ちょっと未来のお話(四百文字お題小説)
お借りしたお題は、「5250円の買い物をする物語を書く。」です。
律子はスチャラカなOLである。
明日は恋人の藤崎の誕生日だ。
水道光熱費を節約して薄給からコツコツと貯めたお金でプレゼントを買おうと思っていた。
あまり高いものは受け取らない藤崎の優しい性格を知っていたので、律子は五千円のネクタイを買おうと決めていた。
百貨店の中にあるその店に何度も足を運び、どれにするのかも決めていた。
そして今日、それを購入するため店を訪れていた。
(よかった、あった)
他にも見ている人がいて品薄商品だと店員にも聞いていたので、ドキドキしていたのだ。
(ああ、藤崎君にとっても似合うわ、きっと!)
ネクタイに頬ずりをし、店員に気味悪がられているのに気づかない。
「これください」
店員が苦笑いしているのが不思議な律子だったが、藤崎への思いが強くて、気に留めなかった。
「合計で五千四百円になります」
店員の言葉に律子は引きつった。
(五千三百円しか持ってない)
消費税が八%になったのを知らない律子だった。
そういうことでした。