのが望ましいだろう。


 光量子回路と簡単にいっているが、それはいままで電子のやりとりでおこなっている電子回路を光量子でやりとりを行う仕組みにするため、電子とは性質が違うため、まったくゼロからの開発に等しい。


 しかしこれが実現できなければ次の時代へのパラダイムシフトは起こせない。


 同時に食料の問題についても思い当たる。

(このままいけば寒冷期に突入する。そのまえに食料生産の工場化と公平化を進めないと必ず文明は詰む。前回の地球の中華人民共和国の食料の格差はひどかったからなぁ。一般庶民はいも虫が食事で、共産党員は白パンや白米、牛肉のステーキといった普通の食事だったからなぁ。エネルギーが足りないからだとか言われてたけど・・・。そのエネルギーを確保しても、自分の優位性の為にあのクズどもはエネルギー発生技術を隠匿したり、破壊したりしたからな。)


 太陽の制御システムが壊れたままというのがそもそものこの温暖期寒冷期がくる最大の原因である。そこまで考えて暗い気持ちになる。

(制御さえきっちりしていれば・・・・とはいってもテラフラクトの連中が余計なことをしてしまう可能性は高いな。太陽内コロニー内部の状況もうまく動いていてくれれば問題ないのだろうけど・・・)


 そこまで考えてふっと息を吐いた。

「自分だけでやらないといけないのはいくらなんでも無理すぎる。くっそ~~。」


(そもそも文明保全のために組織を作るための素地をつくってきたのに、それを全部森家だの辻家だのの権力欲のせいでダメになってる。日本を守ることすら困難だよなぁ。)


 文明の保全のためには日本人の存在が必要である。どうじにスター・ストリーム・ユニオンが救援を行う理由でもある。多少朝鮮人のように人工人種の血がはいっていたとしても許容範囲内なら問題はない。ただ遺伝的距離とその後の遺伝子保全の事を考えると日本人の人口が減るのは望ましくない。


 遺伝的ディストピアという言葉をご存じだろうか?それは近親交配ばかりが進んで、将来的に因子を残せなくなる状況のことを言う。ユダヤ人の人たちがいるから緩衝材にはなるだろうけどそれでも完璧ではない。


 そこまで考えて息を吐いたところで、競技場入り口に鎹警部補が立っていることに気づいた。

 寛和が顔をむけると、鎹警部補は軽く手を挙げた。


「富田さん、ちょっとよろしいですか?」


 寛和としては配給の弁当を食べてからにしたかったのでそれを言うと、


「朝食のほうは本庁でおごるんでちょっと本庁までついてきていただけますか?」


 どうやら面倒ごとが舞い込んだらしい。とはいってもそもそもかかわりをつくったのは寛和のほうであるから、ある意味自業自得ではある。

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