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01.06 第七話『救出活動と伸びる魔の手』

どうにか執筆ペースを安定させたいところです。


*2016/04/14誤字修正

 仮眠から覚めて仕事の準備に清掃員の制服に着替えていると、大きく響くくぐもったボスン、ボスンという音が数回した。


 そして避難所のそとでサイレンが鳴り始めた。


 何人かの男性が避難所の外に出ていく。それを追いかけて寛和も外に出ると、近くの代々木競技場のほうから煙があがっていた。


(職場のほうから煙が・・・・・)


 あわてて寛和は夕飯の配給ももらわずに競技場にむかった。

 競技場内に設置されているいくつかの役所のプレハブ小屋が吹き飛んでいる。幸い寛和の職場の事務所は無事だった。


 大声で何人かのひとが救出活動をしている。寛和は急いでそれに参加すべく足をすすめた。


 倒壊した建物は三つあり、そのうちのひとつはハローワーク避難所事務所だった。火はついていないが金属の臭いが漂っている。


 ひしゃげた建物のほうから人の声がする。二階の窓だった場所の割れたガラスをどかそうとすると、それは樹脂の板らしく、割れていなかったが、窓自体を外せない。


 どうにか空いている隙間から両手を差し入れて、窓を上に引き外した。


 窓を外した穴から下へはいるとそこには何人かの職員が倒れていた。急いで呼吸を確認してから声をかけた。


「もしもし、大丈夫ですか?」


 するとすぐ男性は目を開けた。


「・・音が・・・・・」


 どうやら鼓膜がやぶれているらしく音がうまくつたわっていないらしい。寛和は男性の足元の椅子をどかすとすぐに男性を肩に抱え込んで、入ってきた窓のほうへ向かった。


 本来なら頭をうっていた場合を考えてうごかさないほうがいいのかもしれないが、このプレハブ小屋自体いつまでもつともかぎらない。


 窓から顔をだしていた男性数人に抱えている男性を持ち上げるようにいうと、その男性たちのひとがおりてきて倒れていた男性を柄脇にかかえて窓から外に引っ張り出した。


 寛和は、そのあとまた倒れているもう一人の男性のところに向かった。


 そこに倒れていたのは葉山だった。


「葉山さん・・・いますぐたすけます!」


 葉山は眼を細くした。


「・・・富田さんでしたか・・・・・。私の足はどうなっています?動かそうとしても動かないのです。」


 葉山の言葉で葉山の脚の上に載っている折り畳みテーブルをどかすと、葉山の足が不自然に曲って、骨が突き出して出血してた。

 正直寛和にはその状態を応急措置する自信はなかったが、タオルを葉山の出血している患部に巻きつけてきつく縛った。


「お~い!!もうひとりか二人きてくれ!!脚を折ってる人がいる。」


 寛和がそう叫ぶと上から三人やってきた。そのうち一人は峰岸でもう一人が同僚の中村だった。


「おう富田きてやったぞ。」


 峰岸はそういってから葉山の顔を見た。


「葉山の坊主か。しっかりしろ!いま運んでやる。富田お前はそっち側の肩をもて。中村らは反対側の肩を。稲本は両足をこのひもでまとめてしばれ。それからこっちのほうは・・・・。」


 峰岸は葉山の骨折している脚の根元を頑丈そうなひもでしばりつけた。


「こういうときは根元で止血帯をつけるんだ。あと・・・上のだれか!!氷用意しろ!!!」


 峰岸がそうどなるとうえから返事があった。


 葉山をそこから連れ出すのはなかなか骨が折れた。足が使えないので肩に手を入れた人間だけで上に持ち上げないといけなかったからだ。

 葉山を引っ張り出すと皆汗だくだった。しかし、救助はこれだけでは終わりではない。まだ中に生きているひとの助けを呼ぶ声がしていた。




 結局あれからまる一日寛和たちは救急隊がくるまで救助活動をやったり、救急隊がやってきてからも行方不明者の捜索をしていた。ようやくひといきをついて、郊外にあるというスーパー銭湯に峰岸につれられて行ったのも次の日の朝だった。




 スーパー銭湯で峰岸は湯船で寛和のよこに座るなり、どなった。


「おぃ!この間いっていた同級生ってやつらについて教えてもらうぞ!」


 寛和に取ったは青天の霹靂だった。いままの峰岸はどちらかといえば厄介ごとをさけるきらいがつよかった。だから寛和からも詳しい事情を聞こうとしなかった。


「・・・・かまいませんけど、聞いててきもちのいいものじゃないですよ?」


 そう前置きをして、小学校時代の出来事を話した。


「するて~と・・・その辻何某の信者みたいな連中が今回の事件をおこしているわけか。」


「そうですね。特殊な爆薬や時限装置を手に入れている様子から、森家が必ず関係していると思います。」


「特殊な爆薬?」


「さっき、無煙火薬が使われたって警察の人がしゃべってましたから。無煙火薬というのはピクリン酸などの保存が難しい薬品です。それ自体も皮膚から吸収される毒性の強い薬品です。だれかの助けを借りずに、あの被害を出す量を調達できるはずがありません。」


「それと森家がどうつながる?」


「森家は化学会社とのつてがあります。そこから材料を仕入れて作ったか・・・・あるいは現物を得ることはたやすいのですよ。だいたい警備が強化されいてるうちの避難所に何度も仕掛けられてること自体おかしいです。」


「するって~と、内部協力者がいるってことか・・・・。」


「森家のつてがあれば協力者を得るのは楽でしょう。建設業界で財をなしている財閥ですから。避難設備をつくっている作業員に上からの命令だと爆弾の入った箱などを運び込ませればいいんですから。運んだ本人は爆弾と知らなければ犯人の見つけようもありませんから。」

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