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音楽アプリ五百円

作者:
掲載日:2026/03/13

いつも使っていた音楽アプリが、配信停止になった、すごく使いやすかったので、ショックだった。


昼休みに音楽アプリを探してみるが、どれも今一つぴんとこない、一つだけレビューも良くて、月額たったの五百円で広告一切なしのアプリを見つけた。


リーズナブルなお値段と登録曲数に惹かれて、登録してしまった


最初に推しのアイドルのポップスを聴いてみた、アプリ自体の音がいいのか、没入感が凄い。

ライブ気分で、課題をこなしながら、アルバム一枚分聴いてしまった。

次の日電車に乗って聴こうと思いつき、プレイリストに入れていた、推しの曲を探してみる。

どこを見ても、検索しても出てこない。

まるで最初から存在しなかったように。


慌てて推しのグループ名を検索してみるが、何もヒットしない。


今日の夜の生放送音楽番組に、出演するはずだから、待機してようと強く拳を握りしめた。

番組の時間が来た、普段なら各自自由にポーズを撮って階段を降りてくるのに、最後まで登場しなかった。

司会さえも名前を呼ばなかった。


次の日学校で、思い切ってグループのことを聞いた、みんな

「何言ってんの?そんなの聞いたことないよ」

と笑っている。

昨日まで、一緒に推し活をやっていた友達でさえ知らないと。


私 はスマホを落とした。

拾えなかった。

こんなことがあるわけない、夢でも見てるの?

みんなで騙してる?

でもそれなら昨夜のテレビはどうなる。

私は静かに憤っていた。


帰り道電車で音楽アプリを聴く。いつも落ち込んだ時に元気をくれるyorigeの曲

ポップだけど聞く度に、胸がぎゅうっと締め付けられて、泣けてくる曲ばかりだ。

電車の中でも少し涙ぐみそうになってしまった。


今日は配信の日だ。

私は毎週水曜日に音楽配信をしている、そう、いわゆる歌い手というやつだ、とは言っても始めたばかりで、まだまだ新人だけど歌唱力には自信がある。


私の家は比較的裕福なので、両親は部屋は防音にしてくれている。

マイクのセット、ギターのチューニング

諸々の準備をして、配信スタートする。

「こんばんはsarisariです、今日の一曲目はyorigeのこの曲です、聴いてください」

イントロをギターで弾き出す。

コメント欄は「yorigeって誰?」

「新人のボカロPとか?」

「今検索したけどヒットしない」

「sarisariの別名義とか?」

「それなら検索に出てくるだろ」

コメント欄が荒れている

私は「あれ?みんなの好きなyorigeだよ?よく配信で歌ってるし、知名度も高いよ?」

と言うとコメント欄には

「知らない」

「誰?」

「全然知らない」

とどんどん流れてくる。

「あれおかしいな、じゃあ次行くね」

私は気を取り直して次の曲を歌っていった。

配信終了後yorigeを検索してみる、たしかにどこにもヒットしない、音楽のサブスクを見ても存在しません。

としか出てこない、あんなに大好きだったyorigeが。

推しも消えちゃったし、なんで?


それからも私が聴いた曲やアーティストはどんどん消えていった。


音楽番組のチャートは、私が興味のないアーティストだらけになった。


時には昭和歌謡までランクインするようになって言った。


昨日まで街中で流れていた曲さえも消えていく。

そのうち私も名前すら忘れるようになっていった。



そんなある日私にレコード会社からオファーが来た、歌でデビューしてくれないかと、両親の了承も得て晴れて私は歌い手兼歌手になった。


初めてできたCDが嬉しくて、両親の分を持って帰った。

私はサブスクで自分の曲を聴いた、何周も聴いた。


その時足の先からすうっと砂のように溶けていく、消えていくような感覚がした。

お腹、胸、首


取り返しのつかない速度で消えていく。

どんどん消えていってしまう、最後にふっと頭が消えて終わってしまった。


最後に消えていく意識の片隅で、母が私の部屋に入ってくる。

「あれ?物置部屋に何か用があったかな?」

というのが聞こえた。






ここまで読んでいただきありがとうございます。

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