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本日2回目の更新です。ちょっぴりホラーテイスト。

 





 お母さんから、わたしが赤ちゃんのころの話を聞いた。


 きんじょに住みついたのらねこがよく遊びにきていたけど、そのねこといっしょに何もないところをじーっと見ていたり、かと思えばきゃらきゃら笑っていたり、急に泣き出したりしたんだって。泣くのはオムツやおなかがすいたとか、具合がわるいとかじゃなかったみたいで、

「最初の頃は、どうしたらいいか分からなかったよー。だっこすれば泣き止んだけどねぇ」

 って言ってた。

「あと、泣き止まないって言えば……」


 お父さんが出かけようとしているところにだっこをせがんで、だきついてはなれない。お母さんに渡そうとすると泣く、を繰り返したのでお父さんはとうとう出かけるのをあきらめたんだって。


 だいじな仕事のご用だったんだけど、「娘が一大事」ってれんらくしたとたんに、にこにこしはじめて、なんだろうと思っていたら、お父さんの乗るはずだったひこうきが、せいびふりょう?とかでふじちゃく。なくなった人はいないけど、けが人がたくさんでて、

「お父さんの顔色が真っ青になってねー。本当にあの時は運がよかったねって言ったのよ」

「そうだね、お父さん。うんがよかったね!」

 そう言ったら、おとうさんはものすごく大きなためいきを付いた。

「お前達は本当に親子だよな……」

 何でつかれているのかよく分からなかった。


「親子に決まってるじゃない」

 お母さんとわたしは顔を見あわせた。



 

 なんで赤ちゃんのはなしが出たかというと、お母さんはもうすぐあかちゃんをうむからです。

 お父さんがおいしゃさんにおねがいして、男の子か女の子かおしえてもらったら、男の子だったんでやたら安心してた。

「これでもう一人女の子だったら身が持たない」

 だって。なんで??おとうとでもいもうとでも、わたしはうれしいよ。こんども名前を二つつけるんだって。ねんにはねんを入れるんだって言ってた。

 あ、ちなみにこの間の七五三のおまいりは、よてい日とかさなっちゃいそうだったから早めに行ったの。おそくなるよりは前の方にしようって、お母さんが決めたから。


 で、今日はお母さんといっしょにけんしんです。あと一月でうまれるんだけど、丈夫な赤ちゃんがうまれるようにちゃんとしらべてもらうんだって。


 お母さんと一緒にびょういんのエレベーターにのったら、何でかわかんないけど地下に下りちゃった。

「あれー?ちゃんと上に矢印出てたよね?」

 地下に下りたエレベーターは、とびらがひらいてもがらんとしていてだれものってこない。昼なのにうすぐらいなー。

「まちがえておしちゃったのかな?」

 わたしがとじるボタンを押すと、とびらがしまるんだけど、かんぜんにしまりそうなところで、だれかがまたボタンを押したみたい。がくんってかんじでとびらがひらく。でも、だれもいない。

「ピンポンダッシュじゃないんだから」

 ってお母さんはおこってる。わたしが首だけだして見てみると、おくの方にあるいていくくろい人が見えた。

「のらないんですか~?」

 って声をかけたら、びっくりしたようにふり返ったあと、あわててあとじさると走ってにげちゃった。とおくの方で『申し訳ありませんでした~』って声がきこえた。あの人がわざと押したんだな?

「いたずらやめてくださいねー」

 せなかに声をかけてもう一度とじるボタンをおしたら、こんどはちゃんととじて、上にあがれた。


「いたずらしてた人がいたの?不謹慎ね」

「ふきんしんてなに?」

「失礼とか、まじめじゃないことよ。病院の地下は霊安室って、病院で亡くなった人が安置されているの。そんなところで悪ふざけするのはいけないことなの」

「へー、そうなんだ。真っ黒かったから良くわかんないけど、男の人っぽかったよ」



 家にかえってきたお父さんにその話をしたら、何だかむごんになっちゃった。

「………それ、本当に人間だったのか……?」

「人間じゃなきゃなんだっていうのよ?」

 お母さんがふしぎそうな顔をしている。

「だって、いくら地下だからって真っ黒な人影って、電気がついてたなら見えないことないだろ」

「あやまってたし、いいよ、どっちでも」


 お父さんはそれでいいのか?と首をいつまでもひねっていた。






 


 


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