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創刻のルーラ  作者: 天城 枢
桜 転入編
10/11

大戦 一

「"ギルティブレッド"」

 アルがスキルを放ち放射線上にレーザーが飛ぶ。遠距離からの攻撃に慌てて朱雀数人は防御系のスキルを展開する。

 しかし展開された防御スキルは無駄に終わる。目の前でその当たるはずの攻撃スキルが消えたのだから。いや正確には消えた、ではなく飲み込まれたが正しい。

 なら次元に飲み込まれたレーザーはどこに行ったのか。それはすぐさま分かった。

 朱雀の生徒の後ろより歪みが現れそこから消えたレーザーが放射される。

(おいおい、長距離レンジを囮に死角から攻撃……出来過ぎてるだろう)

 木々の陰から様子見をしてみれば心配など要らないほどきれいに決まった。

 服に取り付けられていた小さな赤い水晶がくすんだ色へと変わる。

(あれがライフって訳か……まさか防御系スキルをうまく後ろにまで展開していた。いや違うか。あの男が玄武からの配属ヒーラーで遅延回復スキルで威力を押さえたってところか)

 服に取り付けられた小さな水晶はいわゆるHPヒットポイント、体力というようなもので最初は各クラスのモチーフカラーをしているが、プレイヤーにスキルがヒットする度に威力に応じて色がくすんでいく最終的には灰色となった時点で死亡扱いとなり再戦することは不能となる。

「ルミアッ。俺をあいつらの頭上に落としてくれ」

「武器もないのにそれは危ないよッ」」

 インカムを使いルミアに指示を送ると危惧したような声が返って来た。

「問題無い。頭ん中が金と権力しかない坊ちゃん嬢ちゃんに負けねぇよ」

「ほんとに? 絶対? 負けない? 死なない?」

 どんどんと矢継ぎ早に言葉を浴びせられる。

「ええーい。心配しすぎだッ。とっととやれ。んで負けてからグダグダ言えッ」

「……分かった」

 啓の体が銀の粒子に包まれ、気付いきた時には空中。

(やっぱこれ驚きだわ……)

 相手も何か落下物が来たように感じ上を見る。

「気、抜きすぎだぞ。お前ら」

 約五メートル上空から踵落としを数名居る中の白い・・ローブを着た男の脳天目がけて繰り出した。上を向いたせいか、脳天を狙った攻撃は額にクリーンヒットし水晶の色は変わりはしなかったが気絶したようで周りの朱雀生徒は動揺しスキルを発動しようにも焦りから全く練れていなかった。

 その隙を突くように踵落としからの低い姿勢のまま手だけ周るように足払いで態勢を崩させる。一歩二歩後退し、よろめきながら尻もちをついた生徒に目がけローキック気味の一撃を手首に浴びせ、持っていたインフィニティーフレームを奪い取る。

 モーションコマンドを使いスキルを放つ。残り相手を難なく制圧し無力化するとメンバーを呼び寄せた。

「ざっと、こんなもんか」

「もしかしてだけど、インフィニティフレーム無くてもすごく強いのでは……」

「私の心配が杞憂に終わったのは良いけど、あんまりしないでよ。すごく不安」

 女子二人がそれぞれコメントするがルミアは意外にも心配性なことを啓は改めて知った。

 で、男子一同はというと、

「ちょっ、今度教えてくれっ! さっきの戦い方かっこよすぎだろッ」

「さすがだね~」 

「まあ良いけど。功騎の"地龍"的に無理があると思うが」

「男の浪漫的なやつだよ」

 戦闘はまだ初期。気を抜いていても安心と勘違いしてた。他のメンバーも。麒麟、朱雀共に。ただ二人を除いて。



「戦況はどうだ?」

 本陣で悠然とどっしりと構えるのは朱雀の大将、陽人だ。

 クラス朱雀での彼の印象は知的クールの冷徹代表と言われていた。

 補佐として横に構えるのは図書室でも居た二人。

 女の方がスッとタブレットのような端末を渡す。

「まあこんなところですわ」

 敵陣と自陣の残り戦力のグラス図。朱雀の残兵は残り三十三人、麒麟は三十七人と少し押されていた。

 遠距離を得意とする朱雀からすればまだ明るい五時台では本領発揮とは言えず、間合いを詰められればほぼ戦力とならない者が多い。それを見越し、前線では防御系スキルを得意とする、一般学生を配置し時間稼ぎを試みた。

