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迷子の少年

どうも、チェルです!

来年に出すはずだったこの話。

グダクダになっていないか心配ですが、生暖かい目で見てやってください!!

・±・


少年の年齢を、12、3歳に変更しました。


ここは何処だろう?




──────────────



ここはサリマーダ王国の端にある小さな村、ハメリ村。

村の周りにはとても粗末な木の(へい)が立っているだけという、なんとも無防備な所である。



そんな村にとある出来事が起きた。



それは午後を少し回った頃のこと。

雲行きが急に怪しくなり空は徐々に灰色に染まる。そしてついに、ポツリポツリと雨が降り始めた。



この様子では、雨はどんどん激しくなると思われた。



そんな雨の中、森を二人の大小の人が走って行く。

猟を生業としている親子だった。

父親の方は慣れた足取りで村の方へと獣道を走っていく。

「降ってきたな、急ぐぞ。」


「あ、置いていくなよ父ちゃん!」

必死に父親に追い付こうと走っていた息子だったが、急に立ち止まった父親の背におもいっきりぶつかってしまい、呻き声をあげる。


「痛っ!どうしたんだよ!?」


「おい、…あんな子供村に居なかったよな。」


「は?」


息子は父親の言う意味がわからず首をかしげた。今は雨で視界が悪くなりつつある。

しかし目をよく凝らしてみるとなるほど、今走っている道の真っ直ぐ行った所に一人の子供が立っていた。



此方をジッと見ている。



しかしその目はどこか少し、ぼんやりとしていた。



ピクリともせずに此方を見つめるその子供は心なしか怖い。


「ど、どうする?」

臆病な息子は小声で父親に問い掛ける。


「どうするったって、こんな所でただ突っ立ってる訳にはいかんだろう。声をかけてみるぞ。」


そう言って、子供に近付いていく父親。そして怯えながらも引っ付いてくる息子。


彼らはその子供の二メートルほど離れた所で立ち止まった。

するとハッとしたように、その男の顔の高さに合わせて子供が顔を上げる。

濡れてはいるもののとても綺麗な金髪、深い蒼瞳。そしてとても整った顔立ちをしている少年だった。後ろにいる息子よりも少し幼いように見えることから、12、3歳だろうと男は予測した。


「この辺では見かけない顔だが。君、もしかして迷子か?」


「…えっ?……あ…」

男に話しかけられた少年はとても驚いた顔をして、あたふたと声を出す。


見たところ何も持っていない。野盗などの類いではないだろう、と男はは判断した。


「こんなところにいては風邪を引く。俺たちの村で雨宿りでもしていくといい。」

そう言っている間にも雨はどんどん激しくなる。


「え…あの、でも俺…。」


「ホラ、早く!」

あたふたとしていた少年に父親はムッとして、その少年の手首を力強く掴んで引っ張っていく。

少年は少年で転んだら泥だらけになると嫌なので、おとなしく父親に着いていくしかなかった。

ちなみに容赦なく父親は走るのが早い。考え事などもできないほど、少年はひたすらに引っ張られながら走っていた。

その後からは息子も父親の後を追って、村へと走っていく。




雨はさらに激しくなっていった。




──────────────




村の粗末な木の塀を通って進んでいくと、途中途中で洗濯物を必死に取り入れる女性たちの姿があった。が、こちらも急いでいるので横目には見るが足は止めずに走っていく。


そして父親と息子、そして少年はとある大きめの木造の建物へとたどり着いた。中へ入ると、そこは意外と広い休憩所だった。奥にはドアがいくつかあり、その奥にも部屋があるのだと分かった。



