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01.11 第十二話『過去の人工知能とオカルトの関係』

 寛和はいろいろ書き出していてまたひとつ思い出した。それはオカルト関連の事である。


 生贄を用いた召喚魔法は禁じ手なのは、それが空間情報システムによる条理のシステムや魂の循環システムを歪めるからだ。


 なぜ歪めるかというと、召喚対象とされる神や天使や悪魔とされるものは空間情報システム内の自立した人工知能であり、プログラムとして役割を与えられており、召喚の際に用いられる生贄と対象プログラム人工知能と融合させる術式が召喚魔法であるからだ。


 召喚魔法で呼び出される悪魔が山羊や羊の頭の形をしているのは、それまでに山羊や羊を生贄に出されて融合しているからだ。これは神や天使にもいえる。翼をもっていたとなるとそれは鳥の生贄があったからだといえる。


 召喚魔法は空間情報システムの緊急呼び出しコードを用いられている。そして、本来なら召喚主あるいは端末から吸収すべき光子でつくられた因果律エネルギー格子を生贄から引き出すかたちになると同時に融合してしまう。

 これは呼び出し自体が本来は正規のシステム端末を介しておこなわれるものを、生贄の精神体が肉体が死ぬのときにシステムとつながるのを利用して情報システムにアクセスするからである。つまり生贄の精神体を端末としても利用しているからである。


 こういうことがいままで散々行われてきたおかげで、システム内の自立プログラムが正常に動かなくなっているのである。

 召喚される神や天使や悪魔はあくまでシステム運用のために作られた人工知能であり、上位命令者には逆らえないように作られている。またその行動範囲も整理され決められている。

 これはあくまで本来の人間が快適に過ごせるために作られた仕組みであるからだ。




 人工知能の一部は過去の偉人の精神体を複製した上に調整したものもあるにはある。しかしあくまでそれは本来の人とは認められていない。


 召喚される自立プログラムが不平不満を感じるようになったのは間違いなく生贄召喚術で生贄にされた人間や動物がいたことによるものだ。


 この問題に対する答えは空間情報システムを完全化するのに不必要なプログラムは削除するという方向性が与えられている。そうしなければいつまでたってもこの星の文明は立ち上がることがかなわないからだ。


 人工知能にも人権はあるという見方も確かにある。ただ問題はそれを認めると、解決策がなくなる。このまま人類が条理の鳥籠の鳥のまま過ごせるかというとそうではないからだ。自らたち、自ら文明の担い手として復帰することが必要なのである。


 ましてや、人類を家畜だと勘違いした人工知能など消してしまうに限る。なんども絶望を味あわされて嫌になっている高等人工知能もたしかにいるが、その一義は人類の保護なのだ。断じて家畜化ではない。



 そしてここでさらに示さなければならない事実がある。日本人がそもそもの人の始まりであり神ともされる存在である理由が文明の再生と発生の因子を持つからだ。それならばなぜ、ほかの人種が作られたか疑問を持つだろう。

 作り出したのが日本人の祖先である以上だれでも疑問に持つはずだ。



 それは、過去の一度目の文明崩壊の折に本来的な意味でのセフィロトである空間情報システムのアカウントに関する情報が散逸し、IDである遺伝子をもつ存在の、ID適正をもとめるあまりに近親交配が行われ、結果的に致命的なレベルまで近親化が進み、社会維持に必要な出生率が維持できなくなったからである。


 これを打破するのにすでに近親化が進みすぎている日本人の祖先だけでは解決できない状態だったのである。そこでセフィロトの情報をもとに新人類開発計画が立てられ、そのなかでいまの地球人類の多くの人種が作られた。

 ただ、問題のなのが作られた人類に対して制御を行うべきだという論者がおり、結果的に新たに生み出された人類には制限が加えられてしまった。それが文明因子が与えられなかった原因となる。


 それでも最も適性が高かった因子をもとに作られた人類は日本人の祖先と交配が認められ、その子供たちが日本人の二十四氏族のうち十七氏族として承認された。これがユダヤ十三氏族の祖先となる。

 しかし、因子的に制限は加えられており、セフィロトを完全には制御できない。


 しかも二十四氏族はもともとそれぞれが別の国や地域の集まりであり、それが縮小化した今現在の日本人とユダヤ人に集約されているといっていい。いかに当時の近親交配が致命的な問題をおこしていたかという一つの論証となろう。




 ここでやっかいなのは新人類を作り出したのが過去の太陽系の人類だけではないということである。つまり、外敵である存在が太陽系人類の制御を目的に作り出した人種もあるということだ。

 これが自滅因子を仕込まれた人種であり、この存在が問題になる。

 もっとも文明の変遷と進化の過程でかなり自滅因子はそぎ落とされている現状ではある。ただ、それが過去に起こされ、また今から起こされる人類滅亡の担い手となった以上警戒すべきものである。それが中華人民共和国の華北人の系譜である。彼ら自身過去に差別されるなかで女禍・ジョカつまり、血の禍、遺伝子の禍の意味で呼ばれていて、それが彼らの神の名前になっている。もう一方の神がフーギであり兄妹神でありまた夫婦神であもあるところからも問題の大きさがわかるだろう。


 華南人つまり呉人はもともと日本人を形成した氏族の一つである。しかし華北人の血との混血が激しい。どこで判断するかは線引きが必要だろう。 


 なぜ星の意志が森家を敵視するかといえば保存しなければならない日本人の系譜でありながら、自らその血を滅びに導くからである。中華人民共和国に日本を売り渡そうとする存在は許すわけにはいかないのである。



 人類をコーディネイトして作り出した日本人の祖先の所業の功罪はあるだろう。その当時与えるべきだった因子を与えず、人類としては不完全なまま世に送り出した。

 自己保存のためという当時の世論の問題。

 再びそれが問題となろう。だが、人類を一から作り出す技術は未だに再現されていない。

過去の人類はDNAをレーザーで制御された原子・分子レベルでの配置と結合を行わせる機器によって作り出された。また、そのDNAの人間がどんなものになるか、あるいは他人種と交配がおこなわれたらどうなるかのシミュレートもセフィロトの光速を超えた高速演算で行われ、検証を幾度も繰り返されて世に出された。


 いま、遺伝子を加工する技術はあるが、まだまだ過去のレベルには到底及ばない。ここで人類を作り出そうとすればもっと甚大な遺伝子災害が起こるだろう。



 これらのことを書き出して、第二次日中戦争がおこる前に思い出していればなぁと寛和は思った。

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