 しかし、中央左寄りのグループが壊滅していたことに驚かされた。まだ一時間程度しか経っていないにもかかわらず、そこが全滅。明らかにおかしいと感じ、考えてみればすぐさま答えが出た。

(無道たちのグループか。やはり前線に来ていたか)

 もしかしたらそのまま本陣ここまで簡単にたどり着くのではないかと思い、腰を上げ別の時間稼ぎをすることにした。

「もうやるのかしら?」

 後ろで木に寄りかかり腕を組み、毅然とした姿勢で彼を見るのが今回陽人が読んだ助っ人だった。高圧的で自信のある態度が様になっているが、今は大戦中と陽人にとっては心底どうでもいいことだった。

「いえ、まだ貴方は出さない。予定は明日の朝。それまで気楽に待っていて下さればいいよ」

「あら? それまで耐えれるという自信と根拠はどこからきているの訊かせてもらうわ」 

「俺が出るからですよ」

「そう。退屈なのは嫌いよ」

 そう言うと奥へ消えて行った。

「なぜ、あの人を選んだんだい?」

「正確にはあの人が俺に交渉してきた。こちらのなにもかも見据えた様にな……」

「またそれは……厄介な相手ですわね」

「裏切りもしくは手を抜くという感じもありそうだ。そこのところは?」

「無いな」

 きっぱりと言い放ち、"翡翠"を起動させた。

「お前たちも手伝ってくれ。これからあいつらを牢獄へと案内する」

「ああ。そうことか。もちろんだともッ」

「良いですわよ。わたくしもそろそろ出たいと思っていた頃ですし」

 頷くと本陣から出る。

 "翡翠"を天高くかざすと、目を瞑らなければ眩しすぎる翡翠色の光が戦場を駆け抜けた。



「ック」

 強烈な光が啓たちの頭上を過ぎる。

 目が眩むほどの光を手で隠そうにも漏れ出た光が全身に浴びせられる。

 五秒以上も続いた光が収まれば周りは驚くほどの変化が表れていた。

「な、んだよ。……これッ」

 驚きのあまり声が震える。

 高々とそびえ立つ木で仕切られた壁たち。

 それらが一定の規則に並べられている。まるで迷路のように。

「おい、功騎ッ、アルッ、芳埜ッ、ルミアッ」

 呼ぶが誰一人として返ってこない。

 舌打ちをして思考する。

(なんだこれ? 明らかにおかしいだろ。これだけのものがあの数秒の光と――)

「光――翡翠・・色の。そう言うことかッ」

「気づいた様じゃの」

 首元から宙返りをして近くの枝に着地する。

「お前元から知ってたのか」

「我も今しがた思ったところじゃ」

 ヨーコが人が居なくなったことを見計らい現れたのだ。

「んじゃこれは陽人のやったってことで間違いないのか? 俺はこんなスキル知らないぞ」

「無理もなかろう。このスキルを使用されたのは主が生まれる前にたった一度だけだからの」

「なるほど。それじゃあ俺のアーカイブ・・・・・に入っていないわけだ」

 納得し、頷く。

「取りあえずここから出るぞ」

 ヨーコを肩に乗せ壁伝いに道なりに進んでいく。



『誰か、居ないのッ!』

 ルミアは念話を使い無差別に声を飛ばすが誰一人反応しない。スキルすら無力化されインカムも今じゃただの耳飾り。

(なんなのさっきの)

