01.05 第六話『国際ニュース』
また説明ばっかりになってますね~~。
鎹警部補に話した内容がどこまで信用されるのか、このテロ事件の全容を解明するのに影響しそうだと寛和は感じた。もっとも今回辻刹那がテロを主導したという明確な証拠が出ていることに、彼女らしくない感じがした。
おそらくだが、人民解放軍は占領地で最初に辻家ないし森家と約束していた待遇は与えなかったのだろうことが予想できる。それゆえ、望まない任務を言い渡されてやっているという感覚がする。
浅間山荘事件の犯人たちの行動によく似ている。あれは森家が中華人民共和国との取引で、森家につながる左翼の過激派を処分するのが目的だった。森死刑囚はそれをよく主導したといえるだろう。だから死刑執行を表向きされて実際は別の戸籍を与えられてその後の人生を生きていた。
暴走が目に余るという理由で殺された学生たちはうかばれまいが・・・・・・。
だとすれば辻刹那達のグループも処分されることになるのだろうことが予想される。
中華人民共和国がわにとっては利用するだけしてあとはきっちり処分するという規則にのっとった行動だが、やられたほうはたまったものではないだろう。寛和からしてみれば辻刹那達は日本を裏切るような行為をしていたのだから自業自得だと思うが・・・・。
(中国人が漢民族以外の存在を利用できるか利用できないかでしかみてないことに早く気付くべきだったのに連中は口当たりのいい言葉に見事に騙されて酔っていたということかな。)
中国が自らの組織末端である日本の極左ゲリラを処分したのはアメリカ合衆国からの圧力があったからだとされている。国交正常化を行うのにそれが条件として示されていたということだ。
今の状況だと、戦争で勝って日本を併合するのが中華人民共和国の目的である。
表向き、第一次日中戦争時代の復讐を果たしたと中華人民共和国国民に喧伝するのが目的だろうが、実際はさらにその先まで考えていることは予想できる。
中華人民共和国の目的は世界征服である。そしてそれは漢民族を頂点とする格差社会の構築でもある。その時点で漢民族の作り手の思惑に乗せられているわけだが、彼らは気づくまい。
そしてその結果が地球人類の滅亡である。
現状、中華人民共和国の計画通りには進んではいない。が同時に日本国内に広がっている触手が問題だ。森家や辻家は信用に値しない。右翼を名乗ろうが左翼を名乗ろうが、中華人民共和国の組織末端と化しているからだ。
内憂外患とはまさにこのことだが、同時に対応を進めなくてはいけない。
情報発信だけでは自ずと限界があるが、さりとて寛和にはそれ以外の選択肢が現状ではとれない。
日本政府の自浄作用に期待するしかない。
避難所に帰ってきた寛和は配給所へむかった。なんにせよ明日の糧をえなければ誰であろうが生きてはいけない。とりあえずの収入源は確保できているが、まだ住居を借りれる状況ではない。
(はやくネット環境を取り戻して、楽に情報発信できる状態になりたいな・・・・。またアメリカ合衆国に避難する羽目になるのは御免こうむりたいからな。日本に勝ってもらわないと・・・・・。)
避難所のテレビで韓国軍と北朝鮮人民軍の戦況を伝えていた。現状やや北朝鮮に韓国がおされている状況だという。黄海をわたってきた人民解放軍にソウルを制圧されたのが効いているらしい。
人民解放軍の物量作戦には質ではなかなか対応できない。戦とは数だとはよくいったものだと思う。
釜山を本部とした新国連軍が反抗作戦を開始したとニュースは伝えていた。
国際連合から中華人民共和国が常任理事国から外されたことで、あたらな国際連合が編成されることになりそれを新国連と呼んでいる。
常任理事国から外されたことに中華人民共和国の国際連合大使はたびたび抗議を行っている様子だが、水面下でいろいろ動きを見せている。上海条約機構を中心としたあらたな国際組織を設立しようと動いているとの情報もある。
一方、戦争はアジアのみならず、アフリカ大陸でも発生している。中華人民共和国の同盟国がいくつか隣国への侵攻作戦を開始し、紛争になっているらしい。
ヨーロッパではロシア連邦に対する批判が強まっており、ポーランドとロシア連邦の国境線が封鎖されたとニュースは伝えていた。
あきらかに中華人民共和国の世界規模での戦争計画が実行に移されている感触がある。初手はつまずかせたが全体としては遅滞行動をおこなっただけにとどまっている気がする。
核ミサイルでの先制攻撃を防いでいるだけでも御の字だが、アメリカ合衆国にとってはかなりの負担になっているだろう。