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新しい生活


息子が突然、友達を家に住まわせたいと言ってきて驚いた様子のフゥエンの両親だったが、快く了解してくれ、ノウはフゥエンの家に居候することになった。

もちろんタダではノウも気がひけるので、家事の手伝いや畑仕事の手伝いをする条件付きだ。


「ノウくん、あっちの畑の雑草を抜いてきてくれる?」

「あ、はーい。」

「ノウ、これ終わったらレイメイ誘って遊ぼうな!」

「そうだな…って、フゥエン手を動かそうよ。」

「そうよフゥエン、きびきび動きなさい!」

「なんか俺だけにきびしくない?気のせい?」


笑いの絶えない穏やかな日々。

フゥエンの家族はとてもあたたい人々だった。

ノウは毎日を楽しみつつ、自分の居場所はこの村になったんだと考えるようになる。

村の人々もノウに優しくしてくれて、時には厳しいときもあったが、嫌悪の目で見られることなど一度もなく、村の一員として見られつつあった。




──────────────




季節は移り行き、夏の始まりを告げるような少し生温かい夜。



「おやすみな、ノウ。」

「うん、また明日。」



フゥエン少年の家の廊下。

日々の仕事と遊びを終えて、二人はそれぞれの部屋へと向かった。

フゥエンは自室へ、ノウはフゥエンの二番目の兄の部屋を借りているので、そこへ。


ノウは寝やすい服へ着替えて、ベッドに腰かける。ギシリと音をたてるベッドは、長い間使われていることを強調していた。


「フゥ…」


広くもなく狭くもない、木製の壁で出来ている部屋は、なぜかとても落ち着く場所だった。


もしかしたら、以前もこういう部屋に住んでいたのかも知れないな。


ノウはそう思いながら、ベッドに寝転がった。



出来ればこのまま、村人として生活していきたい。

このまま、あたたかい日々を過ごしていけたら。



ノウは小さく、心のなかでそう祈る。




雲ひとつ無いその日の夜は、月がほんのりと輝いている美しい夜だった。








しかし運命は決して甘くない。


月日は過ぎていき、刻一刻と彼らの日々に影を落としていく。





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