 目をあけてみれば周りは自然の檻となっており歩きながらスキルを使うも先の通り、変わり映えしない結果。

 "D-CAMERA"の移動スキルも発動しない始末に不安が押し寄せてくる。

 これではルミアの専売特許が意味をなさない。スキルが使えなければルミアはただのか弱い女の子となってしまう。

 自分でもそれにはとうに気づき歩く速さはだんだん減速していく。

 とうとう止まりうずくまって身を抱くように縮こまる。

(誰か……)



「……ハァハァ。さすがにきついな」

 どういうことになったのか功騎は理解していなかった。

 ただ周りには木人形と朱雀の生徒。敵意むき出しの相手に考えることなど無く無意識に"地龍"を振るっていた。

 接近の木人形に後方からの支援プラス高火力スキル。分が悪すぎる。さらには縦に長く仕切られた壁が身動きを封じ逃走しようにも出来ない。

(臥龍の射程に中々入ってこねえ)

 朱雀の生徒は間合いを測るように中距離以上には入ってこず、ひたすら遠距離から攻撃を繰り返す。木人形は壊しても次から次へと現れては手の槍で単純な攻撃を繰り返して来る。

 スタミナに自信のある功騎だが、これは体力よりも精神が先に尽きそうとジリジリと後退を余儀なくされた。

「この木人形……キリがねえッ」

「――"ジャッジメントブラスト"」

 抑揚のない冷めた声が功騎の耳に聞こえ、即座に振り返ろうとすると横を膨大な光が二つ走った。

 そのスキルを功騎は良く知っている。前の大戦でも自分をアシストしてくれた一撃。

「アルッ!」 

「コーキ。無茶のし過ぎ」

「わりぃわりぃ」

「まだ気抜いたら駄目だよ」

「おう。んでもアルが来てくれたからなッ、嬉しいんだよ。これで百人力だ」

「う、うん」

 いきなりしおらしくなるも、功騎は気にせず敵陣に飛び込む。慌ててアルは自分の得物に集中し功騎を利用して死角から朱雀の生徒を狙い撃つ。

「これで存分に暴れられるぜッ!」 

 朱雀の生徒がアルの攻撃に阻害されスキルを使えない間に功騎が木人形を粉砕していく。

「コーキッ。それは無限増殖するから後ろの朱雀をやってッ!」

「分かったッ! ――臥龍ッ」

 木人形を飲み込み道を無理やりつくり、朱雀の生徒へ肉薄する――はずだった

「んな!?」

 驚愕の一声と共に目の前に巨大な壁が動き妨害してきたのだ。



「んで、この術はなんてんだ?」

「"天地樹壁"。樹家最高峰の防御術じゃ。まさか弱い十六程度の小童が使えるとはの」

「防御スキルなのかこれ? 迷路みたいだが」

 壁に手を突きながら問う。

 なぜなら防御術は敵への攻撃を防ぐのであって、妨げるのではない。 最もな質問でもあるとヨーコは小さな顔で頷いた。

「うむ。この術は本来木を横に隙間なく組み、さらに厚さを作った一枚の壁に過ぎんのじゃ」

 しかしの、と付け加え続ける。

「これはそれを複数、複雑に組み合わせておる。ここまでのものそうそう出来ぬ」

 言いたいことは簡単だった。"天地樹壁"を壁として利用し複雑な迷路を組み立てたのだ。口では簡潔に述べられたが、啓は陽人の能力の高さに衝撃を受けた。

(芳埜を盾にしなくても俺と対等に戦えたんじゃないのか……)

「……まて、なら少し疑問も出来たぞ。声――音が外部から何も聞こえないのはどうしてだ?」

「連携術――用語的に言うなれば、こあぷれいしょんすきる。と言うのかの」

「コアプレイションスキルだとッ!? あいつが? ありえない。協調性など微塵も見られ――いやあの可能性がある以上もしかしたら」 

「連携術により音と後、外部展開が出来んようになっておる」

「外部展開も駄目となると、ルミアはやばいだろ」 

 外部展開は空間自体に影響を及ぼすタイプのスキルの事でルミアの念話や瞬間移動は封じられる。功騎や芳埜のスキルは内部展開と呼ばれインフィニティーフレームから発せられるため攻撃が壁に接触するまで無力化されない。

