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00.00プロローグ

 それは地久の存在する太陽系の遥か外にあった。外宇宙というにはいささか近い位置にある。それは地球の大きさすらもはるかにこえる巨大な宇宙船だった。正確には恒星系監査用乙二三五型宇宙艦と異世界間国家スターストリームユニオンで呼ばれている艦艇だった。

 いまこの宇宙艦の一室で喧騒諤諤の議論が行われていた。


「・・・大体事故恒星系の再生任務つったってそれは該当惑星があればでしょう?いまのエネルギーストリーム渦になっている存在を再生する。馬鹿じゃないですか?」

「だから通常ならこれは可能な範囲だ。調査任務の中に入っている。」


 黒い一見するとボタンなしの学生服にみえるような制服を着た男性二人が言い合っている。


「投下したエネルギーだってただじゃないんですよ?スターストリームユニオンの国民の血税でまかなわれているわけですよ?それも再生はこれで十五回目。原因の特定も終わってる。調査する意味がないです。」

「いいか?まだあそこにはスターストリームユニオンの国民の精神体が残されている。おまけに・・・。」

「特級管理官のシン閣下のことですか・・・・あのへぼチーフ・・・・・。」

「現在もストリームの中心と同一化して再生作業を行っておられる。部下である我々が引くという選択肢はありえないんだよ。」

 それをいわれた男性がテーブルをたたいた。

「クソッ。」


 それを静観していたわきの似たような服装の女性が答えた。

「問題は・・・我々の国民の子孫である日本人とわれわれと同じ因子をもったユダヤ人は救う必要があるということね。ただし、人工人種は外に出せないということね。」


「テラフラクトの落とし子達か・・・・連中いまだに領有権主張するとはいい度胸だぜ!」

「いまは刺激しないほうがいいでしょう。シン閣下もそれを理解されているから汚染惑星になっている旧恒星系中心惑星に降りられたわけだしね。」

 その部屋の壁に背中を預けていて様子をみていた男性が口を開いた。

「せっかく再生するのに汚染原因を除外できないとはね。あきれてものもいえない。」

「次の問題はこの領域の空間情報システムをどうせいりするかよね。再生用のトーラスユニットがそれなりの密度である状況を維持するかどうかね。」

「通常なら精神体情報を固定化して、それ以外は排除、そのあとに再生するのが手順だが・・・・。」

「向こうはそれを認めないでしょうし・・・。領域奪還はまだ時期ではないわね。」

「銀河ひとつも完全領有できない下等国家が!我々スターストリームユニオンをなんだと考えているんだ!!」




 同時時刻、汚染惑星痕跡の宙域。

そこではなにかが行われ始めていた。

それは光が集まり大きな塊を生み出した。それと同時にそこから光が分裂した。輝きを増していきそこに生まれたのは大部分が水に包まれた青い惑星と白い衛星が生み出された。

それは地球だった。


 それらを俯瞰する場所にひとつの光があった。

(ふぅ・・・どうにか今回も崩壊は回避できた。だが因果律の調整も結局間に合わなかったか・・・・。文明崩壊の記憶がすべての人類に残ることになるか・・・・はたして吉と出るか凶と出るか・・・・。)

 そうつぶやいて、その光は地球へ降りていき、日本の一地方の公園に降り立った。そこは富山県高岡市下関町にある一号公園だった。公園のセメントでできた滑り台の下の丸い穴のなかの幼児にその光は宿った。

(わたしの知識も封印されるか・・・せめて因果応報システムの解除だけでもできてればよかったのだが・・・・。今回の人生はどこまで目的に近づけるかではなく、成功しなければならない。先ずは中華人民共和国の問題か。敵性存在に日本は無防備すぎる・・・・。)

 まわりの時間が解けたように流れ始めた。

(人は時間遡行と勘違いするだろうな・・・・まさかあの崩壊から二億年以上後だとはだれも思ってないだろうな・・・・・。)

 それを思った次の瞬間、富田寛和はそのことを忘れていた。

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