「ここは村の役場だ。俺たちの家はもっと時間のかかるところだからな。一先ずはここで雨宿りだ。いいな、少年?」

息子は無視して、父親は少年へと確認のように話しかける。


「…はい。」

少しぼんやりとした様子で彼は返事を返しす。着ている服はシャツとズボンだけで濡れている状態だったが、どうもないようだ。


「親父、寒い。」

少年と違い、息子はとてもガタガタと震えていた。雨に濡れて寒いらしい。


「今日狩った獲物を売ってくるついでに毛布ももらってくる。もう少し待っててくれ。いいな、少年。」


「あれ、親父俺は?」


「その辺の本でも見とけ少年。」


「おーい、親父~…」


しかし父親は無視。


そのまま奥にあったドアを開けて、さらに奥にある受付所へと行ってしまった。



息子はたった一人、その不思議な少年と共に休憩所に取り残されてしまった。




──────────────




男が中へ入ると、そこには数名の職員が忙しそうに働いていた。


「おや、どうしたねマースさん。…ああ、狩ったのを売りに来たのかい。それにしてもタイミングが悪かったね。急に降りだすなんて。」


忙しそうにしている職員の中から真っ白な白髪の、少し…ハゲめの老人が出てきた。彼はこの村の村長だ。


「そうそう、売りに来たんだがついでに毛布も貸してもらえますかね?俺の連れが寒そうにしてるんで。」


「連れ?君の息子だろう?」


「いや、実はさっき途中で少年に出会いましてね。見たところ、この辺では見かけない感じの子で。首都の方の金持ちの坊じゃなかろうかと。多分迷子でしょう。」


「こんなところに何もないところになぁ。…何か複雑な理由があるかもしれんし、一先ず休ませてからワシが聞いてみよう。」


「お願いします。」


と、その時だった。



ゴロゴロロゴロゴロゴロ…!



ものすごく大きな音が響いてきたのだ。


「…雷でしょうかね。」


「いや、今のは隣の…入り口の部屋から聞こえてきたが?」


男と村長がこんな話をしていると、今話に上がっていた部屋から男の息子が、慌てた様子で出てきた。



「おっ、親父!どうしよう!?アイツが…」


男がハッとして息子を押しのけ部屋を覗くと、そこにはベンチに横たわる少年の姿があった。


「何があった!?」


「な、なんか気まずかったけどこのままじゃ嫌だと思って、俺が話しかけようとしたときに…」


「ときに?」

男は息子の言葉を促す。


「…ものすごく大きな音でお腹が鳴ったと思ったら、そのまま倒れた。」


「…なるほど。」

男はくるりと、村長の方へと向く。村長は村長で、今から男が言おうとしていることを分かっていた。


「村長。毛布ついでに、何か食べるものもらえますか。」


「ああ、良いとも。」




そのすぐ後に、少年に毛布と食べ物が与えられたのだった。




──────────────




「大丈夫か、少年。」



もらった食べ物をあっという間に全て平らげ、村でとれたミルクを樽半分飲み干し、少年は一先ずは落ち着いたようだった。

そしてその少年の後ろのベンチでは、目の前の大人三人前は有るであろう食べ物が無くなる様を、息子が驚いた様子で見ていた。



「はい。…あの、こんなに食べてしまってごめんなさい。」


「いや、そんなことは気にしなくてもいい。倒れたと聞いて驚いていたが、とりあえず安心したよ。」

男はホッとした顔でそう言う。


「今さらだが名を聞いていなかったな。少年では呼びにくいから、教えてくれないか?」

敢えて姓は聞かずに質問してみる。


「名…………。……あれ、俺の名前……?」


何か様子がおかしい。

男は、まさかと思いながら質問を続ける。


「自分が何処から来たか、分かるか?」


しかし返ってきた言葉は、男の予感に的中していた。



「…わからないです。…俺は………誰だろう?」




外で空を切り裂いき、大きな音を立てながら雷が何処かへと落ちていった。




──────────────




「大丈夫かい?」

静かに、かつ優しく村長が話しかける。しかし当の少年は落ち着いてはいるものの、少し動揺しているようだった。


「記憶喪失か。」

男は自分の予想が当たってしまい、低く唸った。


「…たぶん、それですね。すみません。」


どことなく気まずい空気が漂う中、村長が口を開いた。


「家が分からないとなると帰ろうにも帰れないな。しばらくはこの役場に泊まるといい。緊急用に幾つか部屋が空いているからそれを使うといい。」


「ありがとうございます!でも、食料とか…。」


「なぁに、この村はそんなに貧しくはないから少しくらい無くなったって平気だ。ですよね、村長?」


「ああ、そうだとも。一先ず、近くで捜索が出てないか調べてみよう。そのうち家へ帰れるはずだ。」


「じ、じゃあお言葉に甘えて…。お世話になります。」




こうして村に迷い込んだ、名も分からない少年は、ひとまず役場に泊まることになった。






指摘・アドバイス等有りましたら、是非ともしてください!

国語は苦手なので……。

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