(あいつ、確実にルミアを潰しに来てるな。こっちの要が分かってやがる)

「急くな。あの小娘は今芳埜と居る」

 歯ぎしりをして焦っているのが悟られていたがヨーコの情報によりある程度落ち着きを取り戻す。

「何故分かる? ――いや無粋な質問か」

「そう言うことだの」

「取りあえずは……この湧いてきた敵をどうにかしよか」

 ヨーコと話している間に周りは敵に囲まれ逃げ道が無かった。



「目が覚めましたか。大丈夫ですか?」

 肩に手を回されフラフラになりながらも歩いていた。隣を見ると芳埜が少し辛そうな表情で支えてくれていた。

(あれ……私)

「……どう、して、ヨシノ……ン、ここ、に?」

 掠れ気味の声でルミアは顔を上げ確認する。

「脱出しようと歩いていたらアナタを見つけたんです」

「――ありがとう」

 二人は歩き続け右に左にと芳埜は分かっているような足取りで進んでいくと向かいから二つの人影が見えた。

「お、委員長とルミアじゃねえか」

「そっちも無事だったんだね~」

 功騎、アルと合流した二人。よくよく見れば彼らは少なくない傷跡があった。

「どうしたんですかっ!?」

「いや~、ちょっと人形と~」

「すんげぇ疲れるわ、アレ」

 事情を説明し四人は一度、周りに気を使いつつも腰を休めることにした。功騎、アルは展開していたインフィニティーフレームを解除し待機形態へと変える。

 ルミアは精神的に来ているものもあったが四人揃ったことである程度何時もの調子に戻ったようで顔色が良くなっていた。

「なんかインカム? が全然使えないんだが知らないか?」

「うん。私の念話スキルも発動できなかった」

「"天地樹壁"自体にはそんな能力ありませんが……空間自体になんらかの影響を与えるスキルが発動しているんじゃないでしょうか」

 あんぐりと口を開ける三人。その表情をきょとんとして見つめ返す芳埜。

「……これ"天地樹壁"なの、か?」

 功騎が寄りかかっていた壁を見上げる。それにならってアルとルミアも同じようにする。

 樹家の秘技として天道学院では知らない者はいない。

 しかし、このような使い方を今だ誰も見たことが無かったし、現当主の優羽が使ったのを聞いた事が無い。それを知った三人は陽人との格差を感じずにはいられなかった。

「かなり、やばいよね。啓君は……大丈夫なのかな」






                   □  □  □





 日が落ち込み月夜が照らす森林。神秘的に輝く木々を抜けると啓はようやく小高い丘が見える場所――出口へたどり着いた。

「やっと出口だぞっ。ヨーコッ」

「む、そのようだな」

 自陣の本拠地に向かおうとしたが、数歩進み違和感に気付く。

(本陣じゃないのか)

 本陣周辺に居るはずの部隊がおらず、殺伐としているからだ。

 あまりの静けさに啓は来た道を戻ろうかと後ろを見る。

 しかし来たはずの道は塞がれ一枚の壁が代わりにそこにはあった。

「無道啓。お前一人か?」

 振り返り声の主を見る。逆光で影ができ全貌は見えないが声で啓は分かった。

「……樹陽人」

 呟くように相手の名を呼ぶ。

 さらに陽人の後ろから二人遅れて来た。

(少しばかり予定とは違ったが……まあいい)

