第6話. 飢えから生まれない王国
夜明けが闇を引き裂くように木々の間から差し込んできた。
光の傷のようなその朝、行進は長く静かだった。
アデルハイドが先頭を歩き、カイトが彼女の隣を進んでいた。
二人の視線は一つの目的地に固定されていた。
そこに聳え立っていたのは――
ドライスブルク。
忘れ去られた村。
埃に覆われ、今にも崩れそうな家々。
舗装されていない道。
そしてまだそこに残っている僅かな人々は――墓のない幽霊のようだった。
木の皮を噛む子供たち。
ひび割れた杖にもたれかかる老人たち。
虚ろな眼差し。
砕かれた希望。
カイトは道の端で立ち止まり、無意識に拳を握りしめた。
彼の表情に気づいて、アデルハイドが話しかけた。
「命令を、司令官。
井戸を押さえ、中央広場を封鎖し、戦わずに降伏させます。
簡単です」
しかしカイトは答えなかった。
彼の視線は一人の子供に固定されていた。
樹皮を口に運ぶ小さな子供。
そして空の鍋をかき混ぜ、子供を騙すために「料理している」ふりをする母親。
唾を飲み込むのが難しかった。
「……いや。
この村を力で奪わない」
アデルハイドが振り返り、明らかに驚いた様子だった。
「……奪わない?」
「『奪う』んじゃない。
勝ち取る。信頼で」
「信頼……で?」
「もし彼らに残されたわずかなものまで奪ったら、
俺はリーダーじゃない。
ただの略奪者だ。
王国は飢えた体の上には築けない。
恐怖の上にも」
アデルハイドが目を細めた。
そこに怒りはなかった。
予想外の一手に驚いた戦略家の眼差しだった。
「……では、どうやって『勝ち取る』のですか?」
カイトは深く息を吸った。
「兵士たちを使う。ここを攻撃するためじゃなく、倉庫を襲撃するために。
グレルバーンの基地だ。警備は手薄で、二個中隊分の物資が保管されている。
その物資を盗む」
「それから……?」
「ここで分配する。全員に。子供たちを優先する。
井戸を修理し、道を掃除する――彼らと一緒に働く。
同じものを食べ、同じ屋根の下で寝る。
彼らの『上に立つ』のではなく、彼らと『共に生きる』人間になる」
アデルハイドは長い間沈黙していた。
やがて、微笑んだ。
それは兵士の硬い誇りではなかった。
それは何か別のもの――
柔らかく、ほとんど優しい満足感だった。
「あなたには皇帝の素質がありますね、司令官」
カイトも微笑んだ。
「まだ皇帝じゃない。
使い方も知らないカードを持った異邦人で、
泥で汚れた地図を持っているだけだ……」
「だからこそ」彼女は答えた。
「私が仕えたどの王よりも恐ろしいのです」
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数時間後……
服従した兵士たちが戻ってきた。
パン、穀物、干し肉、油、道具を積んだ三台の荷車――
痕跡を一切残さずに盗んだ戦利品。
アデルハイドが配分を担当し、
カイトは子供たちが最初に食べられるよう見守った。
誰も食べ物を拒まなかった。
もう話すこともできない老人たちでさえ。
そしてほとんど奇跡のようなことが起こった。
村の住民たちが――
彼らを見る目を変えたのだ。
「あの人たちは……誰?」
「よそ者……? 食べ物を持ってきたの?」
「なんであの黒髪の男が俺たちと一緒に井戸を直してるんだ?」
「王国の人間じゃないらしい……
貴族を憎んでるからここに来たって……」
カイトは袖をまくり、村人たちと一緒に米袋を運んでいた。
「……ありがとう、若いの」しわだらけの手をした老人が言った。
「こんなに久しぶりに何かもらったよ」
カイトは彼の目を見た。
「……今回は、あなたたちも何か得られるかもしれません」
「……お前は?
お前は何を得る?」
カイトは少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「……あなたたちの敬意を」
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夜が訪れた時……
ドライスブルクの村は――別の場所のようだった。
家々に灯る明かり。
煙突から立ち上る煙。
笑い声、話し声、会話。
そこには生きた目があった。
中央の焚き火のそばで、
カイトとアデルハイドはパンと干し肉を分け合っていた。
「何か不満は?」カイトが冗談めかして尋ねた。
アデルハイドは苦い茶を一口飲んでから答えた。
「一つだけ。
あなたが築いている国は……人間的すぎます。
この世界にまだ希望が残っていると信じさせそうなほど」
「……それは悪いこと?」
「崩壊のために生まれた者にとっては、ね」彼女は微笑んだ。
「でもそれでも……あなたのそんな姿を見ると嬉しい」
カイトは視線を落とした。
まだ彼女の言葉の温かさに慣れていなかった。
「……アデルハイド」
「はい、司令官」
「ありがとう……俺が迷っている時でも、そばにいてくれて」
彼女は少し近づいた。
炎の影が重なった。
「道が見えるからついていくのではありません、カイト。
あなた自身が……
道だからついていくのです」
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そしてその夜――
ドライスブルクは単なる「救われた村」にはならなかった。
信頼から生まれた最初の砦へと変わったのだ。
飢えが癒され、
その起源が血ではなく、人間の温もりであった場所へ。
支配するために生まれた王国ではなく……




