心配事、移り行く空
まさかのスマホの不調で、下書きがすべて消えていたという事件がおきました(泣)
しかもなぜかノウの波に乗れず、新しい話かきたいなぁーなどと考えてしまってます。
ボチボチ投稿でいきます。
すみません。・±・
時が過ぎるのは早く、ノウがハメリ村に来てから二年が経とうとしていた。
十代、特に十二歳の少年少女というのは育ち盛りで、フゥエンやレイメイ、村の子供たちはぐんぐん身長が伸び、筋力もついた。少年たちは声変わりをした者も多かった。
ところが、どういうわけか一人例外がいたのだ。
ノウである。
二年前と変わらない身長。気のせいかとも思われたが、住み始めてからずっとフゥエンの父親が柱に身長を刻んでいたので、間違いではなかった。
ノウ本人は、何かの病気ではないか、もしかしたら移るものかもしれない…などと心配をしていたが、フゥエン一家はそんなことは気にするなと言うので、変わることなく日々を暮らしていた。
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「ノウ、今から川に魚を捕りに行かないか?天気もいいし、今の時期だと小魚でも丸々太ってて美味しいんだ。」
ついこの間誕生日を迎えて十四歳になったフゥエンが、庭で薪を割っていたノウに話しかけた。
「え?でもまだ薪割り終わってないし…。」
「そんだけ割れば充分だって!」
「そう?」
「ざっと見ても半年分はありそうだぞ。」
居候という意識故か、いつも無意識のうちに家事に熱が入りすぎている。
フゥエンが止めていなければ二年分の薪を割っていただろう。
使いふるされた斧を降ろして、ノウはフゥと息を吐く。
「そうだなぁ、昼食の時間までには戻れそうか?」
「あっちで魚を焼いて食べようかと思ってんだよ。」
「…焦がすなよ。」
「焦がさねぇよ!?」
何だかんだ言いながらも、二人は釣竿とブリキのバケツを持って森の中へと入っていった。
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何事もなく歩き続けて川へと着いた二人は、さっそくエサを付けて浮きを水面に投げる。
魚が泳いでいる様子が見えるほど、水は透き通っていてきれいだった。
釣りを始めて二時間後。
「結構釣れたな!」
「俺、釣り苦手かも知れない…。全然かからなかった。」
ブリキのバケツの中には、丸々太った小魚たちがビチビチと詰まっている。ほとんどがフゥエンが捕ったものだった。
「フゥエン、火を起こして。はやく食べよう…お腹すいた。」
「相変わらずよく食べるよな、ノウ。」
フゥエンは慣れた手つきで石と石をぶつけて火花をおこす。やがて集めてきた枯れ枝から煙が出てきた。
そこから慎重に空気を送り込むと、数分後には魚を焼くのにちょうどいい大きさの焚き火ができた。
「四分の一だけ食べような。」
「残りは今日の夕食に、だね。」
串刺しにした小魚たちに焼き色がつきはじめ、美味しそうな匂いを出し始めた。
「よし、そろそろいいな!」
「待てノウ、もう少し焼いた方が」
「俺はこのぐらいがいいの。」
フゥエンの声もむなしく、ノウは次々と半焼きの魚たちをたいらげていく。外はパリッと、中はホクホクしている。味付けはせずに自然そのままの風味でとても美味しい。
しかし食べ物の危機を感じたのだろう、串の数が八本を越えたところでフゥエンがストップをかけた。
「俺の分が無くなるだろ。」
「えーっ、ケチ。」
「俺が釣ったよな、この魚たち。」
「…そうですねー。」
最後の一匹を食べるフゥエンの正面で、まだあまり食べ足りないノウは垂れてきそうなヨダレを飲み込んだ。そして、自然と視線は残りの小魚たちの方へ。
その様子を見たフゥエンは片手でバケツを自分の後ろの方へと押す。
「夕食の分だからな。」
「…分かってるって。」
フゥエンが食べ終わると、土をかけて焚き火の火を完全に消す。そして来るときよりも重くなったバケツと釣竿を持って、二人は村へと歩き出した。
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「ん?」
歩き始めてから少し。
ノウは何かの音が聞こえた気がして、歩いてきた獣道を振り返った。
「どうした?なんかいたのか?」
「いや、聞き間違いかもしれないけど…奥の長い草のあたりにに何か居たような?ガサッて。」
二人は話を止め、耳をすましてみた。ところがそのような音は全くしない。
「気のせい、かな…」
ふと、二人は何かがおかしいことに気がつく。
鳥や虫たちの鳴き声がしない。本当に、ただひたすらに静かだった。
フゥエンはうっすらと鳥肌がたつのを感じた。どうにか口を開き、ノウを促す。
「はやく帰ろう。ここらも一応、危険な動物がたまに出るんだ。」
「う、うん。」
そして二人は村の方へと、先程よりも早足で歩いていったのだった。
このあと、しばらくしてから森で奇妙な事件がおき始める。