「樹くん。どうするんだい?」

「ここで奴を潰す。大将がこうして来てくれたからな」

「飛んで火に入る夏の虫ですわね」

「おいおい、お前ら俺は何も持ってないんだぜ? 丸腰。それに寄って集ってやるとか何とも思わないのか」

 この状況下でそこまで余裕で居られることに陽人の横にいる二人は不審に思っていた。

 陽人は動じることもせず無言で"翡翠"を振るう。地響きが起こり地面が割れ、根が四人を取り囲むようにドームを作る。

 隙間から漏れる月の光のみが光源となり互いに影が掛かる

「…………」

「…………」

 にらみ合い一歩も引かず動かない。

「お前たちは回り込み、妨害スキルを最大で発動しろ」

 頷き、左右に分かれるとすぐさま二人のインフィニティーフレームが輝きを増す。

「"スキルロック"」

「"メンタルダウン"」

 ヴォイスコマンドによる発動。

 啓は回避動作をしようにも視認が出来ず感覚だけで横に跳躍し躱す。

(くっそ。視認できないだけでここまできついか。本体はさして問題無いがいかんせん距離がある。潰しに掛かるまでにスキルが当たる可能性が高い……)

 自己判断し苦虫を潰したような表情をする。さらにペースをあげるように今度はモーションコマンドで追い打ちをかける。

「――ック」

 何か体に重みが走った。それも一瞬。しかしそこから急激に体の動きが悪くなった。枷を与えられたような。そんな不自由さ。

 さらに追い打ちをかけるように目に見える枷・・・・・・が手足に四つ付けられた。

「んだよ、これ……」

 全身に傷は一つもない。それなのにただ気怠く、疲労が蓄積されているようなそんな感覚が体に走っている。

「妨害術の中でもかなり高い術のようじゃ」

 ヨーコが悟られない様に首元で囁く。

「やっぱ特待生…………最ッ高につえぇ」

 技術力もさることながらその精神力の強さに感心した。スキルを発動するためには自分のインフィニティーフレームに集中しなくてはならない。それは自然と精神を使っている。

 高位ランクのスキルを使う時、精神疲労は馬鹿にならない。功騎でさえ"獄炎"を止めるときに使ったスキルだけで精神力の枯渇により途中で倒れた。

 それより格上のスキルをこうも連発し当てるまで使い続けたのだ。普通なら倒れてもおかしくないはずなのに彼らは息切れ一つせず、スキルが無力化された際にまた掛け直せるように、と構えたままだ。

「"葉斬の舞"、"樹乱操・枝突の舞"」

 突如ドームの一部が解かれ枝が啓を襲う。死角のない三六〇°すべて方向から。追撃するようにドームの隙間からは鋭利な葉が次々と啓を目がけて飛んでいく。

 気怠い体に鞭を打ち、ぎりぎりで回避していくが数の多い葉が切り傷を増やし少しずつだが確実に体力を奪う。

「――――散れ」

 止めと言わんばかりに枝と葉が一斉に隙間なく啓を襲う。

「……フッ」

 笑った。

 啓は不敵に笑った。

 普通ならはったりか諦めと思う。

 だからこそ戸惑うのだ。相手が普通ではないから。

(なんだ、何をする気だ)

「おせーよ」

 ゴオォオオオッッ!! 

 何か燃える音が迫ってくる。

 それを感じ取り啓以外の三人は音源を探るように空を見上げると暗闇の中に赤く輝く物体が急速に近づいているのが分かった。

「なんですの、アレ」

 目視では形状が分からず目を細めて確認しようとするも、何か赤いモノとまでしか認識できなかった。

 防御スキルを頭上に展開し物体が来るのを三人は待つ。

 それがドームの頭に触れたすぐそばから燃やし穿つと啓は落下地点に飛び込む。

 着地と同時に赤い炎が啓の身を包み燃やしていく。

「自爆?」

「……違うッ」

「リア。届けるまでが遅いもう少し頑張って欲しかったぜ」

『サンキュー、ルミア』

『啓君。頑張って』

 啓は赤い物体が何か理解していた。どうやってここまで来たかも理解していた。

 だから飛び込んだ。

 届けられたそれは暗赤色と紅色が入った片刃の刀身に握りやすいように造られたグリップ。炎を纏った剣だった。

「さーて、ここからが本番だぜ?」

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